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隙間の国  作者: 土方一
4/5

1日目④ 襲撃

シジマ…この男…いや、クソガキか


他にもいい大人がいたようだけどこんなガキに率いられるなんてプライドはないのか


志嶋(しじま) (げき)だ」


「池田 衛だ」

まぁ自己紹介くらいは常識としてしておくか


「シジマ君はまだ17才なんだけどしっかりした考えを持っていてね、言葉使いは少し悪いけど頼りになる子なんだよ」


ヤスダさん、あんた情けないよ

こんなガキ頼りにしてどうするの?


「細身で非力そうだが…結構体力は必要だぞ、大丈夫か?」


このガキ…


「テメェさっきから誰に口聞いてんだよ!?こっちは年上だぞ」


「……」


何だんまりきめこんでんだ!?


「イケダ君…彼はちょっと特殊な環境で育っててね」

「志嶋総社って聞いたことある?この辺りで有力な会社なんだけど彼はそこの跡取りだったんだ、だから少し世間に疎くてね」


志嶋総社…かなりでかい会社だな

でもだからなんだよ


「そんなの関係ないでしょ!?こんなクソガキのいうこと聞けるかよ!!若造の息子にホイホイ会社受け渡すあんたには抵抗ないんだろうけどな!!」


「よせ!池田!!」


こいつまたっ…


「私の息子は消えたよ…」


「…っ??」


「私の息子は私が選定された日に消えてしまった…私の起こした会社もね…」

「私は痕跡が消えただけたが息子は本人すら消えてしまったんだ…」


……そうか…少し考えればその可能性も……


そんなことにも気づかずに俺は傷口をえぐるようなことをベラベラと…


「だから若い子は息子の様に思えてね…私に免じてここは押さえて貰えないかな?」


「クッ…」


何も言えなくなり俺は逃げる様に部屋をでた…

これでは俺の方がヤスダさんより情けなくてシジマよりよっぽどガキだ…





一人離れタバコを吸っている俺はシジマの考えを聞けないままである

なんのために留まっているのだろう


考えを聞いて共に行動するか決めるとか偉そうなことを言っておいて自分から話を聞きに行くことも、ここを去って一人で行動することもできないでいる


かといってシジマから話に来てはくれないのだ…奴にはその必要がない


「イケ?」


声の方を振り向くと見知った顔があった


「ユウキさん…」


彼女は八尾(やお) 優季(ゆうき)近所に住んでた大学の先輩で俺より2ヶ月程先に選定され人だ

数時間前まで忘れてた顔で忘れる前には好意を抱いていた人…


「今日の朝イケの名前が呼ばれてびっくりしちゃったよ」


「ユウキさんもここにいたんだね…」


「私も家の前で途方に暮れてたらここの人に拾って貰ったんだ」


「私もって…まるで俺も途方にくれてたみたいじゃないか」


「まぁイケだからね」


お見通しか…


「なんか元気ないね、今のは冗談だよ」


「いや、違うよ…実はさっき…」


ユウキさんにさっきの出来事を話した


「うーん…言っちゃったのは仕方ないよ、だから今しなきゃいけないことをして先にすすんでってしてればそれがお詫びになるんじゃないかな?」


大学生の頃もこうして励ましてもらってたな…


「じゃあ私は少し仕事があるからまた後でね」


やっぱりみんなそれぞれ勤めを果たしてるんだな…


「ユウキさんはしっかりしてて凄いな…」


「私なんかまだまだだよ!」

「イケなんかもっとまだまだなんだから!…だから一緒に頑張ろうね!!」


以前のままの激励の仕方だ…なんか安心するな


ユウキさんと別れ、俺は気を入れ直してシジマの元へむかった


「シジマちょっといいか?お前の考えをってやつを聞かせて欲しいんだ」


「イケダか…分かった、私の考えを聞いて貰おう…そして賛同して貰えるのなら協力してほしい…」


そうだ…いくら若くても人がついてくるのならそれなりの人間なんだろう


「先ずは、我々の行動方針についてだが…」



「シジマさん!!カトウたちが襲撃に来ました!!」


入って来るなりなんだ?…エッ…襲撃とかあんの?


「何?人数は?」


「姿が確認できるだけで12名です」


「奴等のことだ伏兵を用意してるだろう、今こちらの人数は?」


「建物内に16名です」


「多数出払ってるとこを狙われたな…」


「シジマさん!人質を取られたようです」


「何!?誰だ」


「八尾です!」


「…!?ユウキさんが!?シジマ!どうすんだ?」


「ここは明け渡す訳にはいかん…最悪の場合、犠牲になって貰う」


犠牲に?ふざけるな…


「なんだよそれ!?てめえらそんなに寝床が大事かよ!?」


「それだけではない!ここにある物資を奪われれば奴等に好き勝手にやられる!それにここを明け渡したとこで特に女性など見逃してはくれない!お前と話してる暇は無い!」

「交渉して応じなければ応戦しろ!」


「解りました!」


畜生…ユウキさんが…


俺が助けだしてやる!!


「コズル!やつらの様子は!?」


「シジマ、奴等は鉄パイプや農具で武装している!交渉に応じる様子ではないな」


「交渉で少しでも時間を稼げば帰ってくる味方もいるだろう」


まだ少しは時間があるみたいだな

交渉が決裂する前に助け出す!!


「イケダ君!これを!!」


ヤスダさん!?


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