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オーガ襲来!

 あれから数か所を巡って薬草を採取した。やっぱり、リラ草が森の近くに生えていたことは珍しいようで、その後は一切見なかった。代わりに嬉しかったのがベル草の発見だ。数は少なかったけど、かわいいベルみたいなつぼみがついていた。

 これまで見つからなかったものが発見できて嬉しいし、かわいい花だから細工の題材にしてもいいかもしれない。


「どうした、アスカ?」


「ううん、このベル草ってかわいいなって思って」


「そうかぁ、俺からすれば珍しくて金になるって感じだけどな」


「まあ、ノヴァだとそうなるよね。でも、僕もちょっとお金になるとは思ったよ」


 道すがら二人の話を聞いていると、安宿でも生活は厳しいって言うから、そういう感想もしょうがないか。


「にしても、アスカは見つけるの早すぎ。俺たちが先に見つけることないよな」


「一応これでも薬師の娘だからね」


「へぇ~。じゃあ、親に持って帰るのか?」


「ううん。お母さんはこの前死んじゃったし、お父さんは記憶にないんだ」


「そうだったのか、悪かったな」


「いいよ。でも、二人とも同じじゃないの?」


「そりゃそうか」


「ほら、ノヴァ。まだまだ採らないと、宿に泊まれなくなっちゃうよ」


「そうだな!」


 結構、進んできたのでちょっと脇にずれて引き返す。進み過ぎても戻るのが大変だし、二人でも来れるようなところで見つけた方が、後々便利だと思うしね。


「へ~、こうやって引き返すのか」


「同じところを引き返しても行きと帰りで景色が違うから色々見つかるとは思うけど、多分マールキノコとかちょっとルーン草が生えてるとかだと思う。それなら、さっきのところから見えにくいところへ行って探した方が良いと思うの」


「なるほど。ところでさっきから地図を開いて、なにしてるの?」


「大体の位置を書き込んでるの。ここには何があったとかいつごろとかね」


「でも、丸とか書いてあるだけじゃん」


「だって、物の名前を書いたら他の人が見た時にすぐばれちゃうでしょ。だから、こうやって記号で覚えておくの」


「記号を忘れたらどうすんだよ?」


 ノヴァの指摘に私は胸を張って答える。ちゃんと考えがあるのだ。


「その記号をこっちの冒険者冊子に書いておくんだよ。二人とも持ってるよね?」


「あ、ああ、一応貰ったけど、知ってることがほとんどだし置いてきてる」


「駄目だよ! いっぱいいいこと書いてあるし、暗記してないならなおさらだよ。特に薬草を採るなら、違いが分かりやすく書いてあるから持っておいた方が良いよ。万が一にも毒草なんて採ったら大変だし」


「確かにそうかもな……」


 毒草と聞いてノヴァの身体が強張る。過去に何かあったのかな?


「二人いるなら使い分けたらどう? 書き込みが多くならないように、植物はこっち魔物はこっちとか?」


「あー確かに、冊子自体は小さいからいいかも」


「おっと、これはムーン草かな? いや、ルーン草だラッキー」


 話していると足元にまたルーン草を見つけたので十四本ほど失敬する。この森ってあまり人が入らないから、逆にいいポイントなのかも……。


「ささっ、残りはどうぞ」


「あ、ありがとう……」


「そうそう、リュートは結構様になってきたね。ノヴァはもうちょっと丁寧にかな?」


「なんだか今日一日でいっぱい学んだ気がする。ありがとうアスカ」


「ううん。私も見聞きしたことの方が多いし」


 その時だった、やけに大きい音が奥の茂みから響いた。


《ウォォォーッ》


「なんだ?」


「ちょっと奥の方からだね」


「街道側へ隠れよう」


 リュートの提案で私たちは街道側に移動して隠れる。少し待つと茂みから現れたのはオーガだった。一体だけだけど、大きく硬い身体に強い力。私たちの装備じゃ一撃でやられかねない。


「どうしてこんなところに……」


 私はちょうど取りだしていた冊子を見る。生息地は……アルバと次の町であるレディトの間ぐらいだ。でも、レディト寄りにしか生息していなくて、ここにはいないはずだけど、何かを追って来ちゃったのかな?


