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番外編 かしまし女神

「シェルレーネ。お前、最近機嫌いいよな?」


「分かる? そうよね! 分かっちゃうよね!」


 そういって私は最近祭壇に捧げられた空間からあるものを取り出す。ちなみにアラシェルを加えた私たち三人は、呼び捨てでお互いを呼ぶようになった。


「どう! 見事に私の母性とかわいさを表してるでしょ?」


「ああ、そういえば神託まで出してアスカに神像を作らせたんだったな。確かにいい出来だ。それにお前のことを見たこともないのにとてもらしさが出てるな」


「そうでしょうともよ。彼女は何だったら神格持ちじゃないかっていうくらい私たちのことを表現してくれるのよね」


「あっ、それは……」


「アラシェル!あなたもどう思うこの私の像!」


「うん、とってもすばらしいと思うよ。ただアスカに関していえば、実際に神が強くあの子を思った時に交感作用が働くようになってるからそれで似てるんだよ」


「えっ、そうだったの?」


「この世界は他の世界と比べてまだまだ生まれたてでイレギュラーが起こる可能性があったから。ただ、神の方からだけじゃなくて、アスカもそれに応えるように思いを抱いていないといけないけどね」


「そうなんだ。さすがはアスカね。だけど、細工のスキルも高いみたいだけど何かしたの?」


「それは生前の能力に基づいているから、彼女自身が元々持ってたものなの。私がしたことといえば、世界中を回れるぐらいの魔力と属性の適性をあげたことぐらいだね。だから、今は魔力の伸びよりも器用さのステータスの伸びの方が高いのもその為なのです!」


「へぇ~、やっぱり全世界に影響を持つ神様ってのはすごいんだな。そこまで考えてるなんてな」


「でも、一つの世界に対して深く関わりを持ってこなかったし、その後のこともほとんど知らないで終わってたから、こうして新たな神としてここに来たことはとても勉強になります」


「はぁ~、グリディア。私たちここの先輩神としてどう思う?」


「いやいや、勝負とかになったら相手にならないだろ。ここはガンドル様にでも任せよう」


「そういえば、他の神たちとはほとんどお会いしませんが、そういうものなのでしょうか?」


 ぴょこぴょことアラシェルちゃんモードでグリディアの周りを飛び回るアラシェル。


「そうだね。ここは結構みんな自由だから、ほとんど会うことはないかな。だけど、神託を使う時だけはみんな集まるぜ」


「あの……シェルレーネが神託を使ってる時に集まったことなくない?」


「あっはっはっ。こいつは神託の数が多すぎるからな。神の感覚で月一に呼び寄せられるなんざ面倒でできないよ。私が代わりに内容を確認して必要なら連絡することになっているのさ」


「グリディアも大変なんだね……」


「そんなことはないぞ。こんだけ神託の無駄遣いをする女神もいないからな」


「何を言うの。それだと私がわがままな女神みたいじゃない」


「だって、自分の像を作るために神託を出して、巫女を動かすなんて他の神はしないぞ」


「あ、あなただって作ってもらってるでしょ?」


「アタシのはたまたまだし、そもそも都合よく戦に行く時だけ祈られてることが多くて、普段から祈ってくれる奴なんてほとんどいないからね。最初からそういうのには興味なかったんだ」


「それにしては結構喜んでたじゃないの」


「それとこれとは話が別さ。あんだけいいのを作ってもらえたらね。ほら見てくれよ!」


 そういってグリディアが見せてきたのはアスカが作った像についていた鎧や剣だった。


「あなた本当にもう自分の分を作ってもらったの?」


「当たり前だろ? ガンドル様だってたまには仕事しないとね」


「ふむ……確かにアスカのイメージにとても近いですね。私が言うんだから間違いありません!」


   * * *


 自慢げにアラシェルが語るけれど、そんな小さい体で真剣な顔をされても。


「だろ? こんだけのイメージを固められるんだから、アスカの元居た世界ってのもすっげえ剣ばっかりだったんだろうな」


「あ~、いやそれはどうでしょう……」


 珍しくアラシェルが困った顔をしている。彼女はああ見えて中身は女神アラシェル様と同じ知識を持っているので、私たちからの質問にもスラスラ答えられるのだけれど、ああいう風に困った感じになることはほぼない。


「どうかしたの?」


「あっ、いや、他の世界の話になっちゃうので……」


 なるほど、知識として多くの世界のことを知っているけれど、この世界の神としては過剰な知識だから言えないってことなのね。本当にまじめな神様ね。


 なでなで


「どうしたのです?」


「ううん。いつもお疲れ様」


「まだ私何もしてませんよ。早くやりたいことを探さないといけませんし」


「そんなに焦らなくても大丈夫よ。あなたならきっと自然に見つけられるわ」


「そうだといいな」


「なんだ。アラシェルは心配性だな。ほらこっちに来な」


「な、なんですか?」


   * * *


 ぐりぐりと甲斐甲斐しくグリディアになすがままにされるアラシェル。あの子もこういうかわいいものに目がないからね。だけど、完全にペットみたいな目はやめてほしいわ。神の品格が下がっちゃうじゃないの。


「た、助けて……」


「もうちょっと堪能させてあげなさい」


 一回好きなところまでやらせれば反省するでしょう、多分ね。




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― 新着の感想 ―
神様達がどんどん人間臭くなっている… これはもしや、アスカの感性が神界に逆流している…?
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