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3歳の頃、父の友人の子供と婚約した。
「アマンダ、君の婚約者だよ」
そう、父に引き合わされた子は指を咥えていた。
顔も名前も思い出せないが、その事だけは今もはっきり覚えている。
1年もしないうちに父とその友人が喧嘩をして婚約は簡単に破棄された。
その当時は婚約も破棄も分からなかったが、私の経歴に傷が付いたと母が父に怒っていた。
せめて白紙とか、撤回にしてくれればよかったのにと、婚約破棄の意味を理解した時に思った。
5歳になると叔父様が年回りがいいからと遠縁の一つ上の子と婚約することになった。
その婚約は8歳まで続いたが、会ったのは婚約した時と、破棄した時の2度だけだった。
距離的に遠くて会えなかったのでこれまた記憶にない。
あちらの仕事の関係で、婚約させたい相手ができたからと婚約破棄になった。
そこそこのお金を我が家は手にしたが、叔父は気にして家に寄り付かなくなった。
この婚約こそ白紙にしてくれれば良かったのではないかと思う。
母が婚約破棄が2度も続くなんて良くないと言い「暫く婚約はさせない」と言ったのに、婚約破棄されて半年もたたないうちに酔っ払った父がその場の勢いで友人の子供と婚約させていた。
父は翌日には婚約させたことを覚えていなくて、勿論家族にも私にも伝えられることはなかった。
が、相手は覚えていた。
半年ほどした頃に「申し訳ないが婚約を続けられなくなった」と言い、父のサインがある書類が目の前に置かれた。
家族全員、青天の霹靂の出来事だった。
これこそノーカンのはずだ。
だが、少額ではあったが手に入れてしまった。
母はカンカンになって父を叱りつけたが父は懲りなかった。
私が10歳になった頃、兄がよく友人を家に連れてきていた。
兄たちはかなり仲が良かったようで、度々我が家に泊まって行くこともあった。
その友人は優しくて、私から見たら何でも出来る格好いい王子様だった。私は大好きで、いつも後をついて回った。
その姿を見た父が婚約者にどうかと兄の友人に勧めた。
兄の友人は冗談だと思って「いいですね〜」と笑って答えてしまった。
両方の父親が勘違いしたことによって2日後、婚約が成立した。が、兄の友人は驚いて、あれはその場のちょっとした話題だっただけで、本気で婚約する気などなかったとその3日後、婚約は破棄された。なぜ撤回にしないの?
最短記録である。
この話は私の経歴を傷つけ、兄とその友人を気まずくさせ、今はもう話もしない関係にさせてしまった。
この後父は、一年ほど家族に口を利いてもらえなかった。
私には兄も妹も居るのに婚約話は何故か私の所にやって来る。
兄は「アマンダじゃなくて僕の相手を捜してください」と言い妹は「皆私のこと忘れているんじゃなくて?」と可愛らしく怒っていた。
その頃は婚約破棄にも笑っていられた。
経歴に傷がつく意味もわからなかったし、記憶も殆どなかったから。
12歳になり、そろそろ本格的に婚約者を探さないと相手が居なくなると母が慌てだした。
お茶会で私の話題をあちこちで振りまき、それに引っかかったのが同じ学園の同級生、アレクの母だった。
私達が友人だったこともあり、簡単に婚約は成立した。
結構仲のいい相手だったので、私はホッとして「これからよろしくね」と言ったら「実は好きな子が居てその子と両思いなんだ」と告げられた。
なぜ、婚約する前に言わないの?!
首を絞めて前後にアレクを振りたい気分だった。
その後、アレクが親に話したのか、あっさりと私との婚約は破棄された。
なぜ、あっさりとなのかと言うと、その好きな子は私の妹だったから。
妹も複雑な気持ちだったろうに何故何も言わなかったのだろうか?
妹は本当に申し訳無さそうにしているので、「気にしないでいいよ」と言ったが、妹とは今までとはちょっと関係が変わってしまったかもしれない。
私の経歴に傷を増やし、心の傷を大きく残し、アレクとも気まずくなってしまった。
義弟になるのに。
5度も婚約破棄された子など聞いたことがないと、両親が騒ぎ始めた。
きっと何かに憑かれているのだと言い出し、お祓いをしてもらうことになった。
とても面白かった。
40歳くらいの女の人が「きぃいいいっ!コールデン家に巣食う悪霊を退け給えっ!!」とか言って家中に水をまいて、私にバケツで水をぶっかけた。
ひどい。
水曜と土曜にupしたいと思っております。