「どうする?」


「逃げよう」


「だけど追いつかれるかも……」


「そん時はそん時だ!」


 ノヴァの声でみんなで一斉に街道沿いへと走り出す。その音でオーガも気づいたみたいだけど、姿までは見えていないだろう。


「ど、どう?」


「……だめだ追ってきてる。走れ!」


「はぁはぁはぁ」


 疲れてきた。横の二人も私より重装備だからか、だんだん遅くなっている。それに対してオーガは変わらぬスピードで追いかけてきている。もう少し走って再び森に逃げようと思った時、奥に人影が見えた。


「だ、だめ、人が向こうにいる!」


 このままじゃ、私たちが助かってもあの人たちにオーガが向かって行っちゃう。


「そ、そんな!?」


「くそぉ!」


 良かった。二人とも逃げずにいてくれるみたい。ちょっとだけあの人たちを気にせず隠れるかもと思ってごめんね。


「仕方ない魔法で……ウィンドカッター!」


 魔法で作り出した三つの刃がオーガに襲いかかる。


《ガアァァァ!》


「当たった!」


 当たったけど、ダメージは腕に刺さったのと胸に切り傷。最後の一つは持っていた棒で消されてしまった。腕に刺さったのも致命傷とは程遠い。


「これ、俺たちの武器じゃ刺さらねぇよな?」


「気を付けて、武器の方が折れるかもしれない!」


「だね。気を付けてよノヴァ。アスカ、僕らで注意を引きつけるよ!」


「分かった!」


 二人には悪いけどオーガの注意を引いてもらって、その隙に魔法で倒すしかない。リュートとノヴァが左右から注意を引いてる間に……。


「二人とも避けて! 炎よ……ファイア」


 二人が飛び退くと、私の声に反応してオーガが口を開けたまま、こっちを向いた。


「魔力操作で……」


 オーガの口に火の玉を突っ込む。これでどうだ!


《グオォ》


 ボンという音とともに膝をついてその場に倒れるオーガ。しかし、まだ起き上がれるようだ。さっきの戦法はもう使えない。こうなったら――。


「リベレーション」


 小さく呟き力を開放する。オーガは左右に頭を振った後、私ではなくリュートの方に向かっていく。


「うわ、こっちに来る!」


「危ない! ウィンドバリア!」


 オーガのこん棒がリュートへ迫る前に魔法を掛けると、風のバリアがオーガごと吹き飛ばす。


「二人には手を出させない、トルネード!」


 大量の風の刃が竜巻のようにオーガを包む。その一本一本の切れ味が先程までとは違う。確実に皮膚を裂き、骨をも容易く切っていく。風が止んだ時にはオーガの体は切り刻まれ、ブロック状になっていた。


「ふぅ、完全隠蔽」


 ステータスを元に戻し、リュートに駆け寄る。


「リュート、大丈夫だった?」


「あ、うん。さっきのはアスカが助けてくれたの?」


「あ~まあ、一応ね」


「そっか、ありがとう」


 さっきの魔法のことを聞きたいだろうけど、聞かずにいてくれるなんてリュートはいい子だ。


「おい、大丈夫か!?」


 ノヴァも少し落ち着いたようでこっちに駆け寄ってくる。


「大丈夫だよ。アスカに助けてもらったからね」


「そ、そうか。でもすげえなアスカ。本当にEランクなのか?」


「ノヴァ!」


「あっ、わりぃ」


「いいよ。ちゃんとEランクだよ。ほら」


 ノヴァの言いたいことを遮るようにカードを見せて証明する。


「ほんとだ。なんかアスカって変なやつだな」


「失礼な。それよりこれを片付けないと。オーガの肉って売れたりする?」


「硬くて売れないよ。皮膚は安いけど売れないこともないね。後は牙と角かな?」


「牙は焦げてて、角はちょっと傷ありかぁ。でも、ないよりはましだね」


 牙と角を切り取ったあとは魔法で運んでさくっと埋める。こんな切り刻んだオーガなんて見られたら不味いだろう。程なくして何かあったのかと旅人がこっちに来た。


「さっき音がしたけど、何かあったのか?」


「あっ、魔物がいたので倒していたんです」


「そうか、ありがとな」


 その人たちは私たちの言ったことを信用してくれ、手を振って別れた。助かった~。冒険者同士なら多少のことは黙っててくれるけど、旅人の口を閉ざしてもらうことは難しいからね。彼らにしたら魔物と戦う冒険者の姿なんて、旅のイベントだろうから。


