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第一話 愛を止めないで

【登場人物紹介】

十乃とおの めぐる

 「妖しい、僕のまち」の主人公。

 お人よしで、人畜無害な好青年だが、天然の女妖殺し。

 降神町おりがみちょう役場特別住民支援課勤務。

 特殊能力なし、決め台詞なし、おまけにモテてる自覚なし。

 このラノベ主人公体質が災いし、一部の読者からは、いたく嫉妬されている。

 ハロウィンになると何かと受難。


神前(かんざき) 季里弥(きりや)

 「Halloween Corps! -ハロウィンコープス-」に登場。

 レンタルクルーザー専門店「GRAND(グランド) BLUE(ブルー)」の若きオーナー。

 先天性色素欠乏症(アルビノ)であり、雪の様に白い肌と髪の毛、そして真紅の瞳の持ち主。

 端正な顔立ちで、見た目はイケメンそのものだが、精神がイっている。

 彼女(人外)にべた惚れで、ストーカーチックに追っかけている。



巡「今年もいよいよハロウィンか…何もない事を祈りたいな…一昨年は『バイクで暴走行為』昨年は『女体化』…ホント、ロクでもない目にあってばかりだよな…」


神前「失礼します」


巡「いらっしゃいませ…(白髪に赤い目!?しかもスゴイ色白!)」


神前「特別住民支援課というのは、ここで合っていますか?」


巡「あ、はい!(うわぁ、イケメンだなぁ!飛叢(ひむら)さんにも負けてないや)」


神前「耳にしたのですが、何でもこちらでは人間と人ならざるモノとの懸け橋を築くことを生業にしているとか…」


巡「ええ。当課では人間でない方々(妖怪)の皆さんが人間社会に適合できるよう、様々な公共サービスや支援を行っております」


神前「良かった…実は折り入って相談がありまして」


巡「相談ですか?分かりました。では、ただいま担当の者を…」


神前「待ってください。その担当者さんは人間ですか?」


巡「え?あ、いえ、違いますけど…(二弐(ふたに)さんは妖怪だしね)」


神前「実は手前勝手で恐縮なんですが、僕の相談は同じ人間の男性に聞いていただきたいんです」


巡「は、はあ(真剣な表情だなぁ…余程悩んでいるのかな?)」


神前「無理でしょうか…?」


巡「…その、あまり経験は無いんですが、僕なんかでも?」


神前「え、ええ!ぜひ…!」


巡「本職じゃないから、あまりお力になれないかも知れませんよ…?」


神前「構いません。お願いいたします…!」


巡「分かりました…で、一体どのような事でお悩みで?」


神前「はい。実は…私には美潮(みしお)という彼女がおります」


巡「それはお羨ましい。僕なんかまだ…あ、いや失礼しました。もしかして、ご相談とはその彼女さんの件ですか?」


神前「ええ。僕と美潮はひょんなことから知り合い、相思相愛(自称)になりました。彼女は優しく、美しく、僕の理想を体現したような女性です。それは今も変わりません」


巡「成程。素敵な女性ですね(…ん?いま何か変な補足のカッコが入ったような…)」


神前「正直、運命の出会いと思っています。白状すれば、彼女のためなら僕は何でもやれる。そう、罪を犯すことだって躊躇(ためら)わない…!」


巡「…は、はあ…それはまさに熱愛ですね…(…何か、目の光が…)」


神前「ええ…!僕の美潮への愛は炎そのもの…いや、それ以上です!実際、燃えたって焼き尽くされないんです…!」


巡「はあ…(汗)」


神前「ですが…何故か、彼女はそんな僕の愛を…(泣)」


巡「お、落ち着いて!泣かないでください!(急に泣き出した!?情緒不安定な人!?)。美潮さんに何かあったんですか?」


神前「…家出してしまいました」


巡「えっ!?」


神前「僕と美潮は同居していたんですが…今朝起きたら『探さないでください』という書置きが…」


巡「そ、それは…(絶句)」


神前「僕は…僕はどうしたらいいのか…」


巡「落ち着いてください、神崎さん!そ、そうですね…そうなる前に、何か原因や予兆みたいな出来事とかありませんでしたか?」


神前「原因…予兆…」


巡「そうです。例えば…喧嘩をしたとか?」


神前「そんな事はありません。僕が言うことには美潮は素直に応じてくれてましたし」


巡「成程」


神前「こないだも『脱いだ洗濯物のにおいをは嗅がないで!』と言っていましたが『君に悪い虫(他の男)が近付いていないか、確認するためだ』と言ったら、感嘆して溜め息を吐いていましたし…」


巡「…は?」


神前「おそろいの手袋を編んだ時も『自分の髪の毛を一緒に編み込むのは止めて!』と言っていましたが『いつでも君の近くに僕の想いを置いておきたいから』と言ったら、感動してしくしく泣き始めました」


巡「…(汗)」


神前「そんな彼女が、僕を置いて姿をくらますなんて…」


巡「それは…無理もないかと」


神前「…何ですって?」


巡「あ!いや、それはですね!何と言いますか、その…愛が行き過ぎているような…」


神前「僕に原因があるっていうんですか!?」


巡「あ、あああの!すみません!(ひょ、豹変した!?)」


神前「こんなにも深く!熱く!彼女を愛しているのに!」


巡「そうですね!よぉーく分かります!」


神前「貴方に彼女の何が分かるっていう…はっ!?ま、まさか…」


巡「?」


神前「あんた…まさか…僕の美潮に…横恋慕してるんじゃ!?」


巡「ええっ!?」


神前「あんた確か、僕が美潮の事を離した時に『素敵な女性ですね』って…」


巡「は、はあ…確かに言いましたけど…って!そ、それは別にやましい気持ちじゃなくて、社交辞令というか…!」


神前「社交辞令!?じゃあ、あんたは美潮の素晴らしさを知らないで、いい加減な受け答えをしてたのか!?」


巡「ち、違います!僕はそんな…」


神前「じゃあ、美潮の魅力を認めるのか!?」


巡「み、認めます!認めますから!」


神前「ホラみろ!やっぱり美潮の魅力にぞっこんなんだろう!?」


巡「どうしろと…(汗)」


神前「許さない…僕と美潮の間に割って入ろうとする奴は、絶対に許さない…!」


巡「ちょっ…(ほ、包丁取り出した!?)」


神前「間男、死すべし!!」


びゅん!!


巡「うわああああ!?また今年もこんな展開かあああああああッ!」



                       【END】


※次話は19時に投稿予定です




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