第百五話 イオリと暗黒狂竜亜種と……
すいません、微妙に間に合いませんでした。
今回は、少し短いです。
「なるほど。それで…… 表面は傷を付けない方が良いのでしょうか、素材的に?」
「どうだろう。まあ、傷がない方が高く買い取ってもらえそうな気がするけど、防具にするにしても一つ一つはそこまで大きくないからある程度ならいいんじゃないか? それに、お金には困ってないし」
なるほど、とソータは頷き、呪文を唱えを始める。
基本的には詠唱はなしでも問題ないけど、僅かばかり威力が上がるらしい。
俺は逃げ出さないように拘束しておこうか。
「あ、捕縛ありがとうございます。では行きます! 『マルチプル・ウェポン・フォールアウト』」
俺が、暗黒狂竜亜種を『拘束』で動けなくしてから、少しの後、詠唱を終え魔法が発動すると、暗黒狂竜亜種の上空に巨大で重なり合う魔法陣が現れる。
暗黒狂竜亜種も魔力の集まりに気がついたのか、俺達を睨んでいた首を上げて上空を見るが、気が付くのが遅いな。
拘束されたまま暗黒狂竜亜種が上空の魔法陣に向かってブレスを吐こうとするが、それよりも先にソータの魔法が発動した。
ーーズガガガガガン!
魔力で構成された大量の武器が魔法陣から放たれ、雷鳴のごとく鳴り響きく中で暗黒狂竜亜種に突き刺さっていく。
俺がさっき使った『雷槍』のような電撃のような追加の効果はなさそうに見えたけど、拘束された状態で暴れだす暗黒狂竜亜種を見ていると、見た目では現れない効果があるのかもしれない。
「え? 効果ですか? うーん? あ、もしかして魔力の吸収で具合が悪くなっているのかもしれません。魔法陣から出て来る武器は魔力で構成されていて魔法陣から射出されたあとは、周囲の魔力を吸収して一定時間は残る仕組みなのです。ただ、この世界では吸収の速度が強い、か暴走しているのかもしれませんね」
この場合の周囲の魔力と言うのは、ソータの言い方からすると、武器が刺さった獲物自体も対象になっているようだ。
まあ、何にせよ、弱っているんだからさっさとトドメを指すに限るな。
「ということで、リーンよろしく! あ、炎属性じゃないほうがいいかな、痛むから」
「なるほど、妾に任せるのじゃ!」
トドメをリーンに頼むと、元気な返事が返ってくる。
同じドラゴンに対してとどめを刺すことに忌避感はないのだろうか?
まあ、喜々として止めを刺そうとしているので、あまり気には指定なさそうだな。
「『妾が糧を喰らい、氷結せよ! 穿け、アイスニードル!』なのじゃ」
リーンが放った数えるのも難しいほどの無数の氷の針は次々と拘束された状態の;;;に突き刺さる。
ちなみに、糧と言っているが、何も言葉の通りに身を切ることは無いようで、普通に魔力で魔法を起動しているようだ。
今回リーンは、得意な炎属性ではなく、どちらかと言うと苦手な氷属性の魔法を使っていた。
基本的にはエンシェントドラゴンだけあって一通りの属性は使えるようだけど、今回は炎属性を使ったら素材が痛むので氷属性を使うように頼んだのだ。
魔法を起動するときに、詠唱をしたのは苦手ということで逸力が落ちることを回避するためのようだな。
もちろん。リーンは詠唱や略式詠唱だけではなく、詠唱を省略し魔法を組み立てる事で時間差なしに魔法を発動できる所謂、無詠唱と呼ばれている類の技術も持っているが、やはりソータと同じように詠唱したほうが魔法が安定し威力が上がるのは世界をまたいでも変わらない真理らしい。
まあ、俺はいざとなったら魔力でゴリ押しするけど。
「ギッァアアアアアーー!!」
リーンの魔法をその身に受けた暗黒狂竜亜種は、一瞬叫び声を上げるが、すぐにそれすらできなくなり力尽きる。
すこし様子を見るが、間違いなく倒せたようなので『倉庫』にしまうことにする。
しまうために近くに寄って見ると、先程まで突き刺さっていた氷の針はすでに溶けてなくなっていて、穿たれた傷は少し氷が残っていた。
よく考えて見たら、リーンにしたように水責めにして見たり、結界内の空気を抜いて見たりしてもよかったかもしれないが、どこまで効いたかわからないし、多少素材の価値が下がろうがそこまで生活が逼迫していることもないので、まあいいかと思い直す。
「さて、守護者? も倒したことだし、この遺跡を調べてみようか」
「いよっ! 待ってたぜ!」
「まあとりあえず、調べるにしても結界の解除をイオリ君がしてからですね」
「おっと、忘れてたな」
ソータに言われ、慌てて結界を解除すると、遺跡に魔力が集まり始め、中に描かれていた魔法陣らしきものもそれに呼応したかのように眩いばかりに光りだした。
「んぁ! な、何だ?」
「こ、これは眩しいです」
「なんかヤバそうな気配が……」
そして、輝きによって完全に見えなくなった後、俺たちは……
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