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話が出来ない魔法使い3
獣や毒虫の群れに何度も襲われたが、このペースで進めばあと2日で街に着くと思う
小高い山を越えるのに姉さんが苦労していたが、エメルの薬のおかげで痛みはなさそうで安心した
エメルが走って薬草などを採取する様子が微笑ましく、姉さんも見て微笑んでいる、一緒に来てくれて本当によかったと思う
山の頂上で湖や森を見下ろしながらの皆で食べる食事は、保存食でも美味しく感じた
もうそろそろ日が暮れるので、今日は街の近く湖まで進んで野営をする事にしよう
野営のことを考えていると姉さんの放つ弓の音が高音に変わり、手数がかなり増えた
巨大な蜂の群れが襲い掛かってきているらしい、空中に得意な爆炎の広範囲魔法を展開させる
エメルに手話で指示を出し、虫除けの薬を思いっきり空に投げてもらう
そして、姉さんとエメルを包み込むようにローブの中に隠れさせて魔法を発動させる
熱で気化した薬に引火し、虫に対して致死性の炎が空を埋め尽くした
今日は湖まで行けないかも知れない
そんな事が頭を過ぎる中、燃えるような痛みで意識を手放した。