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依頼の消化

採取依頼のために新たなポイントに着いた私たち。


「よしっ!ここはまだ発見されていないみたいだね」


「なら、さっさと取っちまおうぜ」


「そうだね」


手分けして私たちは薬草を採取する。もう依頼分は達成しているはずだから、みんなで採っても大丈夫だ。


「次のポイントだけど、あそこは以前採っちゃったから、その先に行こう」


「一応確認しないのか?」


「次行くところが採られてなければ大丈夫なはずだよ」


「OK、それじゃあ向かおう」


そしてしばらく歩き続け、ポイントに到着した。


「やっぱりこっち側は大丈夫みたい。レディト方面だけみたいだね」


「なら、まだ安心だね」


「これからはそう言えないかもしれないけど、一先ずはね」


それから、ここでも薬草を取っていく。半分以上アルバ側に来ているので、ここからサンドリザードに会うこともめったにないし、割と安心して採れるのもここのいいところだ。


「大体こんなところかな?」


薬草も採り終えたので、そのまま街に向かって進む。


「なあ、もう街道に出てもいいんじゃねぇ?」


「確かにねぇ。この辺はまだまだ魔物も大人しいし、森を歩くよりは疲れないしね」


ノヴァの提案で、街道まで一直線に進みそこからは道なりに進んでいく。昔は避けて進んでいた街道だけど、最近はここを通ることも多くなってきた。なんだか不思議な気分だ。


「お~い、置いてくぞ~」


「待って~」


皆の後をついてアルバまで戻っていった。


「到着~」


という訳で、ギルドまで戻ってきた私たちは早速、依頼の完了報告を済ませる。


「ホルンさん。依頼完了しました!」


「あら、お疲れ様。それじゃ、ここに出して」


「それじゃあ、リラ草からお願いします」


私たちはリラ草からルーン草、ムーン草と順番に出していった。リラ草は少なくて20本ぐらいだったけど、ムーン草やルーン草は50本以上あった。


「こんなにたくさん見つけてきたの?」


「はい!頑張って北と南で採ってきましたから」


「そう、ちょっと待っててね」


ホルンさんがそれぞれの薬草を取り分けていく。リラ草は8割方Aへ、ムーン草とルーン草は6割から7割ぐらいかな?こっちはそもそもよくないのもあったし、仕方ないよね。


「う~ん、かなりいいわね。これひょっとしてアスカちゃんが全部採ったの?」


「最初の方は私ですね。最後の方とかはちょっとだけみんなで採りましたけど」


「やっぱり。じゃあ、依頼料込みで合計金貨9枚ね」


「相変わらず、すごい値段だね」


「それじゃ、分けますね~」


皆に報酬を分けて、今回の依頼は終了だ。


「さて、それじゃあたしはちょっとぶらついてくるよ」


「俺は家に帰るな」


「僕も」


「それじゃ、私も宿に戻るね」


みんなであいさつを交わして、今日はその場で解散だ。


「ただいま~」


「あっ、おかえりおねえちゃん。バルドーさんどうだった?」


「うん。しっかり送り届けてきたよ。馬車で王都に向かったから、あと1日ぐらいで着くんじゃないかな?」


「そっか、お疲れ様」


「また、夕飯になったらお願い」


「は~い」


エレンちゃんにご飯の時間に来てもらうようお願いして、部屋に戻る。


「ただいま~」


「おかえり」


ピィ


チッ


部屋に入るとティタが出迎えてくれた。そして、ミネルとアルナは…。


「今度は何?」


「アルナ、こっそりさきにごはんたべた」


「そっか。それでミネルが追いかけてるんだね」


狭い部屋だというのに2羽とも飛び回っている。ミネルは注意しているのだろうけど、アルナの方は完全に楽しんでるなあれは。窓から出ようと魔法を使ってもミネルがそれを防ぐので、お互い部屋から出られないみたいだ。


「ほいっ」


魔法で風の結界を作る。すぐに反応して解除しようとするアルナだけど、残念ながら魔力で劣るアルナには解除できない。そこへすかさずミネルが抑えにかかる。


「ゲームセット!なんてね。あんまりいたずらしちゃだめだよアルナ」


ピィ


折角いいところだったのにと抗議してくるアルナだけど、私はミネル派だからあきらめてね。


「さて、それじゃ、久しぶりに荷物整理でもしよう」


私はこの間、たまってきた荷物を整理する。本とかも結構多くなってきたし、まとめて箱か何かに入れておかないと邪魔になってきた。


「この本はめったに読まないし、こっちの箱へ。これはまだ読むから机にと。ん?これなんだっけ?」


でっかい突起のものが見つかった。どこかで見た気がするなぁ…。


「あっ、これハイロックリザードの牙か!加工してもらうの忘れてたよ~」


確かジュールさんの話じゃ弓に出来るんだっけ?また今度、シャスさんに会いに行かないと…。そういえば、以前行った時に聞いた村の話も気になるし、どこかでみんなに話して行こっかな?


