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アスカとエステルの将来像

この話は本編終了後すぐで、エステルがノヴァへ告白のみ数日前にしたという設定です。旅に出発する数日前の昼食後に宿でまったりしているところです。




「エステルさん、また顔が緩んでますよ」


「えっ、本当?」


「冗談ですよ」


「もう、アスカったらからかってばっかり。そんなに意外だった?」


「いいえ。そうじゃないですけど、やっぱりこういうことって最初しか言えないですからね。エレンちゃんに言ってもなしのつぶてですし」


「エレンはね…しっかりしてるというか抜け目がないのよね」


「ほんとですよ!もうちょっと照れた感じが私は欲しいんですけど」


「だからってこっちに来なくても…。でも、意外だったわね。アスカが恋愛ごとに興味あるなんて」


「そうですか?割とそういう話をしてたような…」


「それってあれでしょ?教会で花嫁を見ていいな~っていうものでしょ。そういうのでなくて、付き合ってるってところとかね」


「あこがれはありますよ。好きな人が出来たら手をつないだりとか、色々と」


「それが見えてこないからこうやって言っているんだけどね」


「う~ん。どうしたらいいですかね?服装とか宿でももうちょっとベルネスのものを着た方がいいですか?」


「それはやめなさい!エレンが可哀そうよ」


「ええっ!?私がおしゃれするとエレンちゃん困っちゃうんですか?」


「まあね」


「2人とも何のはなし~」


「ああ、エレン。例の件をアスカに話してたの」


「ああ~、あれね。大変なんだよ~」


「何か分からないけど、私がベルネスの服をここで着ると大変なの?」


「それだけは絶対にやめて!お姉ちゃんが悪いわけじゃないけど、手が回らないよ!」


「そうなの?じゃあ、出かける時もそうしようかなぁ…」


「あっ、出かける時は別にいいよ。むしろその方が助かるかも」


「なんだか難しいんだね」


「それは良いとして、他には何話してたの?」


「アスカに結婚願望があったのねって話」


「違いますよ、エステルさん。付き合うっていいなって話ですよ」


「どっちでもいいけど、お姉ちゃんなにか違うの?」


「だって、結婚って結婚だよ?旦那さんが出来て、その…付き合うのとは違うよね」


「一緒じゃないの?別に住むところとかが一緒になるってこともあるけど、そもそも村なら一緒だったりするし、付き合う時点でその家に入ったりするのよ?」


「そ、そこまでなんですか!?」


「そこまでって言ってもお姉ちゃん、別に知り合ってすぐとかじゃないし今更だよ」


「う~ん、言われてみるとそうなのかな?でも、暮らしてみて合わなかったらどうするの?」


「そこは我慢するわよ。そりゃ、私だってノヴァの全部が良いって訳でもないし」


「我慢って別れたりしないんですか?」


「町ではたまにあるけど、結婚って大変なのよ?宗教の問題もあるし、何より一度納得してるってことでしょ?想定してた生活とかが壊れるわけだし、町を出るのも難しいから結局、よく会うことになるのよ?」


そっか、町の移動に気軽に電車って訳にも行かないし、使うなら馬車。しかも、行った先で仕事を探すならお金も貯めないといけないし、難易度高いよね。かと言って歩けば魔物がいて危険だし。それに宗教かぁ。そういえばシェルレーネ教が信仰を集めているのも、他の宗教と関わりを持ち易いからだったっけ。


「町の人はって言うことは村の人は?」


「村だと前から知ってるから今更よ。それに、早くに決まった結婚相手なら有力な相手な訳じゃない?それを手放せば小作人とか、外に相手を探しに行かないといけないのよ。それなら我慢って訳」


