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森の中の殺意 後編

 「ハハハハ、それで終わりか?」


 灰色の髪の男が、光魔法を使い教官の目を眩ませ、そこから一斉に飛びかかる作戦だったが、光魔法を使っていざ飛びかかろうとしたら教官はいなかった、その後全員教官に攻撃されてしまった。


 (この教官化け物かよ・・・まぁ作戦と時間はたっぷりある、次は魔法を使える奴全員で一斉攻撃を・・・)


 灰色の髪の男が教官を前にそう考えていたら、突然咆哮が聞こえた。


 「熊・・・?」


 入学希望者の一人がそう言った。


 「いや、魔人かもしれないぞ。」


 教官がそう言った。


 「誰かがこっちに来ますよ。」


 エイルの言う通りに森の向こうから誰かが走って来た。


 「あれは・・・二年の生徒会長か?」


 ちなみに何故二年生が森の中にいるのかと言えば、今日は入学試験の日なので二年生と三年生は休みだからだ。


 「ハァ、ハァ、助けてください・・・ケルベロスタイプの魔人が・・・襲ってきて・・・」


 (あの覗き魔を犠牲にして逃げ切ってやったぜ、ざまあみろ!)


 「そうかそうか・・・大変だったな、立てるか?」


 教官が生徒会長に手を差し出した。


 「いえ・・・大丈夫です・・・」


 (この私に汚ねぇ手を出すんじゃねぇ!)


 生徒会長がそう思いながら自力で立ち上がった。


 「生徒会長さん、他に誰かいませんでしたか?」


 灰色の髪の男が質問した。


 「いえ、いませんでした。」


 (アイツ以外はな。)


 「なるほど・・・分かりました。」


 「先生、魔人はどうしましょうか・・・?」


 (さっさとしろ。)


 「・・・その心配はしなくて大丈夫そうだぞ。」


 「え?」


 (こいつなにバカな事言って・・・上?)


 教官が上を指さしたので、生徒会長と入学希望者全員が上を向くと・・・


 「グァァァァァァァ!!!!!」


 ゴーレムタイプが降って来たのだ。


 落下の衝撃で地面が揺れる音と、何かが潰れるような音が同時に聞こえた。


 そして、ゴーレムタイプが何かを食べる姿がこの場にいる全員に見えた。


 「犬・・・?」


 (おいおい・・・あの魔人・・・ケルベロスタイプを食ってやがる・・・)


 食べては吐きだし、食べては吐きだしを何度か石の怪物が繰り返していると、突如石の怪物が生徒会長達の・・・いや、生徒会長の方を見た。


 「ウゥゥゥ・・・!!!」


 ゴーレムタイプが唸っている・・・と思っていた次の瞬間。


 「ウゥゥゥゥゥァァァァァァ!!!!!!!!」


 石の怪物がこっちに向かって来た。


 「うわぁ!こっちに向かって来た!!」


 「キャアアアアア!!!!」


 「逃げろ!!みんな殺されるぞ!!」


 入学希望者の殆どが逃げたそうとしたが、数名立ち向かおうとする者がいるのを見て、立ち止まった。


 「灰色の髪のお前!光魔法を使えるよな!?」


 「使えますけどどうするんですか!?」


 「あいつに使って怯ませろ!その隙に俺があいつを倒す!」


 「そんな事出来るんですか?あの魔人はオーガタイプをあっさり倒せるほど強いんですよ!」


 エイルが大声でそう言った。


 「俺は教官だぞ!あんな石野郎一発全力で蹴れば倒せる!」


 「本当ですか!?」


 「議論している暇は無い!お前!光魔法だ!」


 「はい!」


 灰色の髪の男が木を登り、ゴーレムタイプの目の前まで行った。


 だが、ゴーレムタイプは男に見向きもしない。


 (どう言う事だ?)


 ゴーレムタイプが拳を上げ、振り下ろした。


 振り下ろした先にいたのは生徒会長だった。


 (ふーん・・・おっといけない)


 男は光魔法を放った。


 ゴーレムタイプが怯んだ。


 「ずえりゃ!!!」


 その隙に教官がゴーレムタイプに蹴りを入れた。


 ゴーレムタイプは後ろに倒れ、頭から消えていった。


 教官が地面に着地した。


 その時、教官の後ろと左から飛びかかった者がいた。


 「「一・・・」」


 その二人の正体は灰色の髪の男とエイルだった。


 「「二・・・」」


 教官は隙を突かれたと思い起き上がろうともがいたが・・・


 「「三!!!」」


 起き上がれた時には、もう三秒が過ぎていた。


 「・・・・・負けた、お前ら合格決定だ、おめでとう。」


 入学希望者全員が喜びの声を上げた。


 「おめでとうございます!皆さん!」


 (まさかあの魔人を倒した隙を突くとはな、感心したぜ。)


 そして入学希望者、生徒会長、教官は学園に戻った・・・




 (アイツは化け物か・・・?)


 魔人から人間に戻り、気付けば部屋にいた俺が散歩に出かけている最中、俺はそんな事を思っていた。


 どうやら人間から魔人になる時と魔人から人間に戻る時の場所は別にもなるようだ、そして人間に戻ったら体は再生するようだ、助かる。


 (あ、噂をすればその化け物と入学希望者の団体がやってきた。)


 俺は姫様を見かけたので手を振った。


 姫様も手を振り返してくれた。


 すると、何故かこちらを見て驚愕している赤髪の女が見えた。


 (アイツは・・・クソ生徒会長・・・)


 どうやら俺が生きていたり俺の右足が再生しているを見て驚いているようだな、無理もない。


 (まぁでも、今後アイツがあの事を口に出す事は無いだろう、言ったら魔人になって復讐される可能性が高いからな。)


 俺は散歩を再開した。




 (何でだよ!何でだよ!何でアイツが生きていて、しかも足があるんだ!?)


 赤牙の推察通り、生徒会長は驚いていた。


 「どうしましたか?生徒会長。」


 灰色の髪の男が質問した。


 「え!?いえ、何でもありません!」


 (森の中で私が見捨てた奴がいたので驚いたなんて言える訳ねぇだろ!)


 「そうですよね。」


 男は少しにやけながらそう言った。


 (誰もいなかったと確信してるんだもんねぇ・・・)

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