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依頼達成と準備

無事にレディトまで帰ってきた私たち。早速、手入れの話をと思ったけどまずは依頼を完了させてからだ。


「依頼お願いします」


「あら、もう大丈夫なの?早いわね。ガンドンが2体ね。それじゃ、依頼の完了は済ませておくから奥の解体場で引き渡しをしてね。そうそう、さっきの護衛依頼の件だけど明日でいいって確認取れたからよろしくね」


「はい」


ガンドン以外に関してはローグウルフの牙と爪に、ブリンクベアーの爪を買取してもらった。熊さんの牙は臭いから今回は見送りだ。個体差があって、臭いがきついのもいるらしい。今回のは外れだったわけだ。


「ん?依頼品か。いい具合だな、これなら依頼主もうれしいだろうよ」


「でも、1頭当たり結構取れますけど、3頭までなんて結構量が必要なんですね」


「ああ。テントの在庫を補充するんだとさ。ありがとよ、汚いやつで苦情が来ることもあるがこれなら安心だ」


「いえ、よろしく願いしますね」


依頼品の引き渡しも終わったので、いよいよ手入れだ。こっちも武器屋でするのかなと思いきや、鍛冶屋でしてくれるらしい。街によって武器屋が出来たり、鍛冶屋になったりとまちまちだから注意するようにと言われた。


「へ~、レディトは武器屋さんがやってないんですね」


「ああ。レディトの武器屋も簡単な手入れはするが、研ぎとかは出来ないんだよ。この街で武器をちゃんと手入れしたかったら鍛冶屋に行かないとね」


「それって1か所だけなのか?」


「いや、2か所あるよ。といっても、兄弟経営だけどね。親の家業を見事に兄弟2人ともが継いだって訳さ」


「えっと、仲悪かったりします?」


「悪くはないよ。特徴はあるけどね。兄貴の方がちょっと早くて、わずかに粗い。弟の方は時間はかかるけど、丁寧だね。料金は一緒だから自分の好みや状況で分けるといいよ」


「ジャネットさんはどっちですか?」


「あたしかい?最初は兄貴の方だったけど、最近は弟かね。剣を預けちまうとその間、依頼は受けられないけど別に金には困ってないし、ちょっとでも剣がいい方がうれしいからね」


話を聞けば、兄の方は大体2、3時間で弟の方はなんと2日かかるらしい。それは人によっては結構、収入に響くなぁ。弟の方は4時間ぐらいで兄に並び、そこから上回っていくんだとか。ただ、その時間ほど大きな差はなく、同程度の実力を持つ人間同士での戦いでやっと解る微々たる差らしい。とはいっても差はあるわけで、それぞれ冒険者は好きな方を選んでいる。


「でも、2日も研ぎ続けるなんて大変だよな~」


「あんたねぇ~、実際は6時間ちょいだよ。何本かまとめてね。ただ、本職は鍛冶屋だし他のことに取られる時間もあるからそうなってるんだよ」


「そ、そうですよね~。流石にぶっ通しなんてことありませんよね」


よかった~、ノヴァが代わりに聞いてくれて。同じ質問をするとこだったよ。


「鍛冶の方はどんな具合ですか?」


「おっ、リュートはそっちが気になるのか。鍛冶の方は割といい腕だよ。ただ、魔力を込められないのが痛いかね。多分ノヴァが使ってる剣もどっちかの作のはずさ。魔力や属性を考えなければ持ってて損はないよ」


