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異世界のイオリと伊織  作者: 猿丸駿
第一章
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第十四話 イオリと雑貨屋さん

「いらっしゃ〜い。『ミンティアナの雑貨屋さん』へ、よ〜こそっ! お客様は初めてですね〜」


 中に入ると、入った正面にカウンターが見え、その脇には待機スペースらしき場所があり数人が楽に座れる長椅子が置いてあった。

 店の中にいたのは少し間延びした受け答えが特徴の色白で胸まで伸びる銀髪をひとまとめにして右側から垂らしているおっとりした美人さんが出迎えてくれた。


「はい、私はフィーネと申します。こちらは」

「イオリと言います」

「何をお探しですか〜」

「えっと、野営道具って置いてありますか?」


 店内にはいろんな道具が所狭しと並んでいて見ているだけでも楽しそうだ。


「ありますよ〜。野営道具ですね〜。テントと、あとは炊飯道具もいりますか〜? ん〜と、テントはどのぐらいの大きさがいいですか〜?」

「大きさは二人から三人ぐらいが寝れるぐらいの大きさで、よかったかな?」

「うーん、四人前後が寝れるぐらいの方がいいと思います。なんとなく人が増えるような気がします」


 以外とフィーネの感()当たるんだよな。

 まあ、大は小を兼ねると言うし、そこそこの大きさであれば問題ないかな?


「じゃあ、大きさはそれで。テントと炊飯道具はそれぞれ1セットでお願いします」

「了解したよ〜。そのぐらいの〜大きさならCランクかなぁ〜」


 そういえば、解体用ナイフも売っているのだろうか?

 ついでに聞いておこう。


「あっ、そうだ解体用ナイフとかありますか?」

「えっと、解体用のナイフね〜。この店にも普段はあるんだけどね〜、ちょっと今は売り切れなのですよ〜。急ぎなら鍛冶屋さんで探してみて欲しいな〜。普通の形以外のナイフを探している場合も、色々な種類のナイフが置いてあったと思うし、あそこ面白いから〜是非行ってきて感想聞かせてね〜」


 なるほど、この店は街の雑貨屋さん的な感じで、特殊な物とかは鍛冶屋など専門のお店へ、ということか。

 まあ、どちらにしても鍛冶屋には後で寄る予定だったので、ついでに解体用ナイフも一緒に確認しよう。


「わかりました。では後で鍛冶屋によってみます」

「じゃあ〜、テントを用意するから、そこの椅子に掛けて待っててね〜」


 店内を見回すと、少なくとも見えている範囲には今回買いに来たテントなどや比較的大きな道具類はあまり置いていないようで、どこにあるかと思ったけどどうやら奥に置いてあるようだ。

 しばらく待っていると俺の腰にも届かないほどの背丈の子供がトテトテとやってきてカウンターの椅子をよじ登り、こちらをつぶらな瞳でじっと見てくる。


「えっと、君は?」

「あいっ! わたち、ミーナでしゅ。ママからみせばんたのまれたのっ!」


 どうやらお客さんを見ていただけのようだけど、くりくり(まなこ)でじっと見られると後ろめたいことがなくても目をそらしてしまいそうだ。

 しかし、ミンティアナさんは結婚していたようだなーと思ってたら、脇を(つね)られた、解せぬ。

 その、(つね)った本人はどうやら、母性本能をくすぐられたらしく、かわいいかわいいと店番のミーナちゃん(推定幼児)を撫で回している。

 まあ、ミーナちゃんが庇護欲をそそるのは確かだ、正にかわいいは正義だな。

 そうこうしているうちに、店の奥からミンティアナさんが戻ってくる。


「あら〜良かったわね、お客様になでなでしてもらって〜。ミーナ、店番ありがと〜」

「あいっ!」


 お母さんに褒められてにこにこ笑顔が溢れ嬉しそうなミーナちゃんをみて悶えるフィーネを見てうちの子は可愛いでしょう、とばかりに何回も頷くミンティアナさん、なんかその辺りだけ別空間のようだ。


