第二話 スタァ☆誕生 -「芸能界は顔が命」だっていうのはれっきとした事実。じゃあ、イケメンばかりそろえたら割と簡単に「トップスタァ」になれんじゃね?いやマジで!伝説-
【登場人物紹介】
・飛叢 隼人
「妖しい、僕のまち」より登場。
正体は“一反木綿”
俳優顔負けのイケメンフリーターで、高速で飛翔し、両腕に巻かれた木綿のバンテージで相手を締め上げたり、物を切断したりできる。
血気盛んでお祭り好き。
・海桐 凪
「妖しい、僕のまち」より登場。
正体は“磯撫で”
褐色の肌のイケメン漁師で、その束ねられた長い長髪の先を鋭い釣り針に変化させ、相手を引っ掛けて投げ飛ばしたり、切り裂いたりできる。
生真面目で義理堅い常識人。
・楯壁 守弥
「妖しい、僕のまち」より登場。
大手ゼネコン「楯壁土建」の御曹司。
人当たりのいいイケメン社長で、ナチュラルに女殺し。
会社経営では辣腕を振るう。
人のいい外見の裏には、秘密も多い。
・十逢 頼都
「Halloween Corps! -ハロウィンコープス- 」の主人公。
正体は“鬼火南瓜”
狩魔軍団「HalloweenCorps」をまとめるイケメン隊長で、地獄の炎を操る。
とある理由で不老不死。
・アルカーナ=D=ローゼス三世
「Halloween Corps! -ハロウィンコープス- 」より登場。
正体は“吸血鬼”
狩魔軍団「HalloweenCorps」の隊員にしてイケメン貴族。
吸血鬼特有の様々な特殊能力が武器。
なお、見た目は中性的だがれっきとした女性。
・???
「妖しい、僕のまち」より登場。
鞭が似合うドSの人。
飛叢「…という訳で、この五人でグループアイドルのてっぺん目指すぜ!」
凪「唐突だな…」
楯壁「まあ、いいじゃないですか。面白そうですし♪」
頼都「勘弁しろよ…何で俺がアイドルとか目指すんだよ…」
アルカーナ「ハハハ、いいじゃないか、頼都君。長い人生、こういう余興も重要だよ」
頼都「つーか、何でお前がいんだよ!?女だろ、お前!」
アルカーナ「フッ…『美』とは、ときに性別すら超越するものさ」
飛叢「何か、宝ジェンヌみてーだな」
楯壁「そうですね。今度、うちのCMにも出演してもらいたいくらいです」
凪「それはともかく、アイドルって一体何をすればいいんだ?」
頼都「知らねぇけど、適当に歌とダンスしときゃあ名乗れるんじゃないか?」
アルカーナ「まずはどこかのプロダクション等に所属して、歌やダンスの練習。そして、技能が上がれば様々なオーディションを受け、合格すれば晴れてデビュー…といったところかな」
頼都「やけに詳しいな、お前」
アルカーナ「伊達に長生きはしていないという事さ。あと、優秀なプロデューサーがいれば、より多方面への売り込みが期待できると思うよ」
飛叢「よーし、なら早速適当な会社に殴り込みをかけようぜ!」
凪「殴りこんでどうする…しかし、都合よくそんな会社があるのか?」
???「話は聞かせてもらった!」
飛叢「誰だ!?」
エルフリーデ「我が名はエルフリーデ=ゲオルグ=ポラースシュテルン!ドイツ第三帝国の精鋭部隊である第339部隊の司令官にして、怨霊集団“七人ミサキ”を束ねし者!」
頼都「…またややこしーのが」
アル「これは驚いた。霧散しない霊魂で形作られた兵士か。日本には実に興味深い存在がいるね」
凪「彼女は特別中の特別だよ…で、一体何の用だ?司令官さん」
エルフリーデ「ふむ。聞けば貴公ら、アイドルユニットとしてデビューを画策しているそうだな。であるなら、この私が助太刀してやろうと思ってな」
楯壁「それはそれは。ということは、貴女はどこかの芸能関係者と太いパイプでもお持ちなのですか?お美しいレディ」
エルフリーデ「いいや。そんなつながりなどは無い」
飛叢「おい!」
エルフリーデ「まあ、待て。いかに芸能界にコネがあってデビューできても、結局ものをいうのはアイドル自身の地力だ。実力が伴わなければ人気も続かず、結局、一発屋で終わりを迎えることになる」
アルカーナ「正論だね。そうして消えたアイドルも数多いだろう」
エルフリーデ「そうだろう?故にその地力を鍛えるために、この私が教官として指導してやろうというのだ」
頼都「それは有り難いんだが…あんた、アイドルのコーチなんて出来るのかよ?」
エルフリーデ「いや、そうした経験は全くない」
飛叢「おいおい!」
エルフリーデ「落ち着け、布の妖怪。確かに私はアイドルの教導は未経験だ。しかし、その前に何よりも貴公らに必要なものを伝授できる」
