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オタクな俺がポンコツ美少女JKを助けたら、お互いの家を行き来するような仲になりました  作者: 木嶋隆太


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第72話


 一通りの準備が終わり、今は鍋で煮込んでいるところだった。

 焦げ付かないよう時々かき混ぜていたところだった。

 ぶくぶく、と言い始めたところで治はIHの電源を切った。


「あとは、ごはんが炊き終わるのを待つだけだな」

「……そうですね」


 ちらと炊飯器を見た咲が、軽く伸びをした。


「どうだ? カレー作れそうか?」

「というか、思っていたよりもカレーは難しくないんですね」


 そこに感心しているようで、咲が声をあげる。

 治と咲は休憩のためにリビングへと移動し、二人はソファに向かいあうように腰掛けた。


「そうだな。それに、適当な野菜入れてもおいしいから、たまに栄養を取るときは作るな。あとは鍋料理か」

「……なんですか、私と同じだと思っていたのに結構料理するんですね」

「たまに、だけどな。……さすがに野菜食わないとまずいか? って思うときがあるんだよ」

「私もありますけど、そういうときはコンビニとかのサラダにしちゃうんですよね」

「まあ、それは俺もあるな」


 そんな話をしているときだった。炊飯器が音をあげ、炊き上がったのが分かった。


「それじゃあ、食べるか」

「はい」


 二人はソファから立ち上がり、それからキッチンへと向かう。


「私はこれで食べますからね」

「……でか」

「で、でかくないですよ!」


 咲は頬を赤くしながら、その皿にごはんをよそっていく。治はもう一回り小さな皿を借りた。


「意外と皿も結構あるんだな」

「……そうですね。もともとは料理する気でしたからね」

「でも、しなかったんだな」

「だって、結構面倒くさいと言いますか……」

「……確かに、一人暮らしだと案外自炊って金かかるって思うもんな」

「はい。とにかく野菜が高いです。袋でまとめられているものは安いのでいいのですが、それだと一人では食べきれないこともありますしね。……時間がかかってしまいますので、時間が欲しいとなるとやはり自炊よりはお弁当を買ってきたほうが色々な面から見て安上がりなことも多いです」

「そうだな」


 熱心に語る咲に苦笑しながら、カレーの準備を終えテーブルへとついた。

 そして、向かい合って手を合わせる。


「いただきます」

「……いただきます」


 それから、スプーンでカレーを一口すくい、口に運んだ。

 うまい。肉や野菜にカレーの味が染みついている。柔らかくなった野菜を食べていく。


「おいしいですねっ」

「ああ、うまいな」


 治は同時に少し感動もしていた。これは咲と一緒に作ったものではあったが、彼女の手作りでもあった。

 バクバクと咲はカレーを食べていき、治も負けじとおかわりをしていく。

 だが、さすがに咲のほうが食欲は多かった。


「ま、まだいけるのか?」

「ふふん、当然ですよ」


 嬉しそうに微笑んで咲がキッチンへと向かう。

 治はその後姿を眺めながら、小さく息をついた。


 席で休みながら、幸せそうに食べていく咲を眺めていた。

 そのとき、咲と目が合い、咲は恥ずかしそうに視線をおろした。


「……そ、そのあまり見ないでください。恥ずかしいですから」

「わ、悪い……」


 ただ、彼女に見とれていた治は照れくさくなって視線を外した。


「……そんなに私食べてますかね?」

「い、いやそうじゃないんだ」

「ではどうしてそんなにじっと見ていたんですか」


 じろーっと睨んでくる咲に、治は苦笑を返していた。

 伝えるかどうか迷った思いを、治は気づけば口にしていた。


「……いや、その可愛いな、と思ってな」

「か、かわ!?」

 

 彼女はカレーを口に入れかけたところで、思い切りむせた。


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