魔力を込められる鍛冶の人間はかなり少ないらしく、ほどんどが王都など主要都市にしかいないそうだ。


「まあ、込められるといっても、ろくなもんじゃないのもいるし誰かに紹介してもらうのが一番だね」


「そういえば、ジャネットさんもジュールさんからの紹介でしたね」


「ああそうだよ。タイプは違うけど、敵を倒すという求められることは変わりないからね。本当に助かったよ」


「紹介って難しいんですか?」


「まあね。下手なやつを紹介しちまうと、自分の印象が悪くなるからね。鍛冶屋の方も一応紹介された手前、1本ぐらいは作らないといけないしさ」


「じゃあ、俺とかまだ無理か?」


「ノヴァはね…。今の剣に何か足りないって思わないだろ?属性剣も通常の剣より切れ味は劣るものだしね。もうちょっと腕が上がらないと難しいかねぇ」


「剣術LVが足りないのか?」


「いや、4もあれば別にいいんだけど、後は戦い方の問題だね。自分の戦い方に武器がついてこなくなってからだね。その剣、いい剣だからね」


話しをしながら鍛冶屋に着いた。今回は時間がないので兄の方だ。


「いらっしゃ―…。おう、ジャネット。久しいな」


「久しぶりだね。似た顔にはそこそこあってるけどね」


「聞いてるぞ、ランクも上がって偉くなったって」


「そういうことにしておいてくれ。今日は客を連れてきたよ」


「お前が客を連れてくるとはな。物は?」


「弓と剣と魔槍だよ」


「ほう~、いいもんだな。でも、この弓はちょっと無理だな。魔力があるし、特殊で作ったやつのメモでもないと触れんな」


「あ~、やっぱりかい。まあ、会いに行く予定があるからそれならいいよ」


「すまんな。こういう特殊なのは俺たちじゃな。魔力がありゃあ出来たんだが…」


「じゃあ、後はあたしの剣だね」


「今日はこっちで磨いていくのか?」


「そりゃあ、紹介しといて自分のは別だなんて出来ないだろ?」


「なら、三本で銀貨9枚だ」


「はいよ」


代表してジャネットさんが払う。


「明日は早いのか?」


「あ~、すまないけどかなり早い」


「分かった。ドアをたたいてくれたら渡せるようにしておく」


「悪いね」


そういえば今の時間からやると終わるのって夜だね。受け取りに行く時間がないから朝寄らないといけないんだ。


「でも、武器の研ぎ料が同じなんて良いんですか?」


「まあ、用意するもんはそこまで変わらんし、ナイフは流石に安くしているがな。じゃあ、また来いよ」


「はい」


おじさんとあいさつをして店を出る。ノヴァとリュートはいつも武器を持っているのでちょっと所在無さげだ。リュートも腰に下げてるナイフを気にしてるみたいだし。


「リュートも金たまってきたんだろ?2本目を買ってもいいんじゃないか?」


「そうですね。ただ、魔槍が嫌がるんですよね」


「嫌がる?」


「他の武器を手に取って見てると、魔力を吸収し出すんですよ。いつも、一定量は吸わせてるんですけどね」


最初の時も魔力を吸い取ってやるみたいな感じの槍だったけど、独占欲が強かったんだね。良かった、私のはそんなんじゃなくて。私のだったら、杖と弓が喧嘩しちゃいそうだよ。


「同じ魔槍でもかい?」


「あ~、一番最悪なやつです。魔槍を手に取ろうとしただけで過剰に反応するんです」


魔槍からしたら『何?私が要らないっての!?』な感じだろうか。手に取る前に反応するなんてほんとに愛されてるんだなぁ。


「じゃあ、武器屋とかのぞかないの?」


「いや、流石にナイフとかには反応しないから、そっちは見てる」


槍を背に武器屋に入って、真っ先にナイフに行くとか変に思われてないのかな?


「アスカ、言いたいことは分かるけどもう慣れたから。最初はきつかったけどね。まあ、お金が貯まるのは良いことだと思うけど」


確かにそれなら、防具ぐらいしか買うものがなくなっちゃうよね。なので、リュートは槍の代わりにナイフで属性武器をいくらかそろえているらしい。


「今預けてきたけど大丈夫かい?」


「それは大丈夫です。ちゃんと働けるようになるのが重要みたいで、そこは分かってるみたいです」


「難儀なことで。ノヴァはなんか考えてんのかい?」


「俺か?う~ん、リュートじゃねぇけど投擲はなぁ。そこまで伸びそうな感じがないんだよな。せめて、適当に投げてもある程度の範囲が攻撃出来りゃいいんだけど…」


「流石にそんな便利なのはねぇ。使い捨ての魔道具ならあるかもしんないけど、常備するのかい?」


「だよなぁ。アスカ、なんか思いついたりしねぇか?」


「何かっていわれても…。私も魔道具以外は思い浮かばないかな。使い捨てじゃないのも作れるけど、それだと相手に拾われた時大変だよ」


「そっか…そうだよなぁ。やっぱ地道にやるしかねぇか」


「近道ばっかり探してても無駄な時間になるってことだね。僕も練習はしてみるよ」


「そうそう。せめてLV3ぐらいにはなってくれないとね。技能がないんなら別にいいけど、折角あるんだからそこぐらいは目指してくれないと」


「そういえばリュートって魔槍の魔弾使わないよね」


「あ、ああ。あれね。使えなくはないんだけど、ただでさえ槍を使うのにMP使うでしょ?実は使って分かったんだけど、普通に魔法使う方が節約になるんだよね。魔弾ひとつでウィンドボール2つ分使っちゃうんだ。タメがないからそこは良いんだけどね」


「そうだったんだ」


「もう少し魔力が高ければそこそこ使うかもしれないけど、今のところは本当にどうしようもない時だけかな」


最初の頃よりはリュートも魔力が上がったけど、数日かかる依頼とかだと確かに余裕は欲しいよね。


「そういえばマジックポーションは持ち歩かないの?」


「一応持ってはいるけど結構高いでしょ?なるべくなら使わないようにしたいって思ってね」


「気持ちはわかるよ。私も買ってはいるけど、たまにしか使わないし」


使う時って、細工に夢中になって使いすぎた時に、期限が近いのを使うぐらいだ。それからは食事をして宿に泊まった。明日出会うパーティーはどんな人かなぁ?



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