「そうだよ~。それに、気に入らないなら直せばいいんだし。そこは町と違って小さい時から知り合いだからやり易いよね」


そうねとうなずき合う2人。エステルさんは年上だからまだいいけど、この世界の少女ってしっかり者ばっかりだ。


「で、そんなアスカは誰かいい人とか考えたことないの?」


「そう言われても知り合いの男性自体少ないし…」


「お姉ちゃんの男性の知り合いかぁ。リュートさんにノヴァさんは…エステルさんがいるから除外だし、後はフィーリンの店長さんは…もう相手は決まってるし、他は…」


「エレン、後はロビン君よ」


「ああ、あの人かぁ。エレン一推しの」


「エレンちゃんはロビン君が気に入ってるの?フィクス君は?」


「そうじゃないよ。お姉ちゃんにお似合いって意味だよ」


「似合ってる?」


「私が見る限りだと一番かもね。年も近いし、身長とか体格とかもそこまで変わらないでしょ?それに、武器とかも似てるし、相性もいいんじゃないかな?」


「そっか、周りから見るとまた違うんだね」


「そういうならアスカ自身は誰が一番自分に合うと思うの?」


「流石にそれは言えないですよ。というか、誰とも考えたりしたことないです」


「残念ね。旅に出る時にこの人以上の人に会えたら!なんて考えてるのかと思ってたわ」


にやりと言ってくるエステルさん。さっきからかったから、言い返してきたようだ。


「だけど、比べるのって良くないと思いますし」


「でも、最後は選ばないといけないわよ。もちろん、相手の意思もあるしそれが自分と相手という構図とは限らないけれど」


「そう言われるとそうなんですけど、やっぱり私にはこの話題は早いです」


「分かったわ。この話はここまでにしましょう。でもね、アスカ。相手の気持ちを知ったらそのままにしないであげてね。その人の思いを縛っちゃうことになるから」


「そんな人が現れたらそうします。それまでは自由に旅を楽しみますよ!」


「「はぁ…」」


「何でそこでため息なんですか!?エレンちゃんまで」


「お姉ちゃんってほんとに…」


「ダメよエレン。アスカにそれを望むのはノヴァに教授に成れって言うのと同じだわ」


「そこまで言いますか…。それじゃあ、相手の決まってるエステルさんはどんな生活が理想ですか?」


「あら、まだこの話続けるの?」


「今までは出会いとかお付き合いの話です。ここからは理想の生活についてってことで。それなら私にもそれなりのビジョンがありますからね」


「そうね…。今思いつくのは、私が店を持っていてそこに仕事を終えたノヴァが帰ってくるって感じかしら?」


「結構、乙女な内容ですね。それから、ノヴァに店に立ってもらうんですか?」


「アスカったら厳しいのね。門番なんて危険な仕事をして帰って来てるんだから、もちろん休んでもらうわよ。常連さんとかには話して、ちょっと席を外してね」


「それじゃあ、エステルさんとは食事別になっちゃいませんか?」


「仕方ないわよ。店をやるっていうのはそういうことだし。ライギルさんだって別に取ることも多いし、一緒って言っても次の用意の時間があるから、ゆっくりできないしね。同じ場所にいてそれなんだから別の仕事をしてる以上は諦めるわよ」


「わたしは一緒がいいかなぁ」


「エレンはしばらくはライギルさんたちも居るし大丈夫よ。それに店員も増えてる今の宿なら何とかなりそうね」


「でも、あれでノヴァって店員の服も似合いそうなんだけどなぁ」


「似合うってアスカは相変わらず面白い視点ね。仕事かどうかでしょ?」


「それはそうですけど、やっぱりかっこいい服装とか合った服装の人がいると、来たくありません?」


「でも、ノヴァよ?店員としてやっていけるかしら?」


「大丈夫ですって。あれでギルドでもめ事を起こしたこと見たことありませんし、大人になったら落ち着くってやつですよ。一回着せてみたらどうですか?案外、人気者になるかも?」


「そ、そうかな?う~ん、でもやっぱり休んでもらいたいし無いわね?」


「でも、服は用意するんだよね。エステルさん」


「エレンったら何言ってるの」


にひひと笑うエレンちゃん。いや、店に立ってもらわないのに服はいらないでしょ。


「そういうアスカはどうなの?旅を終えたら何か考えてるの?」


「もちろんですよ!どこか、中規模の町に腰を落ち着けて一軒家に2人で住むんです。今考えてるのは週の半分ぐらいは細工をして、後は買い物に一緒に出掛けたり、ちょっと外に出てみたりって感じですね」


「それはだれのはなし?」


「やだなぁ~、エレンちゃん。私の話しだよ」


「そんなのおねえちゃんには無理だよ。細工だって安いの作ってても、いやもうちょっとこうやれば見栄えが…とか言ってるんだよ?1軒屋に貴族の馬車とかが止まったら町の人がびっくりしちゃうよ」


「何で、そんなことが前提なの?そんなのないから」


「貴族はともかく、大商人って言われる人の馬車は止まりそうよね。逆に悪目立ちしそうだわ」


「じゃ、じゃあ、私はどうすればいいんですか!」


「身の丈に合った生活をするといいよ。まあ、考えなくてもなると思うけどね」


「絶対にそんなことはならないから!見ててよ、きっと普通な暮らしをしてみせるんだから!」


「普通の人は普通の暮らしなんて言わないよ」


「しっ!本人のやる気を削がないの」


「頑張るのはいいことだし、分かったよ。でも、いつか絶対子どもを連れて来てよね。わたし、待ってるから!」


「エレンちゃんは気が早いなぁ。恋人もまだの私に」


「いいから、忘れないでね」


「分かったよ。子どもが生まれたら必ず連れてくるからね。それじゃあ、私は将来のために細工をしてくるよ」


「ほどほどにね、アスカ」


「は~い」


アスカが部屋に戻ると残った二人で話をする。


「どうしてエレンはそんなにアスカの子どもにこだわるの?」


「わたし、おねえちゃんのこと好きだけど、流石に結婚は出来ないからね」


「でも、自分の子どもだからって気に入るとは限らないんじゃない?」


「甘いなぁ、エステルさんは。わたしの子どもだよ?絶対気に入るに決まってるよ」


その自信はどこから来るのだろうと思ったけれど、言わないでおいた。この姉妹実は似た者同士なのかもしれない。


「さて、私も厨房に戻らないと。残り少ない滞在日数だもの。町を離れて惜しいことをしたと思えるものを作ってあげないと」





これで完結から予定していた番外編10話枠を使い切りましたので、以降の更新はないかと思います。ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 完結おめでとうございます!  続きは……すでに別のところで投稿してるんですよね。  別のところにはユーザー登録してないんで、そっちにコメントするか分かりませんが、読ませて頂くかもですわ。 …
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