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入学式と挨拶と格差社会

 「新入生の皆さん、入学おめでとうございます。」


 ここは、シガサ国立学園では、入学式が行われていた。


 入学式の挨拶をしているのは、三日前森の中で一人の男を見捨てたり、その男が変身したと思われるゴーレムタイプの魔人に襲われたり、見捨てた男を町の中で見かけたりと色々な事があった生徒会長だ。


 「私は生徒会長の、ブルーローズ・ハニードルと申します、気軽にハニーとお呼び下さい。」


 (本当は呼ばれたくねぇけどな。)


 「さて、このシガサ国立学園について説明させて頂きます、この学園は今から五十六年ほど前に初代学園長が戦場で手柄を立て、王様にご要望して建てられました。」


 (聞きたくないような顔が一杯だなぁ・・・)


 本人も言いたくはないが規則な為、長々と学園の歴史を語った。


 「それでは皆さん、武器魔法などの部活動や依頼活動などに興味がありましたらそちらにも励み、充実した学園生活を過ごしてください、これで私からの挨拶を終わりとさせていだたきます。」


 (あ~やっと終わった~)


 生徒会長の挨拶が終わり、次は特別入学生からの挨拶だ。


 「それでは、特別入学生の方お願いします。」


 (特別入学制・・・誰だ?)


 ブルーローズが疑問に思いながら特別入学生のいる天幕を見つめた。


 (・・・!?)


 ブルーローズが目を疑った、三日前、森の中で見捨てた男が天幕から出て来たからだ。


 その男は入学生全員の前に立った。


 「どうも皆さんこんにちは、特別入学生のアカキバ・マイカです。」


 (嘘だろ・・・何でだ!?)


 ブルーローズが混乱している。


 「何故、俺が特別入学生と言う枠に入れたかと言えばそれは二日前、俺の日課の素振りを終えて部屋に帰ったら、そこに学園からの紹介状が届けられていたからです。」


 (紹介状・・・誰から?)


 「俺は何かの間違いかと思い、すぐにここへ行きました、門番に紹介状を見せると門番が青ざめ、ちょっと待っててくれと言い学園内へ走りました、しばらくして戻ってくると、俺を学園長室へ案内して貰いました、そこで紹介状は確かに学園長が出したものだと言われ、入学するかどうかと言われ、俺は喜んで了承しました。」


 (何でだよ!?何でだよ!?何でだよ!?)


 「俺が特別入学生になれた訳は以上です、続いて俺についての説明ですが・・・正直俺は弱いです。」


 (は!?何でそんな事言うんだ!?)


 ブルーローズだけでは無く、入学生全員が困惑している。


 「何で特別入学生なんだ?と思う位に弱いですが、当然俺にも強くなって裕福な未来を送りたいと言う願望はあります、その為に部活をやる予定もありますが、ただ部活に入っても強くなれるとは思えません、それどころか上の先輩方にこき使われ強くなれる機会すら貰えないかもしれません、ですので俺は部活を作ろうと思います、どんな事をする部活かは今も考えていますが、いずれ申請するつもりです、俺の部活に入った人全員、魔法を使えるか否かは問わず平等に強くなる機会を与えます、もっと高みを目指したい人、今の強さに満足していない人は是非俺の部活に入って下さい、以上です。」


 こうして特別入学生アカキバの挨拶が終わった。


 (((((何だったんだアイツは・・・)))))


 この場にいる全員がそう思った。




 「さてと、俺が入るクラスはどこかな・・・」


 この世界の学園のルールはいまいち分からないが、クラス表を見るとどうやら約十五人のクラスが四つある様だ。


 「お、あった・・・風組か。」


 四つのクラスの名称は、風、地、光、闇だ。


 「えーと、風組は・・・ここか。」


 俺はドアを開け、中に入った。


 中は日本の学校とそう変わらない教室だったが・・・


 「後ろの列は机も椅子も無し、真ん中は普通の木の椅子と木の机・・・うぉ!前は高そうなソファーとデスク!真ん中特に凄そう!」


 ・・・誰もいないな、良し一番前の真ん中に座ろう。


 「よいしょっと。」


 おぉ、これは座り心地いいな、何だ?この鈴。


 「良し、俺が一番・・・うわ!既に座られてた!」


 あ、この前魔法教えてくれた灰色の髪の人だ。


 「あれ?お前、アカキバか?」


 「はい、俺はアカキバです、立ったままでは何ですから俺の隣の席にでも。」


 「では、お言葉に甘えて。」


 灰色の髪の人は、俺の左隣に座った。


 「いやぁ、それにしてもお前早いなぁ。」


 「と言う事は席に座るのは早い物勝ちですか?」


 「そうなんだよ、俺も教師にその事を聞いて全力で走ったんだけどな・・・そう言えば自己紹介してなかったな。」


 「そうですね、俺はアカキバ・マイカです。」


 「俺はロイド・ロジックだ。」


 他愛も無い会話をしていると、他の風組生徒も集まって来た、前の席があっという間に埋まり、次に真ん中が、最後に後ろが後一つまで埋まった。


 まだ来ていない生徒は・・・


 「よいしょっと。」


 姫様だった。


 姫様は三列の席の格差に驚き、しかも後ろの一つしか空いて無かったので渋々後ろの席に正座した。


 一国の姫なのに可哀想だな。


 すると、教室の中に誰かが入って来た。


 「お前ら、席に・・・着いてるな、席の格差についての文句は受け付けないからな。」


 それは三日前、ゴーレムタイプを蹴り一発で倒した化け物教師だった。


 「俺がこの風組を担当するアベル・ロードだ、よろしくな。」


 結構かっこいい名前だな。


 「それでは自己紹介を・・・一番前の真ん中のお前から。」


 俺から始まり、次々と自己紹介を終え、いよいよ最初の授業が始まった。

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