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ゴーレムタイプと姫の個人特訓

 森を抜けると城下町がある。


 城下町には門がある、その門付近に数十名の団体が並んでいる。


 その団体は、王城専属兵士団と言う、その名の通り城に仕える兵士団の一角だ。


 「諸君!シガサの森に魔人が現れた!個体はオーガタイプと判明!落ち着いて対処すれば十分に勝てる相手だ!」


 「「「「「「はい!!」」」」」」


 「城下町に侵入する前に我々が始末する!」


 「「「「「「はい!!」」」」」」


 巨大生物を魔人と言うこの男の名はベガー、団体のまとめ役だ。


 「門の見張り台の弓部隊!魔道部隊!聞こえるか!」


 「「「「「「はい!!」」」」」」


 「声が小さい!もう一度!」


 「「「「「「はい!!!」」」」」」


 「もしかしたら森の中に誰かがいるかもしれない!見つけたら最優先で保護せよ!」


 「「「「「「はい!!!」」」」」」


 「では行動開始・・・ん?」


 突然、何かが転がる様な音が聞こえ、団体の掛け声は妨げられた。


 音が聞こえた方に全員が向くと、水色の髪をした泥まみれの女が転がって来た。


 治療班がすぐにその女に駆け寄った。


 その女を治療しようと治療魔法を掛けた。


 だが女は治療を受けようともせず森の中へ行こうとした。


 当然医療班が止めたが、女は止める手を振り払おうとしたので、治療班は眠り魔法を掛けた。


 女は眠り、そのまま治療を掛けられた。


 「グァァァァァァァァ!!!!!!!!」


 突然唸り声が聞こえた、その直後に地面が大きく揺れた。


 「何だ?何事だ?総員、警戒し・・・・」


 団体全員が息を飲んだ。


 そこにオーガタイプの魔人・・・を、何度も投げ飛ばしたり殴ったりしている別の魔人が現れていたのだ。


 その魔人は、体が岩で出来ている、ゴーレムタイプだ。


 唸り声を上げながら怒りや憎しみに身を任せるかのように、オーガタイプを攻撃している。


 やがてオーガタイプが動かなくなった。


 ゴーレムタイプが足を上げた。


 そして、オーガタイプの顔を、踏み潰した。


 「「「「「・・・・・・・・・」」」」」


 団員達が、訳も分からずその場に立ちすくしている。


 すると突然、ゴーレムタイプが緑色に光り、頭から消えていった。


 団員たちはしばらく立ちすくした後、女を連れ、城へ戻った・・・




 「・・・!?」


 女が目を覚ますと、そこは病院の病室だった。


 「目を覚まされましたか・・・エイル姫様。」


 「・・・・・」


 女は、ベッドの近くにいる医者から姫と呼ばれた。


 「まずは・・・あの魔人から、よくぞ逃げ切れましたね、お辛かったでしょう。」


 「・・・兵士団に伝言をお願いします。」


 「はい。」


 「森の中を探してください・・探して欲しい人が・・・」


 「へぇ~俺の他にも森の中に人がいたんですか~」


 「え!?」


 声が聞こえた方を向くと、ドアの近くに森の中で出会った人が立っていた。


 「あ、あ、あ・・・・・」


 エイルは、喜びと驚きで発音が出来ず、ついには泣き出してしまった。


 「あぁ、すいません!お願いですから泣き止んで下さい!じゃなきゃ俺が抹殺されるかも知れない!」


 「良く分かっているな・・・・・」


 「うわ!助けて!」


 兵士の一人が赤牙に剣を向けた。


 「大丈夫です・・・私、泣いてません・・・」


 兵士の一人がその言葉を聞き、剣を降ろした。


 「あ~死ぬかと思った・・・」


 「申し訳ありません・・・私、貴方が生きていたなんて夢ほどしか思っていなくて・・・」


 「あの時はああするのが正解だったと俺は思っています、俺なんて貴方に比べれば足も遅いし体力も無いし、あの丸太に二人で乗っていたらロープが切れて落ちていたでしょう、結局弱くて何の役にも立たない俺の様な存在にロープもあの化け物も慈悲なんか・・・」


