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隙間の国  作者: 土方一
1/5

1日目 選定

「間もなく選定が開始されます」


あぁ…今日も始まった


「…コスギユウヤ…東京都千代田区…」


テレビから聞こえて来る無機質な人の名前を読み上げる声、この中に自分の名が無いことを確認するのが俺の…いや、この国の国民の日課だ


とは言っても1日5人から10人しか呼ばれない、皆自分は呼ばれることは無いと当然の様に思ってる


半年ほど前から始まったこの放送、名前を呼ばれるとどうなるかは誰も知らない


始めは名前を呼ばれるとどうなるのか皆気にしていたが徐々に話題に登らなくなった


まぁ知り合いが呼ばれたと言う話は誰からも聞いたことないし自分が関わることもないだろう…


そういえばごく近所の住所が呼ばれた時はちょっとびびったな…


うちは近所付き合いが盛んな割には全然知らない名前だったけど


「…イケダ マモル…」


………俺の名前!?

冗談だろ…同姓同名なだけのことを祈りつつ住所を確認したがどうやら俺のことの様だ…


これから何が起こるのか不安だかとりあえず会社に向かおう


「今日の放送で俺呼ばれちゃったんすよー」

出社して一番廊下にいた先輩に相談してみた


が、先輩は気づかなかったのかスッと自分の部署へ行ってしまった


名前を呼ばれてしまった意味はすぐに理解した


誰も俺の話を聞いてくれない…と言うより話しかけてることに気づいてくれない

俺を認識していないのだ


事態に戸惑いつつも俺は自分のデスクへと向かうがあるべき場所に俺のデスクが存在していなかった


よくよく見渡してみるとこの慣れ親しんだ部屋に俺に関わりのあるものは存在しなくなっていた


気が狂いそうだ…


とりあえず誰も気にすることもないだろうし一旦家で落ち着こう



自分の部屋が見えて来たとき俺は愕然とした…


俺が住んでいた部屋は空き部屋となっていた


それもさも今まで何年も誰も住んでいない様子のようだ


半狂乱になった俺は必死に自分の痕跡を探してみたが何一つ残ってはいなかった


俺の存在が無かったことにされたようだ


誰からも認識されず、存在が抹消され意識のみが残された俺はまるで幽霊の様だ…


絶望にうちひしがれ崩れ落ちるなか俺は一つの事実を思いだした


以前呼ばれた近所の人の名前は数年来の付き合いのある人物であったと言うことを…





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