家族になりたい 3
日曜日、私はガチガチになって大和くんのお母さんとお母さんの旦那さんの前に立った。
「電話でも話したけど、こいつが樹里」
自分の親なんだから当然なんだけど、大和くんはいたって普通だった。
「あの……山口樹里です。やま……いえ……八木さんにはいつもお世話になってます。」
「こっちこそあなたに甘えっぱなしでごめんなさいね。このバカ息子がなかなか言ってこないもんだから、やきもきしてたんですよ」
緊張しすぎて、些かミョーになってしまった私の挨拶に、大和くんのお母さんは済まなそうにそう返した。
「いえ、そんな事ないです」
「本当にうちの大和みたいなので良いの?」
まだ心配そうにそう言うお義母さん(きゃ~っ! なんか嫁だわ、嫁! なんて心の中ではほくそ笑みつつ)に私は頷いて答えた。
「そんなの私の方が……彼より二つも年上でもうすぐ大台だし……」
「酒は飲むし、がさつだし、泣き虫だし?」
そこに、遠慮してブリトークを展開していた私の台詞をひったくって大和くんが被せてきた。
「大和くん、ちょっとそこまで言う!?」
にしてもそこまで言うことないじゃんと、睨んで私がそう言うと、
「だから、それってお互い様なんじゃね? 俺にも樹里にも欠けたとこはある訳だし。それでも、それだからこそそれを補うためにも一緒にいたいと思うし、惹きあうんだと思うよ。母さん、俺達戸籍着き次第籍入れるから」
噛み付いた私に、大和くんはそんな小憎らしい台詞をさらっと吐いて、結婚宣言をした。
「樹里さん、お宅の親御さんはいいの?」
「ウチは……大丈夫です。電話で話したら喜んでくれました。仕事が忙しいから会えないけど、よろしくって言ってましたし」
私は無難にそう答えた。
「じゃぁ、私も何も言うことはないわ。大和をよろしくお願いします」
そして、お義母さんはそう言って私に頭を下げた。そしたら涙が出てきた。
「樹里また泣いてるよ。な、言ったろ。こいつホントに泣き虫なんだよ」
許してもらえてホッとして涙腺が緩んだ私に、大和くんは私の髪をぐしゃぐしゃにして撫でながらそう言った。
「何よ、誰が泣かせてるの!」
「俺」
私が怒ると、大和くんはそう言って舌を出して笑った。まったく……ガキなんだから。
でも、そのガキの大和くんが私はすごく――世界一大好きだったりする。
私って、アホだね、まったく。