「まあ、その前にバルドーさんの依頼もあるし、先に細工を終わらせないとね」


それに、来月分の通常の依頼はしてないからその分も先に作っておかないと…。


「となると早くても3週間後かぁ。よし!間に合うように頑張るぞ~」


私は早速、細工セットを出して細工を進めていく。とりあえずはグリディア様の像を追加で作ってと。特に今は木像がほとんどだから、銅像とか銀もちょっと作らないとね。しばらくは依頼を受けに行かないから、このチャンスにいっぱい作らないと!私は魔道具を用意して加工していく。


「ううん。こんな感じかな?」


髪のなびく感じがどうにも決まらない。わずかに削って形を整えるんだけど、どうしても同じって感じではなくコマ送りした感じとか、コマ戻しした感じになる。


「一瞬の表現って難しいんだな。まあ、わずかでも違うってことが好意的に捉えられるといいんだけど…」


2体ほど作ったところで、今日は時間切れになった。


ゴーンゴーン…


「あっ、もう6の鐘か…。そろそろ畳まなきゃ」


もうすぐ、ご飯の時間だし今日はここまでだね。


「ほら、エミールに当たってないで反省する!」


ピィ


ミネルに怒られてエミールに当たるなんて…。


「エミールも怒って良いんだよ。アルナはちょっと大人しくならないとね」


チィ


大丈夫とエミールは翼を広げるけどほんとかなぁ…。まあ、本人がいいって言ってるうちは見ておくか。にしても、アルナは暇さえあれば外に出るんだから。ちょっと休憩がてら下に降りたら、リンネの頭に乗っかってたし。リンネもうるさく鳴かなければ気にしないみたいで、何にも反応を返さない。


「みんなアルナに甘くない?」


じーっとティタが見つめてくる。


「そうですね」


「だよね~」


ティタとうんうんとうなづきながら、ベッドでちょっとゆっくりする。


コンコン


「おねえちゃんご飯~」


「は~い」


エレンちゃんが呼びに来てくれたので下に降りる。時間は大体、18時半ぐらいだ。


「おっ、アスカちゃん久しぶり」


「おじさん、久しぶりです。元気ですか?」


「ああ、この前の串屋の肉のお陰かな?」


「あの新しいやつですよね。私も食べました」


「だが、あの味どっかで食べたことあるんだよなぁ」


まあ、串屋の新しい味は宿のたれを参考に作られてるからね。こっちのより味は濃いめだけど。


「さて、今日は何かな?」


「アスカ、はい」


「エステルさん。ありがとうございます」


エステルさんが持ってきてくれたのはお野菜のセットだ。最近、肉が多かったから助かるな~。どうしても、旅の途中とかは干し肉が多くなるからね。今日はミネストローネかぁ。


「いただきます」


ぱくっ


うん、美味しい。野菜の味にキノコも入ってて良い出汁が出てる。


「良かったらこれも付けてね」


「は~い」


持ってきてくれたのは辛みのある調味料だ。ちょっとだけかけてと…。


「おおっ!ピリッとしておいしい!いくらでも食べられるよ」


「ありがとう、パンはちょっとだけ待っててね。最近、この時間に買って帰る人が多くて…」


「そうなんですね。そういえば、小さい子が店番やってるパンコーナー人気ですね」


「ええ、元気よく挨拶してくれるし、最近は結構人気なのよ」


まあ、パンも新製品を週に1個は出すようにしてるし、入れ替わりも激しいからちょっと覗いていく人も増えてきたしね。


「パンといえば、お魚パンはどうなりました?」


「ああ、あれね。何とか形にはなったわ。売らないけどね」


「折角できたのに売らないんですか?」


「香辛料と油とで煮込んでさらに冷ましてって工程が多くて。とても、あそこに並んでる値段じゃ出せないの。それに店で仕入れる魚って基本新鮮なのでしょ?それをわざわざ保存食みたいに油を入れるって言うのもね…」


そっかぁ、残念だなぁ。ツナとかって缶詰でいっぱい売ってたけど、手間のかかるものだったのかな?そういえば、冷蔵庫がなくて、肉の保存がきかないから干し肉もこっちは安かったなぁ。ビーフジャーキーとか高かった記憶があるのに。


「ま、今は食事だね」


再び、スープを食べ始める。やっぱりこの宿の食事は豪華だ。


「あ~、食べた~。はい、みんなも食べてね~」


部屋に戻ってくると、ミネルたちにご飯をあげる。ちょんちょんと一旦エサを小突いてから食べるエミールに構わず食べ始めるアルナ。それを眺めつつ食べるミネルに、パクッと食べては周りを見るレダ。みんな食べ方が違ってて面白い。でも、レダは野生の頃を意識しているのか、今でも食べることだけには集中する様子がない。


「みんなのことよく考えてるよね」


チュン


なんだ?て感じでこっちを向くレダ。慣れたとはいえ、初めて部屋に入ってきた時はびっくりしたなぁ。


「さあ、お風呂に入って続きだ!」


折角、やる気があるんだからこのまま作っていこうと決意をした私だった。



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