表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
274/492

ハウスメーカー

ミネルたちの家を改築するのに、おじさんの店でオーク材を買ってきた。


「というわけでこれから、あなたたちの家を広げるわけだけど、何か希望はある?」


チィ


チッ


「ティタ通訳お願い」


「こどもしんぱい。おくにつくる」


なるほど、私たちにも見える方が良いかなと思ってたけど、外に出ないようにして欲しいのか。


「それじゃ、連絡通路みたいなので今のお家と繋げちゃおう。それで、増築部分は屋根が開かないようにするね」


チッ


ミネルも納得してくれたので、早速増築部分を考える。まずは採光窓だ。これはガラス素材を買ってあるからそれをはめ込んでと。後は将来のために一応は下に降りれる通路を作っておこう。下には餌台も置いてと…。


「うん!これでいったんは改築完了だね。掃除する時用に壁はロック式に1カ所しておいたし、問題ないよね」


とはいえ、雛の状態の2羽を直ぐに動かすわけにはいかない。


「それにクッション材も必要だよね。ふわっふわの生地かぁ…そうだ!」


「ティタ、ちょっと出かけてくるからよろしくね」


「りょうかい」


ティタにミネルたちを任せて、私はフィアルさんの店に向かった。お目当てはライズの羊毛だ。


「あれなら、吸湿性とかバッチリだしきっと気に入ってくれるよ!」


確か、もうすぐ夏だから一回毛を綺麗に切るって言ってたもんね。お世話を任せてるからあの羊毛は扶養資金に充ててもらうことにしてたけど、ちょっとだけ分けてもらおう。


「こんにちわ~」


「あら、アスカちゃんいらっしゃい」


「あっ、お姉さん。ライズの毛ってもう剃っちゃいました?」


「今からよ。店長の手がようやく空いたの」


「それじゃ、行ってきますね」


「は~い」


お姉さんに見送られて裏庭へ。


「おや、アスカ。どうしました今日は?」


「フィアルさん、こんにちわ。ちょっとお願いがあって…」


「なんでしょうか?」


「ライズの毛。ちょっとだけもらえませんか?ミネルたちの子どものベッドにしたいんです」


「ベッドですか?そういえば、ミネルにも子どもが出来たんでしたね。良いですよ。どれぐらいですか?」


「ん~、替えも予備で欲しいからこれぐらいですかね」


私はフィアルさんに欲しい量を伝える。


「分かりました。聞きましたねライズ。嫌がってないで協力してあげてください」


ミェ~


ライズが力強く返事をしてくれた。


「ライズ嫌がっていたんですか?」


「どうも、刃物が苦手のようでね。昨日は諦めましたよ」


「ライズ大丈夫?」


ミェ~


ライズは大丈夫と言わんばかりにフィアルさんの方に向かう。良かった、これでベッドが作れるよ。


チョキチョキ


フィアルさんに切り立てのライズの羊毛をもらう。


「ありがとうございます。ライズもね」


2人にお礼を言って部屋に戻る。ほんとは終わるまで居たかったけど、今は優先したいことがあるからね。


「ティタ、ミネル、レダ帰ったよ~」


「おかえり」


チッ


チュン


みんなに迎えられて早速作業開始だ。ティタと一緒に水場まで降りて、水をためて一気に洗っていく。


じゃばじゃば


「ティタ、いったん水替えるね」


「わかった」


水を捨ててティタに一杯水をためてもらう。それを加熱して再び洗う。何度か繰り返して十分に汚れも取れたら後は乾燥だ。


「ここからは私の腕の見せ所だね」


熱すぎず乾きの速度を速めるために調整して熱風を送り、乾燥を促進する。


さわさわ


「よしっ!このぐらい乾燥すれば良いかな?出来上がった分は早速ベッドのサイズにしてと」


多めに出来た分も形を成形しておく。後は作り置きの箱に入れて保存しておこう。こうしておけば直ぐにでも替えられるしね。


「さぁ、ミネル出来たよ。準備したから試してみようね」


チッ


新しく増築した部分にベッドを敷くとレダが先にくちばしをうまく使って延ばしてくれる。そこにミネルが雛たちを連れて入っていく。


ピィ


元気な子の方は興味津々なのか直ぐに入ってくれたけど、おとなしい子の方はミネルに連れられてようやくって感じだ。こっちはこっちで大変そうだなぁ。なんとか、2羽ともベッドに連れて行けた後は案外なじむのは早くて、直ぐに寝始めた。


「これなら、今後ともこの子たちの部屋に出来そうだね」


チッと小さくミネルが返事をしてくれる。それじゃあ、起こさないようにこの場は出て行って次に移ろう。


「というわけで今度はリンネの番だよ」


わぅ?