凪「それは?」
エルフリーデ「ずばり『チームワーク』だ」
頼都「またベタな…それに軍人がそんなの伝授できるのか?」
エルフリーデ「軍人やチームワークをそう馬鹿にしたものではないぞ、焰魔よ。そも、軍において、戦場での単独行動は非常に危険だし、任務遂行には限界が生じる。しかし、優れたチームワークと味方のバックアップがあれば、難度の高い作戦も達成が可能になる」
楯壁「成程。確かに軍隊におけるチームワーの醸成は生死に関わる重大事項。その軍隊の司令官であるなら、優れたチームワークの教導ができる、ということですね」
エルフリーデ「そういうことだ。しかも、我が隊に連綿と受け継がれている練兵法は世界一!貴公らを立派な精鋭部隊に鍛え上げることが可能だ」
凪「…そこはかとなく不安はあるが…どうする、皆?」
アルカーナ「僕は異存はないよ。レディの言う事は的を射たものしね」
楯壁「僕も右に同じです。皆で一丸になってプロジェクトを成功させるのは、会社経営者としてもよい経験になるでしょうし」
頼都「俺は嫌な予感しかしねぇんだが…」
飛叢「何だよ、ビビってんのか?」
頼都「そういう訳じゃねぇが、経験上、万聖節前夜ってのはロクな目に遭わないんでね。気乗りはしねぇな」
飛叢「そんなんじゃあ、主人公の名が泣くぜ?それにあんた『Halloween Corps』とかっていう部隊の隊長なんだろ?軍隊形式の訓練なんざ、慣れっ子じゃねぇのかよ?」
頼都「HCはガチの軍隊じゃねぇからな…まあ、いいさ。暇潰しくらいにはなるだろう」
アルカーナ「決まりだね。それでは宜しく頼むよ、レディ」
ピシィッ!!
全員「!?」
エルフリーデ「たわけ者!私のことはこれより『司令官』と呼べ!」
頼都「…やっぱ、今からでも抜けていいか?」
飛叢「馬鹿野郎、一人だけ楽させるわけねーだろうが」
頼都「くっ!いつのまにか手足にバンテージが!?」
エルフリーデ「さて…では、早速訓練を開始する!いいか、貴様らの返答はこれから『御意』しか認めんからそのつもりでいろ!また、反抗は一切無効とするから、その腐った脳みそにしっかり叩き込んでおけ!」
凪「おいおい…(汗)」
エルフリーデ「返事はッ!?」
全員「ヤ、御意!!!!!」
エルフリーデ「忘れるな!貴様らは『犬』だ!みじめに飯を食らい、ク○を垂れ流すだけの犬畜生…それが貴様らだ!そして、この私が絶対君主に等しい飼い主となる!いいや、貴様らにとっては神にも等しい存在だ!」
飛叢「海兵隊かよ…」
ビシィッ!!
飛叢「いてぇッ!!な、何しやがる、テメェ!?」
エルフリーデ「…神にたてつく気か?犬畜生の分際で」
飛叢「あぁん!?誰が畜生だ、このドS女!」
ビシィッ!!
飛叢「ぐあっ!?」
エルフリーデ「どうやら、貴様には特別に調教が必要なようだな…」
飛叢「上等だ!この俺を飼いならせると思うなよ!」
ビシィッ!!
バシィッ!!
エルフリーデ「ククク…いいぞ、ならばもっと反抗しろ。この私が骨の髄まで調教し尽してやる。そうだな…まずは服従の証に、この靴にキスでもしてもらおうか!」
飛叢「ハッ!なら、逆にふん縛って、牝犬にしてやらあ!!かかってきやがれ!!」
アルカーナ「…何か、ドS同士で勝手に盛り上がり始めたけど…」
楯壁「ハッハッハッ、これはどっちが勝ってもR指定間違いなしですね」
頼都「にこやかに言ってる場合か」
凪「ああ。飛叢が負けたら悪夢確定だし、勝ってもデビューは夢のまた夢だな…」
エルフリーデ「どうした!?その程度か、この○○○め!!やはり、貴様は×××で、△△な□□小僧か!?」
飛叢「うるせぇ、このクサレ●●●!!テメェの▲▲▲のせいで、さっきから鼻が曲がりそうなんだよ!!年寄りが無理してんじゃねぇのか、この■■■ババア!!」
エルフリーデ「…方針変更だ。貴様は潰す!」
飛叢「やれるもんならやってみやがれ!」
結局。
筆舌に尽くしがたい罵詈雑言と共に行われたこの喧嘩は、両者痛み分けとなった。
この激闘を経た二人は、なぜかお互いの力を認め合い、意気投合。
五人はエルフリーデをボーカルに据えたビジュアル系バンド「Kreuz」としてデビューし、かつてない人気を博したという。
が、それはまた別の話である。
エルフリーデ「フハハハハハ!私の歌を聞けーーーーーーぃ!!」
全員「御意!!!!!」
【END】
※次話は21時に投稿予定です