表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/24

迷宮探索6

「あの……さぁ…………」


「なんだよジュディア。どうせ逆ハーレム王国の野望とか、イケメン王子とか言うんだろ」


「その通りよ! 千載一遇のチャンスだったっつーの!!」


「幼女に囲まれて生きていく人生」


「エレモアが無事という前提だったら、確かにちょっと面白そうだったよねぇ」


「お前ら全員とち狂ってんな。世界征服なんて戯言を真に受けたのかよ」


「あんたもでしょ!!」


 敵を欺くにはまず味方からなんて話もあるし、イーノを油断させる作戦だったとしても。いつかどこかで反旗を翻す機会を伺っていたとしても。

 フェイリアの犠牲の上で成り立つのは、心が痛む。


「どうであれ黒幕はくたばったんだ。さっさと帰ろ……あぁ!?」


 無数の穴から水が染み出して空洞を満たそうとしている。軽い地響きも感じられて、水脈からは鉄砲水が流れ込んできた。


「高いところに避難しろ、帰り道がなくなっちまった。どうにかしろよロリババァ!」


「さぁて。少なくともワシは助かるぞ。ラドが来てくれたおかげでな」


「テレポートでひとっ飛びってことだね」


「つまりわたしたちも助かるってことじゃない。だったら安心だわ」


 イーノを倒した時点で水没するんだったら、倒してはいけなかったのかも。

 全員でうまく地上に誘導してからにすべきだった。


「じゃあさっさと帰ろうぜ…………ってことにはなんねぇんだよ」


「だってラドくんが」


 みんなはテレポート魔法をかけてもらって脱出できる。

 フェイリアはボクにかけた魔法を反射して脱出できる。

 ボクだけが取り残されてしまう。


「それだけが困ったことなんじゃ。うーむ、どうすればよいかのー」


「ねぇ、フェイリアさーん…………怒ってる?」


 すぐに身動きがとれなくなるわけじゃないけど、ここはいずれ水で満たされるだろう。別の出口を見つけるか、もしくは。


「岩を掘って地上まで……天井を破壊…………そうか、レナ!」


 致し方なしという表情でフェイリアが頷く。許可が出たと判断してレナのメテオ魔法に頼ってみよう。


「考えがあるの。いつもとは逆で、地底から空に向かって打ち上げたら」


「そんなことできるの?」


「できると思う。やってみたい。ちょうどいいかも、ふふ」


「ん…………うん?」


 最低限、まずは閉鎖された空間と外を繋げたい。崩落の危険性を考慮して少し離れたポイントに絞り、レナが目を閉じる。


「しっかしまぁ、レナの魔法はトンデモだな」


「話には聞いていたけれど、僕はまだ見たことがないからさ」


「隕石って上から下に落ちるものでしょ。変なの」


「しっ、姉さん。レナちゃんが集中してるううううわああああああっ!!」


 轟音を響かせて天井に大穴が開いた。粉砕された岩石が時間差でボチャボチャと水底に落ちていく。


「あっという間で何も見えなかったぜ」


「上に家があったら大災害だねぇ」


「この位置は人がおらぬ森のはずじゃから安心せい。さて…………」


 フェイリアが手招きをしてボクを呼び寄せる。そして小声で囁いた。


「ラドよ。少しだけ、ワシの座興に付き合え」


「うん?」


 天井が開いただけでは脱出できない。外からロープを垂らしてもらうか、水路に流されないよう耐えながら水が満たされるのを待つか。


「可能性だけは残った。崖を登りきれば命は助かるぞ?」


「こんな絶壁登りきれるワケねぇだろうが!!」


「どうしよう。もう一発やる?」


「その表現は止めなさいレナ。じゃなくて、やり過ぎたら空洞自体が崩落するっての!」


 みんなはボクのために心配して抗議してくれている。

 ボクだけが最大のピンチのはずなのに、どうにかなるという根拠のない気持ちを抱いていた。明日になったらいつも通り、元気に遊んでごはんを食べているんだろうと。

 昔、誰かに言われたことがある。


「子供だからそう思うだけだ」


 それでもボクは、そう思う。


「もういいじゃろう。ラド以外は学園に帰るぞ。安心せぇ、学園長室の隣であればロストのようにはならぬ」


「安心って、ラドを見捨てるつもり!?」


「ラドひとりを犠牲にできねぇだろうが!」


「そなたらが世界征服を企てておった時、ワシひとりが犠牲になることについて反対した者はおるのかえ?」


「悪かったわよ……でも最後まで反対してたラドが犠牲になるのは間違ってるわ」


「幼女ハーレムのためならやむなし」


「あたしはラドくんと残るから」


「うむー…………。ふむ、子供ふたり程度なら大丈夫じゃろう」


 何が大丈夫なのか疑問に感じながら、耳打ちされた座興の意味を考えていた。予想は誰かにロープを持たせてのテレポート戻りだと思っている。


「ラドとレナにはどうにかして生き抜いてもらおうか。じゃあの」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