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オタクな俺がポンコツ美少女JKを助けたら、お互いの家を行き来するような仲になりました  作者: 木嶋隆太


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第67話


 午前の授業が終わり、治は凝り固まった筋肉をほぐすように伸びをする。

 それから、スマホを開くとメッセージが届いていることに気づいた。

 その相手は、咲だ。その名前を見るだけで嬉しさがこみ上げる。と、同時に僅かな緊張もあった。メッセージを開き、その中身を確認する。


『申し訳ありません急に連絡してしまって。休日のどちらか、一緒に遊べませんか?』


 休日、という文字を見て、治は計画していた予定について考えていた。

 それからメッセージを打ち込んだ。


『今から電話しても大丈夫か?』

『はい、大丈夫ですよ』

『分かった、それじゃあ教室を離れてから電話する』

『お待ちしております。私はいつでも大丈夫ですから』


 そのメッセージを見てから、治は席を立った。

 その時、治のほうにクラスの女子がやってきた。クラスでも人気の女子だ。


「あれ、島崎くんこれからお昼? 一緒にたべない?」


 彼女の後ろでは、女子たちが治を見ていた。

 男女六人のグループだ。治が勝手にクラスのトップカースト勢と思っている人たちだ。

 その中には、普段治をバカにしている男二人もいた。男性のうち一人は、敵意むき出しであったが、一人は穏やかに微笑んでいた。

 ここ最近、治はクラスメートの動きを観察し、分かったことがあった。


 それは、治を普段バカにしている二人は真の陽キャではなかったということだ。彼らはいわゆるキョロ充であり、クラスのトップにいるのはそこで一人ニコニコとした笑みを絶やさない男子生徒だった。


「そうだよ、島崎くんどう?」


 その男子生徒がニコニコと微笑み、首を傾げている。

 

「……ちょっと、大事な用事があって電話するんだ。悪いな」

「えー、そうなの? じゃあ、それが終わったあとでもいいよ?」

「……あー、そうだな。時間があれば」


 やんわりと断りながら、治はできる限り敵視されないように微笑を浮かべながら教室を出た。

 それから誰もいない校庭へと出たところで、スマホを耳に当てた。

 数コールの後、電話がつながった。


『もしもし、治さん。急にどうしたのですか?』


 咲の声に学校の疲れが一瞬で吹き飛んだ。


「あー、その……休日はちょっと小説を書き進めようと思ってな。家でカレーでも作り置きして土日を過ごそうと思っていたんだ」

『か、カレー……なるほど。りょ、料理できるんですか……?』

「カレーくらいはな……カレールーの裏とかに作り方書いてあるしな」

『そんなこと、知りませんでした……』


 相変わらずの咲に、苦笑する。


「……そういうわけで、悪いな。ちょっと出かけるのは、って思ってな」

『なるほど……忙しいのでしたら、すみません……っうえ!?』

「え?」


 突然、咲が可愛らしく声をあげ、治は驚いた。

 反射的に首を傾げた治だったが、咲の後ろから真由美の声が響いていて、何となく状況が分かった。


『す、すみません驚かせてしまって』

「いや、いいんだけど……森島と一緒にいるのか?」

『はい、そうなんですけど……その、嫌でなければ一緒にカレーを作るというのは、ダメでしょうか?』


 咲の思いがけない提案に、治は驚いていた。

 咲は料理ができないはずで、さっきの会話からもそれがよくわかっていた。


 危険なものが出来上がるかもしれない。それでも治の中では一つの感情が浮かび上がっていた。

 

 ――咲の手料理を食べてみたい。



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