 「やめてください!!!」


 赤牙のドロドロとした自虐に、エイルはたまらず大声を上げた。


 「足が遅いからって・・・体力がないからって・・・犠牲になる方が正解だったなんて・・・そんなの・・・」


 「・・・・・申し訳ありません、でも俺は・・・弱くて何の役にも立たないって事は分かっていますので・・・」


 病室に暫くの間沈黙が走る。


 「ところで、貴方はあの魔人をどう思いますか?」


 エイルが唐突にそう言って来た。


 「・・・あの鬼みたいな奴の事ですか?」


 「いいえ、体が石で出来ている魔人の事です。」


 「・・・すいません、俺、木から落ちて気絶していまして・・・気付いたらここにいました。」


 「そうですか・・・貴方は魔人を見たり聞いたりした事はありますか?」


 「魔人?あの化け物の名称ですか?」


 「はい、魔人はあの森などにいる魔物をそのまま巨大にしたような存在です。今までに何度も何度も空が割れて、その中から現れました。」


 赤牙はエイルの話に耳を傾けている。


 「私や貴方をこの病院まで運んだ人達・・・王城専属兵士団は普通の魔物や魔人を倒す為の団体の一つです。他にも、精鋭団、冒険隊などが全国にいます。」


 (兵士団は給料が安定している公務員みたいなポジションか?精鋭と冒険隊は事業家って所かな?)


 赤牙が地球の職業を元に給料の予想を心の中でしている。


 「今回現れた魔人は、オーガタイプ、まぁそこまで強くはない相手です。何度も攻撃を続ければ勝てる相手です・・・正直私でも武器さえあればどうにでもなったでしょう。」


 「うっ。」


 赤牙の心が傷付いた。


 「ですが問題はここからです・・・私も直接見た訳ではありませんが、そのオーガタイプを襲う魔人が現れたのです。その魔人はゴーレムタイプ、体は石で出来ていて、複数もの心臓があり、魔人の中でも相当強い個体です。兵士団や冒険隊によれば、ゴーレムタイプはオーガタイプを城下町とは逆の方に投げ飛ばし、何度も殴り、最終的には顔を踏み潰したそうです、その後ゴーレムタイプは頭から消え去りました。」


 「オーガタイプはどうしたんですか?」


 「兵士団が回収しました、城下町の鍛冶屋や道具屋に売り、ゴーレムタイプの調査などに使うそうです。」


 エイルの説明は終わった、しかしエイルが何かを思い出した様な顔をした。


 「そう言えば・・・あの時言いかけた事が・・・ありましたね。」


 あの時とは森の中の事だが、何故かエイルが途中で赤牙から顔を逸らした。


 「・・・はい。」


 赤牙が少し顔を赤くしながら返事をした。


 「・・もし、宜しかったら何か私個人でお手伝い出来ることはありませんか?」


 赤牙は少し考え・・・


 「俺を・・・強くしてもらえますか?」


 強くしてくれと頼んだ。


 「はい、分かりました!私は姫ですが、戦いには自信があります。」


 エイルは自信たっぷりに了承した。


 「そう言えば名前をお聞きしていませんでした、教えてもらえますか?」


 「俺は赤牙と申します。」


 赤牙は自分の名前を名乗った。


 「アカキバさん・・・素敵な名前ですね!私はシガサ王城の姫、エイルと・・・」


 エイルが自分の名前を名乗った直後、突然腹が鳴る音がした。


 「・・・・・」


 エイルが顔を赤くしている。


 「・・・・・え?」


 赤牙は困惑している。


 「・・・姫様は3時になると必ずお腹が空いてしまうのだ、アカキバとやら。」


 こうして、赤牙はエイルに訓練を受ける事になった。

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