「これからどうする?」


 リュートに尋ねられたけど、私としては今日はもう帰りたい。ただ、一応二人にも聞いてみる。


「もう一回、森に入りたい?」


「今日は嫌だな」


「「賛成」」


 意見も一致したので、今日の冒険はここで終わり。



 さすがに疲れた私たちは、身体を休めるために街道を使って町へと戻っていく。街道ということもあり魔物にも出くわさず、二十分ほどで東門まで着いた。時間はまだ十五時ぐらいだろうか?


「門番さん通りますね」


「ああ。おや、そいつらと一緒だったのか?」


「一緒というか助けてもらったんだよ」


「そりゃよかったな」


「よくねえ」


「院長さんが悲しむだろ」


 門番さんはノヴァたちと知り合いのようで彼の頭を撫でながら言った。心配してくれる人がいるっていいね。


「それじゃ、ギルドへ向かおう」


 ギルドのドアを開けてカウンターに並ぶ。まだ時間が早いから前には一人だけだ。


「じゃあ、また」


「おう! 今度はもう少し買取価格を上げてくれよ」


 前の人が終わる前にノヴァたちは採取の依頼票を取ってきた。並んでいた人の精算が終わったので、私たちはカウンターに向かう。


「アスカちゃん、今日も早かったわね。あら、後ろは?」


「依頼の途中で出会ったんです。こっちがノヴァでこっちがリュートです」


「ふ~ん、あなたたち良かったわね。アスカちゃんが吹っ掛けなくて」


「な、何のことだよ……」


「どうせ助けてもらったんでしょう?」


 あっ、ホルンさん鋭い。でも、どうして分かったんだろう?


「よく分かりましたね。僕らが助けてもらったって」


「こう見えても彼女は強いのよ。その装備のあなたたちじゃ足手まといでしょう」


「確かにそうだけどよ……」


 どうやら、私が助けたというのはノヴァたちの装備で分かったみたいだ。後はステータスかな? ホルンさんは私のステータスを見てるし。


「じゃあ、一緒に清算を済ませましょうか。同じパーティーなんでしょ?」


「あ、いえ、そういうのってできるんですか?」


「ええ、確かその二人はパーティー申請がなかったはずだから入れられるわ」


「そうなんですね。やり方がわからなかったので……」


「ちょっと貸してみて」


 私はパーティーカードをホルンさんに渡す。そして、指示通り私がボタンを押すと、パーティーの名前画面になる。


「パーティー名のフロートを押してみると……こうやって加入申請画面になるから、ここに相手の冒険者カードを置くと加入させられるわ。もっとも、これはリーダーの権限が必要だから他の人は無理よ。それと加入する二人のランクが低いから、パーティーランクがDからEへ下がると思うわ。それも考えて加入させてね。受けられる依頼に影響が出るから」


 そう言ってホルンさんはカードを動かしていく。


「それとこうやって、カードを預かった時に討伐したモンスターをパーティー内で確認できるから、離れている人や討伐数の把握にも役立つ……ってオーガ!?」


「あっ!」


 やばい、密かに素材を解体所で処分できないかなって思ってたのに……。


「どこで出遭ったのかしら?」


「あ、いや、森で採取してたら……」


「まさかとは思うけど逃げなかったの?」


「ちゃ、ちゃんと逃げましたよ。ただ、僕らの前に旅人がいて逃げきれなかったんです」


 リュートが出遭った時のことを補足してくれる。


「……そういうこと。あなたたちいい心がけね。普通は勝てないと思ったら諦めて逃げるところよ。ただし、助かったからいいものの気を付けなさい。それにしてもオーガ相手に勝つなんて……昇級試験の申請を出しておいた方がいいかしら?」


「昇級試験?」


「アスカちゃんには前に言ったと思うけれど、Dランク以降は昇級試験に合格しないとなれないの。それなりに危険な依頼もあるからね。特にオーガは前衛職の鬼門よ。Dランクの魔物だけど、傷つける方法がない冒険者もいっぱいいるの。そういう意味ではEランクで倒せたんだから運がいいわよ」


