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異世界のイオリと伊織  作者: 猿丸駿
第一章
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第十二話 イオリと食事や今後の予定

「とりあえず料理を食べながら今後の予定を決めようか」

「そうですね、料理が冷めると作った人に悪いですしね。ただ、少し行儀が悪いですが……」

「まあ、そこは以前も街ではこんな感じだったし、今更気にしてもしょうがないと思うよ」

「それは……まあ、確かに今更でしたね」


 今後のことについてはもちろん重要であることは間違いない。

 ただ、今はそれよりも食欲を刺激するスパイシーなカレーの匂いが、それほど空腹を覚えていなかったはずなのに、暴力的なまでに空腹感を訴えてくる。


「とりあえずダンジョンの攻略について、かな」

「そうですね。私たちの力がどの辺りまで通じるの分からない状態なので、現状は一層ずつ潜って行きましょう」

「たしか、ポータルはパーティー内に含まれる人の中で一番深い階層まで潜った人を基準にしているみたいだから、パーティー内に一人でもダンジョンの深い階層まで潜った人がいればいいんだけど。まあ、現状は一層ずつ行くつもりだから、深層まで潜るために人を入れる必要はないかな」


 もぐもぐ、ふむふむ、この一口大に切られた肉がオーク肉ってことかな?

 一口食べた感じだと、味はやっぱりと言っていいのかは分からないけど豚肉の味がするが、ただ、食感は記憶にある豚肉と言うよりは牛肉に近い感じがする。

 牛肉の食感に豚肉の味がして、しかも調理の結果なのか硬くもなく、かと言ってそれほど柔らかくなく、しっかりと食感は残しつつ食べ応えがあるという不思議な感じだ。


「しばらくは、ダンジョンに潜りつつ情報を集める、という感じにするしかないでしょうね」

「だな。とりあえずは数日ダンジョンに潜り、ダンジョンから戻ったら休息をしつつこの世界やダンジョンについて調べ、そしてまたダンジョンへ、という感じで行くか」

「大まかにはそれで行きましょうか。とりあえずはダンジョンに潜ってみないと、ですね」


 もぐもぐ、これは、ジャガイモ、これは人参なのかな?

 なんか、ジャガイモっぽいものはなぜか青紫色だし、人参ぽいものなぜか青緑色をしているけど、ルーの部分やオーク肉は普通の色をしているからすごく違和感がある。

 ジャガイモと人参のような物は、煮崩れすることなく、しっかりと一口サイズで切られた形を保っているが、スプーンで切り分けるとそれほど抵抗なく分れ、そのまま口に入れると染み込んだ味を口の中に広げながら形を崩していく。

 そういえば、カレーには玉ねぎも入ってるはずだけど、もしかしてうっすらと空色をしているこれがそうなのだろうか?


「とりあえず、飯を食べた後は装備を一通り揃えることから始めようか」

「私たちはテントや採取系の道具は結局は持たなかったですからそのあたりは購入したほうが良いと思います」


 たしかに、便利な魔法のゴリ押しもしてたし、テントとかも仲間が持ってたから、結局『倉庫』にはその辺り入れなかったんだよな、もぐもぐ。

 うんうん、このルーも具に負けないぐらいおいしいな。

 個人的には、もっとサラサラとしているカレールーのほうが好きだったと思ってたけど、スプーンからルーをこぼすとボトボト落ちるぐらいの粘度のルーもおいしい、やはり食わず嫌いは駄目と言うことだな。


「うーん、採取系と言うとスコップや解体用ナイフや、容器か袋あたりかな」

「容器か袋などは依頼にもよるかもしれないのでとりあえず、スコップとナイフは購入しましょう」

「そうだな。あーそういえば筆記具などもあると便利だな。組合の売店で売ってるんだっけ」

「たしかにその辺りも持ってなかったですし、資料室でのメモなどにも必要ですね。では、その辺りは組合の売店で購入しましょう」


 もぐもぐ、ランチについているサラダもおいしいな、色がちょっとおかしいけど。

 なんで、野菜や飲み物が変な色合いなんだろう?

