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剣の訓練と、鬼への殺意

 俺は今、疑問に思っている事が二つある。


 一つ目、あの時俺は、あのオーガタイプとやらに踏み潰されて死んだはずだ。


 それなのに俺は生きていて、しかもそのオーガタイプは空も割れずに現れたゴーレムタイプによって投げられ、殴られ、そして踏み潰されたとエイルとか言う姫は言っていた。


 俺の死因とオーガタイプの死因が一致している・・・まさかな、考えたくもない。


 そして二つ目・・・




 何故俺は、一国の姫様の部屋に、しかもその姫から入室許可をもらってここに住むことになったのだろうか?


 俺が強くしてくれと頼んで、それを了承した姫様は、俺を今度姫様が入学する・・・何とか学園に通学するために使う学生寮の自分の部屋に入れて、ここに住めと言った。


 だが、入学試験は来週らしい、随分気が早いこった。


 当然俺は色々と問題があるんじゃないかと言ったが、姫様は訓練するなら同室の方が近いし他の部屋を取る金も掛からない、ここは男女混住寮なので同室でも違反ではない、家族や寮長には姫個人の問題なので口出しされる言われは無いと言って来た、等とぐうの音も出ない理論を言われた。


 だが俺もその方が都合がいいので内心ナイスだと思った。


 「アカキバさん!色々買ってきましたよ!」


 お、姫様が帰って来たぞ。


 「青銅の剣やら槍やら魔法の使い方が書かれた本やら・・・まさに訓練用って感じですね。」


 「訓練は沢山の種類をやる方がいいですからね。」


 まぁその通りだな。


 「こっちは、食料品ですか・・・肉に、野菜に、茸に、鰹節に、空のお菓子の袋が三つ・・・え?」


 「あ・・・」


 肉と野菜などは分かるけど何故空のお菓子の袋が三つも・・・あ。


 「もしかして、姫様・・・買い食いしまし・・・ひぃ!」


 「それ以上言ったら、どうなると思います?」


 姫様が首筋に手を当てた、買い食い趣味がある事は言われたく無いんだろう。


 そう言えば3時になると必ずお腹が空くんだよな。


 「いえいえいえいえ、何でも、あ、ありませんよ、アハハハハハハハ・・・・」


 「そうですよ、何でもありませんよ、さぁ、外に出て訓練を始めましょうか。」


 「はい!!」


 俺は大声で返事をした。




 俺と姫様は、城下町の門の外へ来た。


 「では、これより訓練を始めます。」


 「はい!」


 「ではまず、剣を持ってみてください。」


 「はい!」


 俺は剣を持った・・・うーん、俺に合っているのか分からない。


 姫様も剣を持った。


 「ちょっと私に攻撃してみてください。」


 「はい!」


 良く分からないけど、体全体を使って振るのがいいのかな?


 隙が出来ないように、一振り目の後、すぐさま二振り目、そして防御の構えを取り、姫の攻撃を防いだ。


 「・・・戦い方は分かっているようですね、てっきり全力で向かって来るかとばかり・・・」


 「そこまで馬鹿では無いつもりですので。」


 「でも、力も速さも少し足りませんね、後、防いだ後も殴る事ぐらいは出来た筈です。」


 「そうですか・・・」


 やっぱり戦いに自信があると言っただけの事はあるな、教えるのが上手い。


 「もう一回攻撃してみてください。」


 「はい、では・・・」


 俺は、構えている姫に剣で攻撃した。


 そして姫は俺から見て左に避けた。


 「やっぱりそっちに避けましたか。」


 俺は後ろに下がった。


 「気付いてましたか、てっきり殴ってくるかと。」


 俺はそこまで素直じゃないっての、右手で剣を持っているからそっちに避けるに決まってる。


 「では次は私が攻撃しますね。」


 姫様が俺から見て左に剣を振って来た。


 だが、前がガラ空きだ、俺は姫様に頭突きをした。


 「ひゃう!」


 可愛い声を上げたが油断はしない、俺は右手で持った剣を姫様の脇腹に振った。


 「くっ!」


 姫様は辛うじて剣で防いだが、俺はすぐさま左拳で殴りに入った。


 「がっ、固い!?」


 まるで石か鎧を殴ったような手ごたえだった、そして俺は姫様にショルダーアタックを喰らい吹っ飛ばされた。


 「姫様、今のは何ですか?」


 「・・・防御魔法シールドです、普通に殴られる程度なら簡単に防げます。」


 魔法か、この世界にもあるのか・・・俺、使えるかな?


 「貴方の殴る速度が後少し早ければ、吹っ飛ばされたのは私でした・・・」


 姫様が本気で落ち込んでいる、やっぱりパワーとスピードが俺には足りないな。


 「・・・取りあえず、問題は振る力と速度です、素振りを毎日やってください。」


 「はい、分かりました。」


 他にやる事も無いしそれでも良いだろう。


 すると突然、木が揺れた。


 「モンスターですか!?」


 「!!」


 俺は腹の中から怒りが湧いた。


 俺が先ほど踏み潰されたオーガタイプが幼稚園児ぐらいのサイズになった様なモンスターだったからだ。


 「あぁ、ゴブリンですね、アカキバさんでも楽に倒せるでしょうけど、ここは私に任せ・・・」


 姫様の言葉も聞かず、俺は訓練用の剣でゴブリンに襲い掛かった。


 ゴブリンは俺の怒り狂った顔に怯えているのか動かない。


 俺はゴブリンに剣を振り下ろした、ゴブリンの頭が潰れた、また剣を振り下ろす、今度は体が半分になった、そして俺は最後に踏み潰そうとしたが・・・


 「アカキバさん!」


 姫様の声で止まった。


 ゴブリンを良く見ると、すでに絶命していた。


 「・・・・・」


 俺は、鬼アレルギーなのだろうか。


 そんな事を考えながら俺と姫様は姫様の部屋に戻った。

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