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隙間の国  作者: 土方一
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1日目③ 軌跡

ヤスダさんたちの本拠地に向かう道すがら俺はこれまでの人生を振り替えっていた


24年前俺は地方の片田舎で池多 衛<いけだ まもる>として生を受けた


小学生の頃は普通に暮らして中学生の頃は普通に過ごし高校も大学も普通


今の(とはいっても今日までだったが)会社に就職し営業をしてたが大した成果もあげていない


彼女もいたが先日別れ……


あれっ?俺って何にも無いな……ヤバい…泣きそうだ…


数時間前に無くした人生を惜しんで振り返ってみたものの、惜しむような経験も無駄になった努力も見当たらないのだ。失ったもなにもない…


数時間前になんとなくの喪失感に沈む自分を思い起こすと実に滑稽だな…


まぁ俺くらいの歳で何かを成し遂げた奴などそうそういないさ…と、そうでもないことも気づきつつ自分を納得させた


「ヤスダさんていくつなんすか?」


先程の思考を払拭するために話を振ってみました


「いやぁ今年で53になるよ」


「へぇーお仕事は?」


「貿易の会社を経営してたんだけど、む……息子にノウハウ叩きこんで早々に経営を任せて隠居してたよ」


「息子さんそんなに俺と年変わんなそうっすね…」


「22になったとこだったね…」


俺より年下で会社任されてたのかよ…ハァ…


「着いたよ」


郊外から離れ人気のない山道によくある潰れたラブホテルが本拠地だった


中に入るとちらほらと人を見かけたが中には怪我人もいた…やはり争うこともそれなりに見かけた


シジマの元へ向かう途中高校生位の子供が近寄ってきた


「ようやく帰ってきたかヤスダ」


ハァ!?なんだこのガキ目上の人間に対する言葉使いじゃないだろ!?


「そいつが新入りのイケダか?」


俺にもタメ口とは……礼儀教えてやろうか?


「そうだよシジマ君。ほらお互い挨拶しなきゃ」


…………こいつがリーダー?



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