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番外編 アスカと三神

頭がぼーっとする。まるで、ふわふわ辺りをさまよっている様だ。


「う…ん?」


「アスカ、起きて」


「う?」


「アスカ起きてってば!」


「は、はい!」


体を揺さぶられて目が覚めた。


「あれ?」


それから体を起こしてみたものの、そこは真っ白な空間で辺りにも何もない。


「えっ、ここはどこだろう?」


「アスカ、起きたわね!」


「は、はあ…」


声がするのでそちらに顔を向ける。


「シェ、シェルレーネさま!すみません!」


そこにはシェルレーネ様が居た。奥にはアラシェル様やグリディア様の姿も見える。ただ、シェルレーネ様以外は難しそうな顔をしているけど。


「やっと気が付いたわね。夢を使ったとはいえ、苦労したわ~」


「そうなんですか。すみません」


「良いの良いの。ちょっと言うこと聞いてくれたら」


「は、はぁ…」


う~ん、よく分からないけど何か話があるみたいだ。


「すみませんアスカ。今回はこのように急にお呼び立てしてしまって」


「いえ。ところで何の御用ですか?」


聞いてる感じ、アラシェル様からではなくシェルレーネ様が用事があるみたいだ。


「そうそう、アスカに聞いてほしいことがあったのよ。これまでは私たちが会うのは難しかったんだけど、あなたが巫女になってくれて助かるわ。おかげで、私もこうして会いに行けるようになったもの!」


「そ、そうなんですか…」


うう~ん、あんまり話が見えてこないけど、それを言いたいんじゃないんだろうな。


「それでね。今回こうやってあなたに会いに来たわけだけど、お願いがあるの!」


「お願いですか?私に出来ることなら…」


そこまで大したことはできないと思うけど、一応聞いてみよう。何か力になれればいいし。


「さっすが、アスカね。お願いって言うのは、新しい私の像を作って欲しいの!」


「像…ですか?」


どうしたんだろう。確かに今はグリディア様の像をバルドーさんの依頼で作っているけど、いつもはシェルレーネ様の像を一番作ってるのに。


「確かに、あなたは私の像をいっぱい作ってくれて、巫女も助かってるしありがたいんだけど…」


そこで一旦言葉を区切って、シェルレーネ様は勢いよく言った。


「私の像だけ種類が少ないの!あなたがアラシェルの巫女だからそこはまあいいわ。でも、グリディアの像も今やあたしの2倍以上の種類があるの!あなたは私の巫女の友人でしょう?もう少し種類があってもいいと思うの」


「えっ!あっ、はい。そうですね」


「でしょう!そうよね。ほら、グリディア!私の言った通りだったでしょう!」


「いや、人の迷惑考えろよ。ホントに…」


「すみませんアスカ。このようなことで神託めいたことを使ってしまって…」


「あっ、いえ、私は構いませんよ。久しぶりにお会い出来ましたし」


ただ、あまりにも理由が意外だったためちょっと思考が止まっちゃったけど…。


「そんなに意外だった?」


「えっ、私話しましたっけ?」


「ああ、私たち曲がりなりにも神様だから、人の考えることぐらい大体わかるわよ」


「そうなんですか…」


便利なような大変な能力だ。人の思考がいつも頭に入ってきちゃうのかな?


「心配してくれてありがとうね。でも大丈夫!普段は入ってこないわ。見たいな~とか思った時だけだから」


そうなんだ。良かった。


「あっ、それはそれとして、さっきも言った通り私の神像の種類が少ないから追加、お願いね!良いの待ってるから!」


「えと、具体的にはどういうものが…」


「そういうのは人の思いが重要だから任せるわ!だからよろしくね!!」


「は、はぁ」


その時、奥の方から大きな声が聞こえてきた。


「こら、シェルレーネ!たとえ仲の良い神同士とはいえ、他神の巫女に頼みとは何事か!」


「あっ、ガンドル様だ、やばい!それじゃあよろしくね~。期限は…そうね、早く成果を見たいから1週間で!それじゃあ…」


それだけ言うとシェルレーネ様はスーッと姿が掻き消えてしまった。


「大変でしょうが、よろしくお願いいたします」


アラシェル様が改めて私にお願いをする。


「いえ、頑張ります!アラシェル様も見ていてくださいね」


「もちろんです。応援していますよ」


「全く、今度現れた時は断ってもいいからね。アタシは別にそんなに多くなくて構わないし」


「グリディア様も心配してくださってありがとうございます」


「まあ、アタシも一応あいつとは付き合いが長いからね。尻拭いってとこさ」


「おお、グリディア。シェルレーネは?」


「先に帰りました。ガンドル様」


「そうか、今日こそはガツンと言ってやらねばな。行くぞ!」


「はい」


「それではアスカ。急な話でしたが、会えてうれしかったですよ」


「私もです」


「では、また何かあった時に会いましょう…」


そういうと、アラシェル様たちの姿も先程のシェルレーネ様のようにスーッと消えていく。それと同時に私の姿もどんどん透明になっていく。もうすぐ夢が終わるんだ。そして、私が私を認識できなくなった時、目が覚めた。


「すごい夢だった」


目が覚めると時間は8時半ごろ。ちょっと寝すぎたみたいだけど体の調子はいい。


「ゆめ…じゃないよね」


ベッドから起き上がろうとすると、ふと中央にある手紙に気づいた。中を開けてみると…。


『しんさくよろしくね』


と、走り書きのように書かれていた。きっと、追いかけられながら書いたんだろうなぁ。


「よしっ!約束もしたことだし、頑張ろう!!」


こうして、バルドーさんの依頼をこなしながら、新たなシェルレーネ様の神像の案を考える私だった。



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― 新着の感想 ―
新作を作ったとして、まさか、神殿に無料で奉納しろとか、言わないよね?
新作を期待している様子を見ると、アスカが制作した神像のデザインによってアラシェル様達は新たなコーディネーションを利用出来るようになる仕組みなのかな? 新しい服とか髪型がアスカ頼みとなれば、そりゃあ女性…
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