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第4話


「普段、料理はしないのか?」

「……そ、そうですね。でもでも、カップ麺だっておいしいんですよ!?」

「……まあ、そうだな」


 治だって料理はたまにしかしないため、それ以上追及するようなことは言えなかった。

 咲は近くにあった電気ケトルでお湯を沸かしはじめる。治はカップ麺を一つもらい、その準備を始めていた。

 咲は3つほどカップ麺をあける。それに頬が引きつった。


「……み、3つ一気に食べるのか?」

「一気にではありませんね。一つ出来上がったところで、次のものの準備を始めるために今開けているだけですよ」

「朝食は、3つのカップ麺ってことだよな?」

「はい。……あっ、きょ、今日はたまたまですからね!」


 咲の慣れた準備の手つきから普段からそのような食べ方をしているのだろうというのは容易に想像ができた。


 カップ麺の準備が終わり、治たちは両手を合わせ割りばしを使って食べ始めた。


 治もカップ麺は食べなれたものである。

 最近のカップ麺は本格的なものも多く、咲が用意したものもそれにあたる。

 治が買うものよりも値段の高いものばかりで、治は新鮮な気持ちで食べられた。


「それで、聞きたいことってなんだ?」

「……あー、い、いえ……その普通にお話しをできればと思いまして」

「お話し?」


 カップ麺を食べ終えたところで、咲は照れた様子で頬をかいた。

 その反応に治が首を傾げていると、


「島崎さんの高校ってどちらなんですか?」

「俺は――というか別に同い年なんだし、敬語じゃなくても」

「その、私はこれが基本ですので気にしないでください」

「……分かったよ。俺は水高だ、知っているか?」

「あっ、はい、知っています。私の学校は、風高ですので、そこそこ近いですね」

「……風高か。飛野は、頭いいんだな」


 県内でもっとも頭が良いといわれている学校である。

 治の通っている水高は県内で三番目ほどの偏差値の学校であるため、そこまでの差はなかった。


「……その失礼な視線はなんですか?」

「……表情に、出ていたか?」

「出ていますよ。なぜそのような目で見るんですか……!」

「いや、色々と抜けているところばかり見ていたから……学校の成績とそれは関係ない、よな」


 治が誤魔化すように笑うと、咲はむすっと頬を膨らました。

 

「これでも私は首席で入学し、試験のたびに一位を取り続けているほどなんですよ」


 それから、そこそこに豊かな胸に手を当て、どんと背筋を伸ばした。


「……すげぇな、普通に」


 県内一の学校で一位ということは、単純に考えて高校二年生の中でもっとも頭が良いということにつながる。

 治が驚いていると、咲は苦笑を浮かべた。


「そ、そこまで驚かなくてもいいですよ。島崎さんは高校生活はどうですか?」

「……そう、だな」


 治はクラスでの姿を思い浮かべ、頬が引きつった。

 友人はゼロで、クラスでは浮いた存在であった。


「勉強は普通だな、運動はそこそこ得意だな」

「確かに身長ありますし、バレーとかバスケットとかしているんですか?」

「……いや、帰宅部だ。色々忙しくてな」

「バイトとかですか?」

「……まあ、似たようなものだな」


 治は小説家だった。昨年ネットに投稿していた作品が編集の目に留まり、出版という運びになった。

 治が濁したのは、それを誰かに公表しようとは思っていなかったからだ。別に自慢できるほどの立場でもないと思っている。


 治はきょとんとしている咲の姿を改めてみた。外でみた彼女はまさに誰もが羨むような美少女だった。

 もちろん、今だってその美しさは保たれている。ラフな格好であるにも関わらずここまでの美しさを保てる彼女に、ただただ感嘆していた。


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