「そうだろ、なんてったってアスカは……ぐぐ。何すんだ、リュート!」


「ノヴァ!」


 余計なことを言いそうになったノヴァの口を手で覆うリュート。助かったけど、リュートの目が真剣だ。ホルンさんが相手だし、そこまでしてもらわなくてもいいんだけどな。


「ここに来る前にも言ったよね?」


「あ、そうだった……ごめんなアスカ」


「いいよ。分かってくれたら。でも、気を付けてね」


「ああ」


 さっきの出来事を広められないでよかった。ホルンさんは簡単に話したりしないだろうけど、誰かが聞いてたかもしれないし。


「まあ、冒険者同士きちんと守るところは守りなさい。特に二人は迷惑かけたんでしょう?」


「はい。薬草の取り方とか場所の注意も……」


「はぁ、アスカちゃんはサービス良すぎね」


「そうですか? みんなに教えてもらったことが多いですけど」


「それでもよ。後はアスカちゃんだから教えてくれた人もいるでしょうから、あなたもむやみに教えちゃだめよ」


「あっ! 気を付けます……」


 そっか、みんな私のことを思って教えてくれたけど、それは新人冒険者だからじゃないこともあるんだ。これからはもう少し気を付けよう。


「じゃあ清算に入るわね。いつも通り依頼票から……リラ草、ルーン草、ムーン草、ベル草? 珍しい物を見つけたわね」


「ちょっとだけですけどね」


「結構いいのがあるわね。合計で金貨四枚、銀貨三枚、大銅貨八枚ね。端数の分とかはちょっと他で乗せてるから無しね」


「嘘だ! そんなにいくのか」


「声が大きいよ」


「悪い……でも、薬草だろ?」


「あなたちゃんと初心者講習聞いてたの? あなたたちが採ってきた薬草を元に、あなたたちがポーションを買うのよ。売れるに決まっているのだから良い値が付くわよ。上級の冒険者は上級ポーションを買うしね」


「そうか……」


「討伐依頼も分かるけど、焦らずお金が貯まるのを待つのも大事よ。あなたたちはまだ体も成長途中で力負けすることも多いんだから」


「そうですよね」


 ホルンさんの言葉に小柄なリュートが答える。


「あっ、でもアスカちゃんの真似は出来ないわよ。普通はこんなにルーン草やムーン草を持ってこないし、ランクもBランクが最低みたいなものだから」


「嘘だろ……」


「教えてもらえたなら運が良かったわね。あなた達の採取ってほぼCランクでたまにBランクでしょう? 彼女は全く違うのよ。さあ、あなたたちのも見ましょうか。まずはノヴァ君からね」


「おう!」


 私の金額を知ったからか期待に満ちた声でホルンさんに薬草を出していくノヴァ。あの採り方だとそこまで良くないと思うんだけど大丈夫かな?


「ルーン草がCランク五本にBランク二本、ムーン草はCランク四本にBランク四本、ベル草は全部Cランクと。合計で銀貨一枚に大銅貨二枚と銅貨七枚ね」


「ノヴァとアスカじゃ差が凄いね……」


「それだけ一本一本の採り方が悪いってことよ。同じ本数にしても全く追いつかないわよ」


「精進かぁ」


 残念そうにしながらもある程度の収入になったからか、思っていたより落ち着いているノヴァ。リュートはどうかな?


「じゃあ、次はリュート君ね」


「はい」


「ルーン草がCランク二本にBランク四本にAランク一本、ムーン草はCランク二本にBランク五本にAランク一本、ベル草は全部Bランクと。合計で銀貨四枚に銅貨二枚ね。リュート君とノヴァ君は同じ本数だから、採り方による差が顕著ね。今日の分は絶対に個人で分けなさい。己の弱点が見えるし、他人を尊重するいい機会だわ」


「そ、そんなぁ~」


 リュートの金額を聞いてちょっと喜んでいたノヴァが肩を落とす。まあ、こればっかりはしょうがないよね。


「これからは元々買取価格が安いリラ草で訓練するか、もしくはリュート君に全部採ってもらうかね」


「おっそれいい!」


「でも、彼が採るのだから取り分としてはリュート君が七で、ノヴァ君は三ぐらいかしら。もしくは二でもよさそうね。採取時の警戒もあるから零は流石にかわいそうだし」


「結局、そうなるのか……」


「ただ、パーティーで考えたら、買取の合計額が増えるのだからいい話よ。下手に自分で取るよりも、良い薬草を納品するパーティーとして見られる方がギルドからも好印象ですからね」


