表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

魔法国家、日本の裏側

※この話は、“世界の裏側”を知りたい人のためのプロローグです。

「とにかく本編を読みたい!」という方は、第一話へどうぞ!


現代日本。議会があり、選挙があり、そして──

魔法と契約で築かれた、“もうひとつの日本”がある。


なぜ、この国は“こんなふう”になったのか。

その理由を、ほんの少しだけ語らせてください。

日本は、神の国だった。──そう信じられていた時代がある。

いや、今もなお、そう思っている者は案外多いのかもしれない。


本稿は、その“神の国”が崩れた瞬間から始まる。


嘉永(かえい)六年。

ペリーという異人が、黒き(ふね)を率いてやってきた。

彼の持ち込んだのは、砲艦と、もうひとつ。


音──である。


フィラデルフィアから太平洋を越え届いた鐘の音。

鐘の名は、リバティベル。

自由の鐘、と呼ばれたそれは、ただの物理的な音ではなかった。


魔法の器──とでも呼ぶべき概念が、この国の“結界”に触れた。

軋んだのは、物理ではない。

600年、誰にも破られたことのない“神域”そのものだった。


それが、時代の始まりである。


のちに“文明開化の鐘”と呼ばれるこの響きが、

何を終わらせ、何を始めたのか。


時の天皇は、即断した。

律法をもって、全国の魔法家を集め、従わぬ家を討った。


この戦いは、後に“魔法内戦”と呼ばれる。

期間にして、わずか七日──とは、記録に残る話である。


勝者が、御紋九家(ごもんきゅうけ)である。


その背に紋を与えられた者たちは、

血の古さ、力の強さ、忠誠心、あるいは単なる便利さで選ばれた。

いずれにせよ、彼らがこの国の“裏側”を支配する仕組みを築いた。


表にあるのは、議会と選挙。

裏にあるのは、紋と契約。


二重の国家。

──それが、今の日本という国の、ほんとうの姿である。


さて、この国の裏面史には、ひとつだけ“綺麗に消された話”がある。


御紋九家は、かつて──御紋十家であったという噂だ。


秋月という家があった。


敗戦後、彼らは“内側”を見ようとした。

神律の深奥。

知ってはならぬものを、知ろうとした。


その結果──家は消えた。

裏切りも、反逆もなかった。

ただ一歩、覗き込んだだけで。


名は抹消され、血は絶たれ、記録は焼かれた。


だが、契約とは──

忘れ去られても、消えるとは限らない。


それから八十年。


物語は、只人(ただびと)として生まれ、

その名に選ばれてしまった、ひとりの少年に始まる。


彼はまだ知らない。

八十年の眠りが、彼の存在によって終わりを告げたことを。



* * *


【次回予告】

今日も、ごはん食べて、制服着て──

そう、朔夜様の朝は“ふつう”のはずでした。


でも、知らなかったんです。


世界の“どこか”が、もう動きはじめてたこと。


バス停での待ち合わせ、ちょっとした陰謀トーク、

春の空気に、ちょっぴりの違和感──


次回、『第一話 選ばれざる継承者』


ほんの小さなきっかけが、

朔夜様の“運命”を動かしはじめます──っ!


……これで、いいですか?

──朔夜様の“影”より。

ここまでお読みくださり、ありがとうございます!


このプロローグは、ちょっとおカタイ歴史語り回でしたが……

物語の本編は、第一話からしっかり始まります!


そして嬉しいお知らせです!


〇 この【プロローグ】と【第1話】を同時公開中!

〇このあと【第2話】【第3話】も公開予定です!


更新されたらぜひチェックしてみてくださいね。


それでは、“日常崩壊”のはじまりをどうぞお楽しみに──!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