 この辺りは慣れるしかないのかもしれないけど、色はともかくとして味は口に合わないということはないし、フィーネもまあ不味そうとは思っていないようで、むしろ美味しそうにニコニコしながら食べてるし、本当に色だけが残念だ。

 フィーネがもぐもぐニコニコと食べているオークかつ定食は、ほぼ真っ黒なキャベツに似た何かの野菜が刻まれた上に、一枚が手のひらサイズのオーク肉、これに衣を付けて油で上げたカツ2枚分が一口サイズに切られ乗っている。

 揚げ物に付き物のソースは小皿に分けられてトレイに乗せられていたけど、これは人によってはソースをかけないこともあるのだろうか?

 定食と名前が付いているだけあって、主食はパンではなくお米が付いていたが、まあそれでも、お米というよりライスと言った感じでお皿に盛ってあるが、流石に、箸ではなく、スプーンとフォークが付いてきたようだ。

 また、澄んだ空色のスープも片手持ちの耳が付いたカップに注がれトレイに乗っていたが、これも変な色だけれど味は普通なのだろうか?


「後は、数日をダンジョンで過ごすなら、衣類は『倉庫』にまだまだ替えの服はあったはずだから、食料かな」

「うーん、着替えは『倉庫』の中の物では周りと浮くかもしれませんから調べたほうがいいと思います。あと下着もごにょごにょ」

「うん? ああ、たしかにね。これまで見た感じだとある程度の服は、着ても違和感がなさそうだけど、服屋か古着屋で売っている物を見たほうがいい、か」


 スコップ、食料、うーん、後はなんだろうか?


「解体した魔物は『倉庫』に入れればいいし、ソリとかはいらないかな。時計はまあ、あったほうがいいけど無くてもなんとかなるか」

「そうですね。武具や防具は予備が『倉庫』に入ってますので今の所は必須というわけではないですね。ただ、念のため、念のためですよ、予備となりそうな物を見繕うために鍛冶屋を見に行きたいと思いますが、いかがでしょうか?」

「うんうん、本当にフィーネは武器が好きだな」


 からかうとフィーネは自分でも分かってたのか顔を赤くしつつも拗ねるという器用なことをする、こういう所は本当かわいいな。


「まあ、それはこの後ついでに回ろうか。あと他は調理器具や野営するための道具とかも、かな」

「そうですね、その辺りも持ってないので購入しましょうか」

「うーん、ダンジョンのマッピングはどうしようか」

「念のため購入しましょう。恐らくイオリ様の『広域空間把握』の魔法でなんとかなりそうな気がしますが、何事にも備えておくのは悪くないと思います」

「だな。まあ、ここに来るまでに使ってみた感じでも問題無く使えたっぽいから多分『広域空間把握』で問題ないと思う」


 とりあえず、この組合に来るまでの短い距離で周囲に影響を与えない感知系のスキルや『広域空間把握』を含む探索系の魔法を使ってみた感じだと、魔力が濃い影響なのか大幅に性能が上がっている気がする。

 まだ、それほど過ごしていないので時間の進み、と言うか1日の長さが同一かは分からないけどそれは後回しだな。


「なるほど、すでに試していたのですね」

「うん。しかし『広域(bamhi)空間(nzvimbo)把握(anzwisise)』もそうだけど空間魔法の『倉庫(warehouse)』が使えるのはかなりのアドバンテージだな」

「これは、あまり大っぴらに話せないですね」

「まあ、確かに下手に話すとトラブルの元になりそうな気がするな」


 そういえば、便宜上は俺たちは空間魔法系としているけど、この世界の魔道具で使われているものは、違う仕組みかもしれないから、これはぜひ調べないとな。

 前の世界では興味がありつつも、魔王討伐のせいでなかなか時間が取れなかったので魔道具の調査も含めて色々やってみたい所だ。


「俺たちは『倉庫(warehouse)』が使えるから今の所は購入する必要もないけど」

「けど?」

「まあ、余裕ができたら購入して研究してみたいな、と思うわけだ」

「もう、イオリ様も私のことを言えないじゃないですか」

「まあ、そう言うな」


 まあ、あくまで余裕ができたら、だからな。


「そういえば、魔道具といえば、ダンジョンからの緊急離脱用の魔道具は持っていたほうが良いとあったっけ」

「完全に忘れてました。それも忘れずに購入しないといけませんね。組合の売店で売っているのでしょうか?」

「多分売っていると思うけど、売ってなかったら、いや売っていても魔道具店も後で行ってみよう。うん、そうしよう」

「鍛冶屋もですよ、イオリ様」

「分かってるって」


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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2016/07/27 ルビを修正

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