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鍛冶師発見!

細工を頑張ってから、数日。ギルドに完成した細工を納品した。


「これが、依頼の物です」


「はい。では、失礼します」


ホルンさんが依頼品が十分に条件を満たしているか、鑑定をする。


「ふむ。細工で削れているところはないわね。縁取りも綺麗だし、あら、これも魔道具なの?」


「はい。やっぱり身に付けている人に安全でいて欲しいので」


「なるほどね。アスカちゃんらしいわね。じゃあ、このことも追記して教会の方から依頼主へ届けてもらうわね」


「お願いします。あと、この箱に入れてもらって良いですか?」


「ええ、構わないわよ」


私はお手紙付きの箱にブレスレットを入れてもらって、改めてホルンさんに渡す。これで、魔道具の説明も渡せたし、依頼完了だね。


「ところで、報酬はいつぐらいになりますか?」


「そうねぇ。基本的には神殿に着いてからになっちゃうから、早くても5日はかかるわね」


「そうですか…」


「何か気になることでもあるの?」


「まだ、この前買ったハイロックリザードの加工を頼めてないんですよね」


「費用の件ね。本当に足りなかったら少額だけど融資は出来るわ」


「本当ですか!」


「でも、ただじゃないから慎重にね。Cランクなら金貨5枚ぐらいかしら?あんまり貸しちゃうと返せない人が出てきちゃうからね」


大体、借り入れの期間は3ヶ月で利子は1割ぐらいらしい。ただし、翌日返済でも一割だ。お金を借りるって結構厳しいんだな。


「じゃあ、もしもの時はお願いします」


「ええ」


ホルンさんに挨拶をして、ギルドを出る。後はこの前と一緒の居場所が分かる魔道具をおじさんに納品しよう。


「そろそろ売れたかもしれないしね」


売れてると良いなぁと思いつつ、細工屋のドアをたたく。


「こんにちわ~」


「アスカか。この前の納品の分か?」


「それもあるんですけど、この前の魔道具がいくつか出来たのでそれも一緒にと思って」


「なに!?もう次が出来たのか?」


「まあ、あれは作りも単純ですし。魔力を込める以外に難しいところはありませんから」


「そうか。報酬だが1セット金貨8枚だ」


「金貨8枚!高くないですか?」


「それが先方に聞いたら中々、やんちゃな奴がいるらしくてな。本当に助かったと言うことだ。あと、友人にも紹介したいから、後8個ぐらいは欲しいそうだ。まあ、急ぎではないらしいから、ゆっくりで良いと言うことだ」


「へ~。まあ、急に10個とか持ってきても金貨80枚になっちゃいますし、そんなに買えませんよね」


「そういうことだ。せいぜい月に2つも買えたら、良い方だろう」


「分かりました。それじゃ、毎月2つぐらい作ってきますね。後、今回3つ追加で作ってるんですが、その分はどうしましょうか?」


「ん~。ちょっと先方に聞いてからだな。まあ、その分があれば翌月分はあるから、来月は魔道具はなくても良いぞ」


「分かりました。時間があったら作りますけど、なかったら今日の分でお願いしますね」


「うむ。それとこの前の納品の分と今回の納品の分はまとめて払おう」


「この前の分ですか?いつももらってると思いますけど」


「ああ、たまにな。金持ちの商人とかが高く買っていくことがあるんだ。その分だな」


そういっておじさんは追加分の金貨2枚と今回の分の金貨24枚を渡してくれる。おおっ!これだけあれば十分なのではないだろうか。


「それと、他の細工はどうだ?」


「あっ、そっちもありますよ。補充の分と新規の分ですね」


おじさんにそっちの分の卸しも済ませる。


「にしてもここも随分品が増えたな」


「そういえば、私が初めて来た時とかは、棚にゆとりがありましたね」


「今じゃ、俺のとおまえのとそれ以外にも最近は置く物が増えたから、入れ替えにも四苦八苦だ」


「そうなんですか?」


「ああ、この街の細工が隣町まで人気が出たからな。今まで商人に直接卸していた細工師も、置いて欲しいと言ってきたりするんだ」


「へ~、すごいですね」


「アスカのお陰だな。俺も新しい細工を取り入れられたし、今じゃ店以外にも商会に卸すようになったしな」


「じゃあ、まだ紹介したところとは取引続けてるんですね」


「ああ、納期にもうるさくないから、気に入った物だけを卸してる」


「なんだか、すごい物が行ってそうですね」


「今のアスカから見たらそうでもないと思うぞ。それぐらいおまえは上達してる」


「そ、そうですか」


おじさんから直接そう言ってもらえるのは初めてかも。腕が良いだけに私も嬉しい。


「だから、これからもゆっくりで良いからよろしくな。というわけで、新作のリンドウの追加をよろしく」


「はい!えっ?追加ですか?」


「ああ、街で付けてる奴がかなり美人だったみたいでな。一緒に付けてた細工物が目にとまったらしい」


「そうなんですね。じゃあ、次持ってくるときには多めにします」


「よろしくな」


卸しを終えてお金も入ったし、気分も良いしで、意気揚々と私は宿に帰った。


「ただいま~」


「あっ、おねえちゃんお帰り。お手紙届いてるよ」


「手紙?誰からだろう」


エレンちゃんから手紙を受け取って、部屋に帰る。ちなみに今日、ティタはディースさんのところに預けてきたので留守だ。最近ほんとにお喋りが上達してきたので、時間があれば預けるようにしている。