「えっと……」

「あっ、えっ〜と、テントや炊飯道具は広げて確認してみますか〜?」

「はい、確認してみたいです」

「じゃあ、ミーナ、こちらのお兄ちゃんとお姉ちゃん達を中庭に案内してしてテントの確認をしてくれる〜?」

「あいっ! ミーナ、がんばりましゅ!」


 びしっと音がしそうな感じで右手を上げてお手伝いに立候補するミーナちゃんを見て、ほっこりしたのは俺だけではないようだ。


「じゃあ、これとこれをお願いね〜。はいこれ」

「あいっ!」


 カウンターに載せられた2セットのテントと炊飯道具を見て、さすがにこんな小さな子供には持てないだろうと思い、手伝おうかと一歩踏み出した俺だけど最後にミンティアナさんがカウンターに載せたものに目を奪われる。

 ミーナちゃんが両手に抱えても、まあミーナちゃんの手が小さいという話もあるけど、その手からはみ出すぐらいの大きさで、胴が太いマイクのような頭が半球状で胴体の大まかな形は最下部が小さい円柱、そして、ちらっと見えた胴体には細かな装飾がされていた。

 さっと鑑定したところ、ものを浮かせる魔道具のようだ。


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名称:中型用物体浮遊魔道具

通称:中型荷物(はこ)べーる

状態:待機中

耐久度:85/100

希少性:マスィヴリ(大量)

魔力消費:起動時消費1、継続消費50(重量により変化)

概要:一般的な荷物運搬用魔道具

詳細:

一般的に小箱サイズから成人男性二人分程度の荷物を運ぶための魔道具。

利用者が魔力を込めることで指定した物体を最大50センチ程度浮遊させる。

起動時の魔力の消費1で、物体の重さや、浮遊させる高さにより魔力の消費が異なる。

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「それは?」

「? あぁ〜、これのことね〜。ダンジョンに初めてきた人だと魔道具を見たことない人もいるのかしらね〜。これは〜、『物体浮遊』の魔道具よ〜。実はテントにも魔道具は〜使われているの〜。この店の近くに魔道具を専門に扱っている店があるから興味があれば見に行くといいわよ〜」

「なるほど、ありがとうございます。その、魔道具店の場所とあと、さっき話にあった鍛冶屋さんについて、店の名前と場所を教えて欲しいのですが」

「ああ、この街は〜初めてって言ってましたっけ〜。鍛冶屋はともかく〜魔道具店の場所はすご〜く分かりにくいので〜、あとで〜地図をお渡ししますね〜」

「ありがとうございます」


 どうやら説明中にミーナちゃんが魔力を込めたらしく魔道具が少し光りテントなどがふよふよと宙に浮く。


「じゅんびできまちた。なかにわにあんないするでしゅ。こちらへどうじょ」


 カウンターからすでに降りていたミーナちゃんは、テントなどをそっと掴んだ状態でこちらを一旦振り返えり、またすぐに中庭への案内を始める。

 ミーナちゃんの案内で、店内の右隅にある通路を途中にあった扉を横目に見つつ進むと、すぐに通路の先が明るくなり開けた小庭と言った感じの中庭に出ることができた。

 中庭はガラスか何かで天井が覆われているようで、ミーナちゃんが入り口あたりでごそごそと何かしているのを見ていたところ、中庭に降り注ぐ太陽の明るさが店の外より薄暗く曇りの日ぐらいの明るさにあっという間に変わる。

 すると、先程まで少し暑いぐらいだった中庭の気温が過ごしやすい温度にまで変わるのが分かったが、これらも魔道具なのだろうか?