「わぅ?じゃないよ。この前の雨の日も結局濡れ鼠で家に入って、ミーシャさんに怒られてたでしょ?日中は外に居るんだからお家作ろっ?」


わん!


そんなわけでこっちはライギルさんから薪用の木をもらって小屋を作る。


「トイレは奥に作ってと、回収しやすいように穴も開けておいて…。小屋の方はシンプルに一部屋を大きく作ってと」


簡単な線を引いたらティタに切っていってもらう。細かい繋ぎ目とかは私が作るけど、板にするぐらいはティタにも出来る。


「それじゃ、折角だし外側の板は焼いていこう。ファイア!」


火を起こして板を焼いていく。


わぅ


「ん?どうしたの。ああ、ビックリしちゃったのかな」


そういえばこの前もトレーニングしたいって言うから、ティタとかと模擬戦やってたけど、遠距離からバンバン火球を撃たれてたなぁ。トラウマにならないと良いけどね。


「さて、板も焼き上がったし作っていきますか。ティタそっち持って」


「わかった」


ティタに反対側を持ってもらって、小屋を組んでいく。ノヴァの作業を見ていて良かった。木組みとかちょっとまねしてみたんだよね。


「まあ、水漏れが怖いから突き出たところとかはそのままだけど」


面を綺麗にしたと思ったら、そこから浸水してきたって言ったらきっとリンネが怒っちゃうもんね。その後も作業はパッと進んでいく。1時間もすれば組み上がった。


「後は、下に敷くものだね。流石にこのままだと堅いよね」


わぅわぅ


はいはい、分ってるって。でも。この辺にある敷物ってウルフのが多いんだよね。それはちょっとあれだし、他の皮かぁ…。ガンドンの皮だと固すぎるしなぁ。やっぱりその辺にある毛糸を使った奴がいいのかな?


「リンネ自身はどんなのが良い?」


わぅ


「そと、いるときだから、そこまできにしない」


わぅわぅ


「そうなんだ。ん~、でも流石に最低限は必要だと思うんだよね。そうだ!オークの皮が余ってるからこれを加工しよう」


良い案を思いついたと私は直ぐにバッグからオーク皮を探してくる。ここに加工用の液体を入れて、加熱しながら余分な繊維を取って、後は乾燥するだけだ。


「そっちはティタ任せたよ」


「はい」


ティタに片側からの温風を任せる。私は逆方向からのやや熱めの温風を送り、2層の温風で乾燥させていく。


「どう?うまく出来てる?」


「まあまあ」


ティタ曰くまあまあな敷物が出来上がった。私も触ってみたけど、確かに風通しの良い素材のようで、冬が寒くないって言ってたリンネには良いかもしれない。逆に暑い夏を乗り切ってくれそうだ。


「それじゃあ、もう一個小さめのトイレ用を作るからね~」


「はい」


ティタと協力してもう一枚の敷物を作る。こっちはサイズがさらに小さいので楽だった。


「よし!これでリンネの小屋も綺麗に出来たね。中の敷物も2枚あるし、これで居心地は良いんじゃないかな?早速入ってみてよリンネ」


わぅ~


作成中の時間で飽きてしまったリンネに使い心地を見てもらう。まずは手前の部分。そしてトイレの部分だ。


わぅわぅ


「とてもきにいった、ながくだいじにつかう」


「ほんと!ありがとうリンネ。ティタにもお礼言っておきなよ」


わぅわぅ


こうして、リンネとミネルたちの家を一新した私はその日は細工をせずにおしまい。大味な建物だったけど。それでも結構、作業としては時間かかって疲れたからね。また、明日から細工の方に入ろう。


「重要なのはうちのみんながより良い環境になったと言うことだよね」


ミネルたちは自分たちのことだけじゃなく、子どもたちの環境が改良されたし、リンネも外でただ座っているのが、明日からは犬小屋で暮らすことで、より一層この宿の飼い犬だと言うことが広がるだろう。


「リンネは外出まではあと一歩なんだから頑張ってね」


わん!


返事は良いんだけどちょっと心配だ。まあ、今できることは終わったから、エレンちゃんにリンネの小屋の説明と、ミーシャさんにミネルたちの小屋の改築に関して話をしないとな。


「エレンちゃ~ん。ミーシャさん!居ますか?」


一緒には見つからなかったので、結局エレンちゃんにリンネ小屋をミーシャさんにはミネル小屋を説明してきた。別に難しい作りをしているわけじゃないから、2人なら直ぐになれるだろう。


「そういうわけで、私は夕食まで休んでるね」


「は~い」


エレンちゃんには部屋まで食事を持ってくるのをお願いして部屋に戻る。たまには休まないとね。


「お休み…」


まだ、ミネルの子どもたちが寝ているので、刺激しないようにゆっくり私もベッドに入って、夕飯の時間まで仮眠を取ったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