「何々、差出人はドーマン商会…ひょっとして」


手紙を開けるとやっぱり鍛冶師の人が見つかったという知らせだった。今は、結構依頼が立て込んでいるのもあってなんとか見つけた人らしい。ただ、腕は良いと書かれているけど、実績というか知名度がない人なんだって。


「まあ別に私も普通の冒険者だし、釣り合いがとれてるかもね!」


後はと…続けて注意書きを読んでいく。住んでいるのはエヴァーシ村です。聞いたことのない地名だな~。あっ、地図も入ってる。


「え~と、レディトの南東で草原を抜けたところです、か。結構遠いんだね。片道、2日から3日かかるかな?」


特に草原地帯が長くて、見晴らしが良いので一気に抜けないと夜中の警備が大変みたい。森と違って結構群れで動く種が多くて、一回の襲撃でかなりの数の魔物に襲われるらしい。


「これは1人2人だと難しそうだね。みんなにも話をしないと」


元々、1人で行く気はなかったけど、思ったより日数もかかるみたいだ。ちょうど、明日に一度集まる予定だし、話してみようかな。とりあえず今日はお休みの日だし、ゆっくり休もう。


「といっても、ミネルたちはほとんど巣から出てこないし寝るぐらいしかないや」


まあ、たまにはこういう休日も良いかもしれない。お休み~。



-----


ガチャリ


いつまでたってもおねえちゃんがご飯を食べに来ないので呼びに来た。


「おねえちゃん…はいるよ~。あれ、寝ちゃってるんだ」


うう~ん。最近は頑張って細工物を作ってたみたいだし、そっとしておこう。


「仕方ないなぁ~、お父さんに頼んでパンを用意してもらおう」


「アスカは?」


「寝てた。多分、しばらくは起きてこないだろうから、お父さんご飯お願い」


「はいよ。にしても、折角帰ってきたってのにタイミングが悪い奴だな」


「仕方ないよ。アスカはいっつも無茶するからねぇ」


「あれ?ジャネットさん帰ってきたんだ?」


「ああ、思ったより装備の加工に時間がかかったみたいでね。予定より遅れたけど帰ってきたよ。ほら、お土産」


ジャネットさんからほいっと小さな袋を渡される。中を開けてみると2つのキーホルダーが入っていた。ちなみにデザインは亀だった。


「亀?なんで?」


「おや、エレンは知らないのかい。そいつはエンシェントタートルっていって長寿を象徴する亀だよ」


「へ~、そうなんだ。でも何で2つあるの?」


「セットだったんだよ。アスカにでもやれば良いんじゃないかい」


「ジャネットさんから直接あげないの?」


「あたしからじゃ、気いつかっちまうだろ。エレンからの方が良いさ」


「そうかな?でもありがとね、ジャネットさん」


「それにしても、帰ってきて早速寝てるなんてね。また、何かやらかしてたのかね」


「やらかしたってわけじゃないよ。ただ、この前まで水の巫女様たちが来てたんだ」


「水の巫女?ムルムル様たちが?」


「うん。それも2人も来て、最初の頃は街を案内とかしてたみたい。それに、細工の依頼も受けたって言ってた」


「やれやれ、また無茶したみたいだね。にしても巫女様がどうしてここに?」


「この前のハイロックリザードの慰霊ですって。私も孤児院に来たって聞いてびっくりしたわ」


「エステルは見てないのかい?」


「宿では見たけど、孤児院では見てないですね。見てたら卒倒してましたよ」


「そうそう、今度来た人はとっても大人びててすごく美人だったんだよ」


「なるほどねぇ。一目見てみたかったね」


「おねえちゃんが今度は会いに行くって言ったから、いつか会えるとは思うよ」


「いや、遠目からで良いんだけどね。巫女って言えば神殿の宣伝塔だけど、結局は権力者の意向をもろに受けちまうからね」


「そんなものなのかな?」


「エレンも大人になりゃ分かるさ」


ぐじゃぐじゃとジャネットさんに頭をめちゃくちゃにされて、言われる。むむむ、早く大人にならないと!おねえちゃんみたいな…いや、お母さんみたいな大人に!



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