第百一話 イオリとスケルトンの魔物
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地図は暫く待っていると特に妨害があったりすることもなく完成する。
俯瞰的に見る限りでは空白部分もないので問題ないだろう。
今いる階層も前の階層と同じように五階分の高さが有る建物自体がダンジョンの階層を構成している。
外から見るとさぞ立派な外観をしているだろうという部屋が続いているけど、実際の所は丨内開き《・・》の窓を開けると外の景色が消え、すぐ目の前に岩壁が現れるので、外観と呼ばれるような部分は存在せずに、巨大な洞窟内に部屋が埋め込まれているのがこの付近の階層の特徴のようだ。
「あー。まだこれ続くのか? うちはもう飽きたんだけど」
「そうですね。後も同じような内装? が続くとイオリさんじゃないですがうんざりしますね」
「まあ、もうちょっとでボス部屋だから我慢だな。フィーネもな」
「え? あ、はい。そうですね」
同じような内装が永遠と続くように思える通路を暫く歩き、アイツやフィーネなども飽きて来たのかちょっと気が緩み始めた所で、やっとボス部屋に辿り着いた。
階の上下や床や部屋を無視した直線距離はそこまで離れていないと思う。
ただ、どうしても上下移動が必要なために階段までを最短距離で進んでも移動の時間は掛かってしまうのはしょうがない。
気が緩む原因としてはもう一つ、移動の途中で出てくる魔物がスケルトン系のスケルトンメイジやスケルトンウォーリア、スケルトンリーダーなどだったためで、アイツやフィーネでは一瞬で倒され、ソフィーやともすればリーンでも危なげなく倒せたからという事もある。
前の階層でも、ボスはそれなりに強かったけど、階層内を歩き回る魔物は全くと言って良いほど歯ごたえがなかったらしい。
「おっ! ボス部屋ってのはここだな?」
「ですね。楽しみです!」
階層の地図は『自動地図』を使って俺以外の全員も確認できるようにしてある。
アイツとフィーネはそれでボス部屋を確認しながら、それはまるで花が咲くように笑いながら楽しそうに話している。
それを見ている俺とソータは呆れた感じで、リーンとソフィーは少し引いているようなので、まだ戦闘狂に毒されては居ないようで安心だ。
「じゃあ…… うちから、いくぜっ!」
「あっ、私も行きます!」
ボス部屋の扉を勢い良く開き好戦的な女性陣二人が中へと飛び込んだため、泡って残りの四人も部屋へと飛び込む。
部屋の中は、意外と広く高さも三階から四階分ぐらいはありそうだ。
「おー? 今回は前のよりも偉そうな感じだな? 強いのか?」
「そうですね。前のは、スケルトンプリンスでしたっけ? スケルトンにも王族とか居るのでしょうか?」
何故かフィーネが頓珍漢な事を言っているけど、それもまあ対する魔物自体に脅威を感じていないからだろう、と思う。
とりあえず部屋奥の段が付いて少し高くなった場所中央で椅子に座り、足を組んでいる魔物を『鑑定』してみるスケルトンクイーンと出る。
回りの兵士風の魔物はスケルトンジェネラルやスケルトンメイジ、スケルトンナイトなどのようだ。
ところで、このクイーンは女王の事だろうか? それとも王妃のことなのだろうか?
「お、相手が動くらしいぜ?」
「ふふっ、受けて立ちます。元王女として、他国? の王族に負けるわけには参りませんから」
元王女、とフィーネが言った辺りでアイツは少し驚いていたが、とりあえず今は目の前の戦いに集中する事にしたようだ。
そう言えばパーティーの皆に対してフィーネが王族だってのは言っていなかったような覚えがあるけど、まあ世界も違うし別に何かを振りかざそうとかそういう考えはフィーネにはないから関係ないだろう。
あとは、この世界にはもう国はないから、下手に吹聴すると頭の可哀想な子に見られるかもしれないな。
フィーネ自体は別に気にしないだろうし、外で口外するとも思えないから気にする事もないけど。
「そこで踏ん反り返っているやつはうちが粉々にしてやるぜ! と、言う訳で…… お先にだぜ、フィーネ!」
「あっ! イオリさん待ってください!」
少し上の位置から俺達を見下ろしていたスケルトンクイーンは、私は偉いですと言った、まさに女王様然とした態度をしていた。
まあ、スケルトンなので表情はわからないのだけど、そんなふうに俺は感じた。
さらに態度だけではなく、どうやら魔法を使っても威圧をかけていたらしい。
もっとも、リーン達がすこしビクッとしただけで、ソータを除く他の二人は、もしかしたラフィーネは気が付いているかもしれないけど、アイツはそもそも威圧されていた事にも気が付いていないようだった。
おそらくは、実力が離れているせいで魔法自体が抵抗されたか無効化されたのだろう。
あとは、本人の性質、要するに鈍感具合にも依るのかもしれない。
「うりゃー! はっ! ほっ!」
ドゴッ――
「うーん? やはり、スケルトン系の魔物は脆いです。復活もしないようですし」
バキッ――
遅れてボス部屋に入ってきた俺達が見ている中、危なげなくと言うより、戦力が過剰な状態で魔物達を蹂躙している。
ちなみに、本人は忘れているようだけど、大剣でさっくりと切ってもスケルトン達が復活しないのは前の世界で聖属性が神官から付与された武器を使っているからで、『鑑定』の結果を見る限りでは、本来はスケルトンクイーンやスケルトンプリンス、スケルトンジェネラルなどの中位から上位の魔物は回数に違いはあれど復活するようだ。
アイツの方が復活しないのは聖属性がどうとかいう前に殴って復活が出来ないぐらいに粉々にしているためで、その証拠にさっきも粉々に砕かれたスケルトンジェネラルの残骸が復活しようとするも中途半端にくっついたまでで魔力が足りなくなったようでまるで空間へ溶け込むように消えていくのが見えた。
そして、あっという間にスケルトンクイーンを含め室内に居た全ての魔物を倒し終わったアイツとフィーネは、もう次のボスとの戦闘について話している。
気が早いことだ。
「うーん、やっぱ歯ごたえがないなぁ。次からはうちと交代でやるか?」
「そう、ですね。私個人としてはそちらの方が嬉しいですが…… では、そうしましょう!」
ちらっと、こちらをフィーネが見たので、特に断る理由もないし頷くとニッコリと嬉しそうに微笑んだ。
まあ、元王女が血生臭いダンジョンの戦闘を期待して歓ぶのは、親である王様としてはどうだったのだろうなぁ、と少し同情してしまった。
とりあえず、その後もリーン達が混ざるが、基本的にフィーネとアイツが交代で一階層づつ順番にボスを倒して行く。
流石にこの階層付近になるとボスが既に倒されていて、部屋の中が空っぽでフィーネ達ががっかり、といったことはなかった。
倒したボスは全てスケルトン系の魔物で、スケルトンプリンスから始まり、スケルトンプリンセス、スケルトンクイーン、スケルトンキングやスケルトンエンペラーまで選り取りみどりだった。
主に後ろで待っていることが多い俺達は、スケルトンキングとスケルトンクイーンが二体出てきたり、その逆でスケルトンクイーンとスケルトンキングとスケルトンエンペラーが同時に出来たりと、なかなかおもしろい組み合わせを緊張感もなく眺めていたりした。
もちろん、上位種が三体出てきた所でフィーネ達の敵ではないのであっさりと倒されていたけど。
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