2話
主人公の名前が決まりました。
名前って難しいですね~
もう、そりゃ驚いたよ。
ねえ、だって…ねえ?
そして俺はふたたび手に取った。そう、ナースコールを。
「どうしました~?」
看護婦さんが、俺の近くに来て尋ねてくれた。
なんとかこの異常を伝えようと、必死に声をだそうとすると、なんだかすっきりと声が出た。
お昼前は自分でも分かるほどの、酷いしゃがれた声だったけど、今は声に出ている。
そういえば、さっき驚いた時にも声は出ていたような…
たぶんだけど。
「あっ。っと、ですね、俺、女になってるんですけど」
なんとか伝えようとした言葉はコレだった。
看護婦さんは「はぁ」と曖昧に返事をした。
「えとですね、俺…」
なんと言えばいいのか考えてしまった。
まずは俺が男なこと。
確かに性別は男だったはずだ。
でも今は女。
あれ?
考え込んでいる俺を見て、看護婦さんは「ちょっとまっててね」と一言言うと、病室を出て行った。
引きとめようかと思ったが、考えが全然まとまらずにいたため、時を逃した。
しばらくすると、お医者の先生が入ってきた。
「えっと、君。声が出せるんだって?」
「ええ、なんか出せました」
「あと、記憶の混乱が有るみたいだけど、今はどうかな?」
俺のさっきの質問は、記憶の混乱らしい。
のか?
そうじゃないだろうと思っているが、なかなか答えが出せないでいると、さらに先生は質問してきた。
「名前とか住所とかわかるかな?」
当然わかる。分かるんだが、それが本当に合っているのかがわからない。
なにせ、俺の記憶では、俺は男であり、でも今は女なのだから。
「わかりますけど、自信がありません…」
「それはどういう意味ですか?」
「俺は男ですか?」
俺の質問に、先生はちょっと狼狽したような感じがした。
「あなたは女性ですよ」
先生の言葉は、やはり予想した答えではあった。
この体つき。それにアレ…
「すいませんが、じゃあやっぱり自信がないです。俺は確かに男だったはずなんです」
「そうですか…。では一応お名前を教えてもらえますか?」
「夏野です。夏野 新」
「夏野さんですね。住所や、連絡先とかは覚えていますか?」
「ええ、住所は…」
「ああっと、結構ですよ。また後で担当の者が伺いますので、そのときに教えてくださいね」
そこで一呼吸置き、先生は続けて説明をしてくれた。
「あなたは、この近くの道路で倒れていたんです。それで、通りかかりの人が救急車を呼んで、ここに運ばれて来ました。だから名前とか連絡先とか、私どもにはまったく分からない状況でして…」
なるほどね~。でも今欲しいのはその説明じゃなくて、なんで俺が女になっているかなんだがな~。
「まあ、高熱の影響でしょうね。記憶の混乱は。熱は完全に引いている様ですし、もうしばらくすれば大丈夫でしょう。経理の担当の方には、明日にでも伺うように話しておきますね」
そう言うと、先生は俺に休むようにと言って出て行った。
俺はそうなのかな~と思い、横になって…と思ったが、お腹が減っているのを思い出し、冷蔵庫を見てみた。
中にはなにも入ってなかった。
辺りを見回しても、私物と思われるものは何も無かった。
財布が有れば、買い物に行けるんだがと思ったが、無い袖は振れないのである。
しょうがないので、ナースコールをもう一度押し、来た看護士さんに「夕飯は多めでお願いします」と頼んでみた。
なんか微妙な顔をしていたんで、なんともならないかもしれない…
お腹は全然一段落していないのだが、どうしようもないので、ベットに横になり、もう一度整理してみた。
・名前→夏野 新
・住所→長野市のアパートに一人暮らし中
・電話番号→携帯のみ。090△□…
・家族→長野市の実家に両親。兄弟は兄が1人
・仕事→…3日?の無断欠勤…
「やばい、どうしよう…」
事情を話せば、分かってくれるんだろうか?
倒れて病院に運ばれて、今は女になっているとか?
ありえないよな~普通。
いいや、寝よう。
現実逃避しました。
病院編。短くまとめて飛ばしたい今日この頃。
書くのは楽しいんだけど、もっと話をテンポ良く行きたいな~
…あと2~3話で抜けたい。
でも戦闘パートはまだまだ先かな~