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異世界のイオリと伊織  作者: 猿丸駿
第一章
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第二十四話 イオリと地下のシャワー室

「俺は荷物を片付けてすぐに地下でシャワーを浴びたら、さっさと寝るつもりけど、フィーネはどうする?」

「あっ、えっと、一緒に行きませんか? わたしも荷物を片付けてすぐに準備しますので」


 部屋の前でフィーネと別れ、荷物を置いたら、すぐに『倉庫』から取り出した変えの部屋着を持って部屋を出でる。

 もちろん、フィーネを待つためだ。

 部屋の中を少し見ても良かったけど、それは後でもできるし、フィーネを待たせるのは悪いと思ったので、さっと準備して部屋の前で待つことにした。

 まあ、準備といっても荷物といった荷物もほとんどないので『倉庫』へと放り込み、そして服を『倉庫』から取り出すだけだけど。


「あれ? 私が先だと思ったのですが」

「フィーネを待たせるのも悪いと思ったから、荷物を片付けてすぐに出てきたんだ」

「そうだったのですね」


 しばらくするとフィーネも準備をして出てきたので連れ立ってエレベータに向かう。

 エレベータホールには誰も居なかったので、ボタンを押しエレベータが来るまで待つ事にしたけど、タイミングが良かったのか、すぐにエレベータは到着した。

 エレベータの扉が開くと、エレベータ内にはすでにウサギ耳の女性と犬耳の男性が先に乗っていたので、軽く頭を下げつつエレベータに乗り込む。

 先に乗っていた二人も、どうやら俺たちと同じ様に単に乗り合わせただけのようで、それぞれ人が二人ぐらい間に入るだけ離れた位置でどちらもエレベータの壁によりかかりつつ、目的の階へ到着するのを待っているようだった。

 降りる階の指定をしようとしたら、どうやら、先にエレベータに乗っていた二人を含めて俺たち全員が同じ階を目的としているようで、すでにシャワー室のフロントがある階、つまりは地下31階が設定済みだった。

 俺とフィーネ以外の人同士は面識がないため、特に会話があるわけでもなく、エレベータ内は少し重苦しい雰囲気だったので、俺とフィーネも空気を読み会話はせず、目的のシャワー室のフロントがある階を静かに待っていることにした。

 まあ、フィーネは相変わらずエレベーターの窓に噛り付いていたので、そもそも会話をしようとすらしていなかったりする。


「おっ! 着いたな、フィーネ。フィーネ?」

「あっ、はい。何でしょうか、イオリ様?」

「いや、受付の階に着いているんだけど」

「わ、わ、すいません。つい、窓の外をじっくり見ていて気が付きませんでした」


 受付階に着いたので降りようと、フィーネの方を見ると、エレベータが止まったのにも気がつかず、相変わらず窓に噛り付いていたので、肩を持ってゆさゆさと揺らしてやると、やっと気がついたようだ。

 エレベータを降りてすぐの目の前にはフロントがあり、奥のロ休憩スペースには、ソファーなどが置かれているようだけど、ソファーには今は誰も座っていないようだ。


「シャワーから上ったら、とりあえず、奥の休憩スペースで待つようにしようか」

「分かりました。奥の休憩スペースで待っていればいいのですね」

「まあ、先にシャワーから上がってきたらの話だけどね」


 受付の順番待ちをしている最中にフィーネと相談し、シャワーを浴び終えたらフロント横の休憩スペースで待つように決めた。

 しばらく待つと、列が履けて俺たちの順番となった。


「タオルなどはこのかごの中に入っています。帰るときに途中にある返却口へ、このかごを含めて返却をお願いいたします。なお洗剤などはシャワー室に備え付けてあるので常識の範囲内でお使いください。基本的に常識の範囲内でご利用していただければ問題ございませんが、その他詳しい内容について、シャワー室内に掲示してあるので必ずご利用前にご確認くださいませ」

