プロローグ
それはある日の夜だった。
寝てたはずの俺は、なぜか見知らぬ場所に来ていた。
その場所は、部屋の中で、そこには青ざめた顔をした女の子が、ベットの上で掛け布団を手繰り寄せた状態で、こちらを見ていた。
そして俺の姿を認めると、突然声を張り上げた。
「なにしてるのよ!早くその虫を追い払って!」
ベットの上。あと少しで女の子に触れる位置に、なんか居た。
黒い…光沢のある…
ふとアレかと思い、躊躇しかけたが、良く見ると角が前後に2本ある。
なんかカブトムシっぽい。
俺は虫に近づき、角を持った。俺はいつもオスのカブトを掴むときは、小さいほうの角を持って、ジタバタさせるのが好きだった。
その感じで掴み上げ、カブトっぽい虫を見てみた。
足はなんか多い…
羽も後ろは柔らかそうな光沢を放っている。
まるでアレのような…
俺は嫌悪感、そしてちょっとした義務感。それは当然女の子に言われた事が起因であるのだが。
それを窓を開けて、外にぶん投げた。
嫌悪感が凄かったから、もうそりゃぁ思いっきりぶん投げたよ。
そしたら遠くでなんか潰れた音がちょっとした。
そして窓を閉めようとしたとき、女の子から声が掛かった。
「もういいわ。ありがと。じゃ、帰りなさい」
その言葉を聞いた瞬間、俺はなぜか空中を舞っていた。
もうわけがわからない。
眼下には木が生い茂っているのが見える。どこかの山?だろうか。
ちらっと遠くを見てみれば、街の明かりが見えた気がする。
近寄ってくる木。いや、この場合は当然俺が落ちているから、近寄ってくるように見えるだけであり。
そんなことを一瞬頭の中で考えた。
「死ぬかな」
一声出して、木に突っ込んだ。
体が痛い。
様な、痛く無い様な。
不思議な感覚と共に目を覚ました。
なんだ夢だったのかとの思いと共に。
そこは病院だった。
なぜそんなことが分かるかと言えば、それは入院したことが有るからで。俺は子供のときに交通事故で入院した経験がある。期間はほんの3日程だったが。
まあ、そんな入院経験とかなくても、見舞い経験くらいは誰でも有るとおもう。特にこの日本では。
そんな経験から、今ここが病院だと割り出したのだが、俺はここに来た記憶が無い。
俺の記憶を信じるなら、寝て、妙な夢をみて、目を覚ますとここ。
寝てる間になにか有ったのか?
その可能性は低いといわざるを得ないが、ありえなくは無いだろう。
俺は一人暮らしを満喫中だったから、突然の病気とかでは、病院に来れるわけは無い。
でも危機を感じた俺が、必死で救急車を呼んだのであれば、説明は付く。
また火事になる可能性も無いわけでは無い。
寝てる時に火事に遭い、救助されてココにいる。
なくはない。
俺は、それを確かめるべく、ナースコールを押した。
このあと、どの方向に行くかはまだ未定の部分が大きいです。
何しろ脳内ry