 すこし思考が明後日の方向に向いていたが、ふと気がつくと中央にあるテーブル辺りにミーナちゃんが居たので慌てて追いかける。

 なお、フィーネはすぐ横に居て顔を向けると微笑んでくれた。

 テーブルの上にテントや炊飯道具を置き、魔道具を服のポケットにしまうとミーナちゃんはこちらに向き直る。


「テントはおにいしゃんおねえしゃんがひろげますか? それともせちゅめいをしながらわたちがひろげましゅか?」

「どうしようか?」

「うーん。せっかくだからミーナちゃんに説明してもらいませんか?」

「そうだな、じゃあ、ミーナちゃん、説明をお願いできるかな?」

「あいっ! では、せちゅめいしましゅ!」


 元気よく返事を返事をしてテントの説明を始めるミーナちゃんだけど、テントを広げるのは大変じゃないかな、と思っていた時期が俺にもありました。

 ざっくりと使い方をまとめると、ぐるぐると巻いてあるテントの荷を解いた後で、地面に丁寧に広げ、魔道具を起動すると、ぽんっと膨らんでテントが一丁上がり、と説明もなにも使い方はすごく簡単で拍子抜けだった。

 仕舞う時も魔道具を起動しぺっちゃんこになったところで、これもまた丁寧に畳み最後はぐるぐると纏めるだけと、すごく簡単。

 注意点として、地面に丁寧に丁寧に広げなくてもテントの設営はできるけど、魔道具に渡す魔力の消費が多くなったり、また、テント自体の寿命も減るので、設営場所はなるだけ平らな方がいい、とミーナちゃんから説明された。

 しかし、何でもかんでも魔道具なのか、これはいよいよ面白くなってきたし、ぜひ自分でも魔道具を作ってみたいな、とまたもや脱線していると袖をフィーネに引っ張られた、炊飯道具の説明が始まるようだ。


「すいはんセットのせつめいをしましゅ。このセットには、はんごう、スプーン、フォーク、ナイフ、がそれぞれに2くみに、なべ、すいとうがはいっていましゅ。そして、それらはさびにくく、じょうぶでながもちな、『メタルトータス』のこうらでできているのでしゅ」


 ミーナちゃんがテーブルに炊飯道具セットを広げながら説明をしてくれるがフィーネはその舌足らずなしゃべり方で、メロメロなようで、もうこれは説明をちゃんと聞いていないのではないか、と疑問に思うぐらいだ。

 まあとりあえず、セットに含まれている物はよほど特殊な状況でなければ足りるであろう最低限のものが含まれており、また、収納サイズも十分コンパクトになっているので持ち運びにも問題がなさそうだ、まあ、空間魔法があるから関係ないのだけれど。

 ミーナちゃんの説明にあった『メタルトータス』は、たしかダンジョンについて調べた時にも出てきた気がするが、うーん?


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名称:メタルトータス

種別:魔物

全長:9フィト前後

体重:0.4ルトエ

脅威:パーティー討伐D級、ソロ討伐C級

概要:乾燥地帯に生息する陸亀型の魔物で甲羅が素材。

詳細:

体長は9フィト前後で、過去には最大で30フィトの個体が確認されている。

体表は背中の甲羅を含め全身が少し暗い砂色で、皮膚部分は若干の弾力がある。

動きは素早くはないが、反撃のための噛みつきや魔法の発動は意外と早いので討伐時には注意が必要。

最大の弱点は腹部だが、一般的には五体を甲羅の中に入れることができないため皮膚を攻撃し討伐することが多い。

素材としては背中の甲羅が錆びにくく丈夫で長持ちする金属素材として知られている。

背中の甲羅が金属で出来ているため、水辺や湿地帯を好まずほぼ例外なく乾燥地帯に生息する。

まれに、湿地帯や水辺に生息している色違いのメタルトータスが確認できることがあるが、それらは上位種でいずれもB級のダークメタルトータスやダートメタルトータスなので注意が必要となる。

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 ああ、そうそう、こんな感じだった。

 砂漠地帯に生息しているらしいので、ダンジョンではしばらくは関係ないかなと思い頭の隅に追いやっていたな。

 まあ、そんな感じでテントと炊飯道具の確認も済んで中庭から店内に戻ってくる。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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2016/07/17 希少性の種類を修正しました(レジェンド<レガシー<レア<クラフト<コモン<マスィヴリ<ジャンク、の順に価値が下がります)、通称も追加しています


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