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オタクな俺がポンコツ美少女JKを助けたら、お互いの家を行き来するような仲になりました  作者: 木嶋隆太


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第49話



 教室にいた咲は、次の授業の予習をしていた。

 風邪は昨日一日二人の看病を受けたことで、すっかり良くなっていた。

 いち早く治が来てくれたことを思いだしていた咲は、自然口元が緩んでしまった。


(……いけません。こんなところでニヤニヤしていては変態ですね)


 そうは思ったが、それでも治と出会えた日曜日については中々忘れることができなかった。

 そんな風に、幸せな世界に浸っていると、


「今日も飛野さんは綺麗だなぁ……」

「ていうか、なんか今日は綺麗さに交じって可愛らしさもないか?」

「そ、そうだよな? なんていうか、無邪気な可愛さが表に出てきているというか……土日に何かいいことがあったのかもしれないな?」

 

 びくり、と咲は肩をあげる。一つ咳ばらいをして、表情を引き締め直した。


「おい……聞いたか?」


 そこで別の男子が現れ、その一団に混ざった。


「お、おう……なんだ? つーか、おまえ顔がゾンビみたいになっているじゃねぇか!」

「……あたり、まえだろ……おまえ、聞いてないのか?」

「だから、何の話だよ?」

「土曜日、ケーキバイキングのお店で飛野さんが男と一緒にいるっていう目撃情報があがったんだよ!」

(!?)


 男子生徒が声を荒らげ、咲はむせそうになった。

 それでも何とかこらえ、表情には一切出さないように努めた。

 彼の言葉は衝撃的だったようで、他の男子生徒たちが席から立ちあがった。


「ま、まさか……ありえないだろ!? 飛野さんのお兄さんとか、お父さんとかじゃないのか!?」

「飛野さんは一人っ子だ! 飛野さんの父親でもないことは確認済みだそうだ!」

(……な、なぜそこまで詳しいのですか!)


 突っ込みたくなった咲だったが、それもぐっとこらえた。ここで反応すれば、そこからなし崩し的に土曜日の状況を問い詰められることになる。

 ぺらぺらと教科書をめくり、次の授業の予習をしているという空気を出す。それもいつも以上に鬼気迫る勢いを演出し、誰も声をかけられないようにする。

 しかし、教科書の内容なんて一切入ってこない。咲の集中は、男子生徒たちの話へと向け続けられる。


「じゃ、じゃあ誰なんだよ?」

「だから……飛野さんの彼氏説が濃厚なんだよ」

「……か、彼氏、だと……れ、レンタル彼女やっているとかそ、そういうことじゃないのか?」

(れ、れんたるかのじょ? なんですかそれは?)


 興味を持ったことはすぐに調べる好奇心旺盛であり、真面目な咲はすぐにスマホで調べ、それからむせかけた。


「レンタル彼女やっていたら、俺がとっくにレンタルしまくってる! そういうサイトを見て回ったが、絶対違う、それっぽい人は試してみたが、まるで違ったんだよ!」

「お、おう! それじゃあやっぱり……彼氏、なのか?」

「……かも、しれない。お、おまえたち……聞いてこいよ」

「む、無理だろ。飛野さんに声をかけるとか……俺みたいな矮小な人間がそんなことするなんておこがましい……っ! 体が消えちまうよ!」

「おい! せっかく情報を仕入れてきてやったのに意気地なしどもが!」

「じゃあ、おまえがいけよ!」


 咲がむすっと男子たちを睨みつけたときだった。クラスメートの女子生徒が咲のほうへとやってきた。


「なんか、男子たちが騒いでるね? 誤解といてこよっか?」


 予習を忘れ、スマホを弄っていたために声をかける隙を与えてしまった。咲はきゅうっと喉が締め付けられるような苦しさを覚えたが、必死に冷静を装った。


「……誤解、そうですね。彼氏ではなく友人なだけですから、そこの誤りは正す必要がありますね」


 そう咲がはっきりというと、女子生徒は目を見開いた。


「だ、男子と出かけたのは本当なの!?」


 女子生徒が声を荒らげる。それにクラスの皆が注目した。




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