「わかりました。ありがとうございます」


 指示に従って、組合カードを端末に(かざ)すと、ストロベリーブロンドのショートヘアで胸は、まあ普通ぐらい、のフロントのお姉さんは、さっと読み取り結果を確認し、座っているすぐ横から掴んだかごを俺に渡しつつ簡単に説明をしてくれた。

 簡単に説明はしてくれたけど、どうやらシャワー室に詳しく説明が書いてある様だ。

 ちなみに、かごは二人並んだ受付の中央にフロントの奥から次々と新しいのが流れてくるようで、フィーネが並んでいる列のお姉さんは俺が並んでいたお姉さんの方を向きかごを取っていた。


「じゃあ、また後で」

「はい、先に上がった場合は休憩スペースでお待ちしていますね」


 フィーネ側でも丁度、受付が終わったようで、もう一度、待ち合わせについて確認のために少し話をしたあと、シャワーを浴びに行く。

 念のため、急ぐ必要がないことも言い含めておくけど、ちゃんと伝わっているだろうか?


「先に待つために急いで上がる必要はないからな」

「大丈夫ですよ、分かっていますから」


 まあ、伝えはしたので大丈夫だと思いたいな。

 温泉とかじゃないみたいだから、そう大して時間はかからないだろうけど、ほどほどに、ゆっくりシャワーを浴びることにしよう。

 フィーネは女性用の入口から中へ入って行き、おれは男性用の入口から中へと入っていく。


「へー、意外と広いな」


 通路をしばらく進むと、脱衣場があるわけでもなく突然に広い部屋に出る。

 どうやら、ここがシャワー室のようだけど、シャワー室内の小部屋は、言っちゃ悪いが公衆トイレが部屋の中に大量に並んでいる様な感じだった。

 小部屋ごとに特に中が変わっているといったこともないようなので、しばらく部屋をうろうろし、適当に小部屋を選んで中に入る。

 小部屋の入口は内開きで、誰も中に入っていない場合は扉が開いた状態になるようになっているので、どこの小部屋が開いているかは分かりやすい。

 その小部屋時自体を区切る壁は、半透明ではなく完全な不透明で天井と床付近に開口部があるだけで、ほとんど閉鎖空間と言っても間違いはなく、少し息苦しい感じだ。

 まあ、これは後々に聞いた話だと、もともとは、仕切りと上半身の一部と下半身を覆う半透明な扉があるだけだったらしいが、過去に探索者同士の争いが元でシャワー室内で刃傷沙汰が一度だけでなく何度も有ったらしく、最終的に死亡者まで出した段階で、もう完全に個室にしておけば争いも起きないだろうと考えた当時の組合長が考えて今の状態になったらしい。


「えっと、着替えなどはここにおけばいいのか。おっと、そういえば、注意事項を確認するんだったっけ」


 シャワー室に入ると扉の裏に注意事項が書かれているたで、ひと通り一応は読んでみる。

 なになに、えっと。


・施設を損傷させないこと

・他のお客様の迷惑にならないこと

・無許可での獣魔の利用はしないこと

・飲酒されている方のご利用はしないこと

・シャワー室内での洗濯はしないこと


 なるほど、なるほど、ってまあ普通の事しか書いていないな、そりゃそうか。

 とりあえずは、常識の範囲で普通に使えばいいようなので、そのままシャワーを浴び、支給されたタオルで体を拭き、変えの部屋着に着替える。

 ちなみに、部屋着は昼間に買った服もあるにはあるけど『倉庫』に入っていた奴の中から、昼間に服屋で売っていたものと比べ、明らかに高級そうなものやデザインがそぐわない物を除いたものから適当に選んである。

 服を着て、フロントまで戻ったところで、フロント横の休憩スペースへ向かいフィーネを探してみたけど、どうやらまだシャワーから上がっては来ていない様だ。

 やっぱり、俺が先に上がってきてしまったか。

 さてと、フィーネが上がってくるまで休憩スペースのソファーで待っていることにしようか。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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