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キンモクセイ香る。  作者: 行雲流水
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1,翔、生まれる。

2014年12月18日、俺はこの世を去った。19歳になって1か月が経っていたころだった。


死んだときのことはよく覚えていない。多分、世間でいう「眠ったように亡くなる」っていうやつだと思う。

俺の死因は癌だった。食道癌。発見された時にはもう身体の中のそいつは俺を殺す準備を着々と、静かに進めていたらしい。


医者に宣告された猶予は半年だった。これから俺の過去と今について話をしようと思う。





俺の名前は竹籐 翔。俺の親は、「羽ばたくように、まるで翔ぶかのように元気に育ってほしい」とこの名前を付けてくれた。自分でも結構気に入っていたほうだと思う。


俺は1995年11月11日、兵庫県の某所に生まれた。いわゆるポッキーの日というやつ。


でも俺の母ちゃんは、俺を産むやいなや、頭が真っ白になったらしい。



「あなたの息子さんは、心臓病を患っています」



もし俺が父親になったその日にそんなこと聞いたら、発狂するんだろうな。そのへん考えたら俺の親ってすげぇなって思う。俺の父ちゃんはその日、仕事で俺の出産に立ち会えなかったんだけど、病院から連絡が入って大阪から急いで帰ってきたんだって。ほんと、病院からそんな連絡が入って、大阪から病院までの道のり、電車の中でどんな顔して帰ったんだろうな…



俺は急きょ、隣の市の市民病院へ搬送された。でも、院長が言うには「うちではこの病気は治せない」と。実際にどう言ったか知らないけど、要約するとこんな感じだろう。

俺の病気がどんなものか知らないけど、身体障害者手帳の1級に登録されてたから、なんとなくやばいんだろうな。

そして院長は岡山県の大学病院を勧めた。そこの外科医なら何とかしてくれると。

そして俺が生死をさまよう中、救急車は2時間かけて大学病院に向かった。


手術は6時間に及んだ。長いのか短いのか…でも、6時間も神経尖らせて1人の患者助けようと頑張ってるんだからすごいな。

手術は成功した。俺の父ちゃんや市民病院の院長は「あの人でなければ助からなかった」と豪語していた。どうにもテレビ業界にも顔を出す名医らしい。そんな人に助けてもらったって俺は誇らしい。まぁ、死んじゃったんだけど…ごめんよ、先生。


俺の父ちゃんの兄貴、まぁ俺から見たら伯父さんなんだけど、俺の病気のこと聞いて何も言わずに手術費を全額払ったらしい。高校教師をやってた伯父さんは独身だったから俺が生まれてくれるのをすごく楽しみにしてくれてたらしい。かっこよすぎて鳥肌が立つわ。世間の男癖の悪い女はこういう男を見つけろって言ってやりたい。


そんなこんなで親不孝というか伯父不孝?してしまったし、いろいろと迷惑をかけて俺は生まれた。


母ちゃんは病気の俺をたいそう心配してたらしいけど、杞憂だったみたい。

俺はいわゆるワンパク坊主というか、まぁ実際坊主だったんだけど外から帰ってきたら服を泥だらけにして右手にザリガニ掴んでるような、そんな男の子だった。そういえばガキの頃は生傷絶えなかったっけ。恐れを知らないから大型犬の頭を撫でようとして噛まれたこともあった。思えばあの時初めて本気で死ぬと思った時だった。その10年後にほんとに死ぬんだけど…



そして、俺は普通の男の子として、公立の小学校へ入学した。なんか新しい顔と、おじさんと、ひろい空き地みたいなとこがあるってすごくワクワクしたのを覚えてる。そういえば、校門の段差で躓いて転んで記念すべき初めての学校生活が泣き顔から始まるっていう惨憺たるものだった…。

両膝にでっかい四角の絆創膏を装備して俺は入学式を終えた。脚は痛いけど、それでもすごく楽しみだった。




でも、楽しみだと思ってた俺の学校生活は少しずついびつな道を歩んでいく…




初めまして。行雲流水(こううんりゅうすい)と申します。


こちらのサイトに登録してからすぐにこの作品を綴り始めました。この物語を書くに至ったきっかけはありません。ほんとに、ふと、書こうと思ったんです。

そして、この物語は私の実体験も交えつつ書いています。どこからどこまでがノンフィクションなのか、お話しする機会があればまたいつか。


本当に小説というものを書くこと自体が初めてでございますので、読者様にとって理解しがたかったり、読みづらいというご意見もあると思われます。

貴重なご意見ありましたら改善できるよう精進してまいりますので、よろしくお願いします。



この場で少し登場人物の紹介をしたいと思います。

時系列は翔が19歳の誕生日を迎えたあたりです。その他登場人物は物語に応じて逆算します。現時点で公開できるプロフィールを紹介します。


竹籐(タケトウ) (カケル) 

19歳。11月11日生まれ。AB型。身長168cm。

兵庫県某所に竹籐家次男として生まれる。しかし生まれながらに心臓病を患い、様々な経験をしていく。

少年時代は純粋でどこにでもいる元気な男の子だったが、自らの病気をきっかけに人間のあらゆる「こころ」を見ることとなる。


竹籐(タケトウ) 宋次郎(ソウジロウ)

60歳。6月5日生まれ。A型。身長165㎝。

翔の父。翔に名を授けたのは彼である。高校卒業からサラリーマン人生を歩み、定年退職した。

翔が生まれた当時は仕事場におり、翔の悲報を聞いて早足で病院に向かった。感情をあまり表に出さないタイプ。愛煙家。


竹籐(タケトウ) 陽子(ヨウコ)

49歳。5月2日生まれ。AB型。身長159cm。

翔の母。旧姓は荒津(アラツ)。この物語における重要人物。

まじめで芯の強い女性で、周囲から怖がられることもあるが、息子をのことを一心に想う心優しき女性でもある。


佐藤(サトウ) 健大(ケンダイ)

66歳。A型。

岡山にある大学病院の副院長。翔の手術の主治医で、その腕は海外の研究チームや、マスコミも注目するほど。翔の手術を担当した頃は大学の講師でもあった。翔を含めこれまでに助けた命は数千にのぼる。


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いかがでしたでしょうか。次回は翔の小学生時代~高校入学までをお送りします。彼の心の変化、人間関係、様々なうねりの中で、彼が成長していくのを見守っていただけたらと思います。


ありがとうございました。


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