「そういう目線もあるんですね」


 確かに貴重な薬草を無理にみんなで分けて採るより、全体の収入も上がるしギルドのためにもなりそうだ。


「こうやってホルンさんは色々教えてくれるから、私はここに並んでるの」


「そうみたいだね。僕らはパッと終わるから他のところばっかりだったんだ。多少のことだと金額なんて変わらないと思ってたよ」


「まあ、地道なところから改善していくこと! 後はもうない?」


「ゴブリンの討伐依頼と……剣だな」


ノヴァがゴブリンの討伐依頼票と見るからに質の悪い剣を出す。


「これは依頼達成で銀貨一枚と剣は……一応金属扱いで大銅貨四枚ね。アスカちゃんはない?」


「あの、これなんですけど……」


 私はすまなさそうにオーガの牙と角を出す。


「これはまたすごいわね。牙は焦げてて、角は傷まで。まあ、だけど死んでしまうよりはいいわよ。牙は割と傷みがないみたいね。そこそこのサイズだし、大銅貨六枚ね。角は傷んでるから大銅貨四枚。だけど、割と大きい個体ね。頑張ったわね」


 ホルンさんはそう言いながら私の頭を撫でてくれる。


「えへへ。あっ、これ配分どうしよう?」


「アスカが倒したんだろ?」


「でも、二人には囮になってもらったし……」


「だけどなぁ」


「じゃあ、牙の買取がアスカちゃんで二人が角の買取でどうかしら?」


 迷っている私にホルンさんがアドバイスをくれた。まあ、それぐらいならいいかな?


「それなら、僕らも納得です。いいよねアスカ?」


「うん。二人がそれでいいなら」


「よし決まりだ!」


「あなたたち、今日初めて会ったんでしょ? 仲いいわね」


「そうですか?」


「ええ、今後も一緒に冒険に出かけるならパーティーを組んでいったら?」


「でも、パーティーランクも下がっちゃうし……ジャネットさんたちに相談もしないと」


 結局あれからジャネットさんともパーティーを組んでいないけど、勝手にメンバーを追加してもいいのかな?


「二人はアスカちゃんが選んだ人なら大丈夫って言うと思うわ。それに、依頼は個人で受ければパーティーランクは関係ないし、臨時のパーティーには入れるから問題ないわよ」


「ならそうします。二人もそれでいい?」


「いいも何もこっちから頼みたいぐらいだぜ」


「僕らはランクも低いし装備もないから迷惑をかけると思うけど、よろしくアスカ」


「それじゃあ、ここで追加するわね。みんな、カードを貸して」


 二人のカードをホルンさんへ渡す。ガチャンとパーティーカードの後に二人のカードが読み取られ、処理が完了した。


「これでフロートは五人パーティーね。これからも頑張ってね」


「ありがとうございます」


 ホルンさんと別れてギルドを出る。


「それじゃあ、次の依頼の約束しようぜ!」


「それだとどっちかの宿で相談だね。でも僕らの宿は……」


「結構汚いからな。正直お勧めしないぜ」


 ここまで遠慮なく意見を言うノヴァが言うぐらいだから向こうはやめといた方が良いよね。


「じゃあ、私の部屋に来たらいいよ。エステルさんにも会えるし」


「そうだな」


「じゃあ出発だね」


 こうして新しい仲間と出会った私は一緒に宿へ向かった。



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ノヴァはあかんな、 阿呆なのもあるけど、 阿呆だから考えない、覚えない、進歩しない。 こうゆうやつは、ヘマして仲間殺す死神タイプ やる気ある無能な味方はマジでヤバイから。 前に話がでてた斥候なみに、や…
部屋はダメ、食堂の隅で話しなさいって言われるかな 言わないなら、その程度ww
主人公がお人好しすぎて、このまま施し続けてしまいそうで心配になっちゃう。個人的にはもっとしっかりして欲しさもある。
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