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オタクな俺がポンコツ美少女JKを助けたら、お互いの家を行き来するような仲になりました  作者: 木嶋隆太


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第32話


 しばらく歩き、羞恥が落ち着いたところで治がくすりと笑った。


「……やっぱり、抜けているところあるよな」

「ぬ、抜けてなんていません。先ほどのは島崎さんがエッチな目を向けてくるからです」

「いやいや、さっきの数々の行動は誰が見ても俺と同じように表現すると思うぞ?」

「……そ、そんなことはありません。さっきは、たまたま、です。人間、常に完璧ではいられないというだけですよ」


 そういった咲に、治は苦笑を返した。


「実をいうと……俺はあんまり飛野の完璧さを見たことがないんだけどな」

「な、なんですか!? 私、これでも生徒会長で、学校での成績は常に一位を取り続けているんですからね。教師からの信頼も厚く、生徒会室を半ば自室のように使えるんですから……っ」


 それを自慢げに話す姿が、すでに抜けていた。治はそう思ったのだが、それ以上の指摘はしなかった。

 半ば、涙目であったというのも一つの理由だ。


 バス停につくと、ちょうどバスが来ていたので二人は乗り込んだ。

 隣同士で座ると、先ほどよりもぐっと距離が近づいた。

 治はぎゅっと唇をかみ、強張った体の力を抜くように息を吐いた。


「そういえば、今日行く店はどういうところなんだ?」

「あっ、それでしたらこちらですね」


 咲がすっとスマホを取り出し、いくらか操作した後画面を治のほうに見せた。

 咲が見せるように体を傾けるのと、治が見るために体を寄せるのが重なった結果、腕が軽く触れた。

 二人は一瞬顔を見合わせたが、体を離すようなことはしなかった。


「ここが……その店なんだな? イタリアンなお店、ってところか?」


 パスタやピザがトップページにはあった。

 咲はスマホの画面を操作していく。


「……そ、そうなんですよ。主食はイタリアンですが、このお店で一番人気なのはケーキですね」

「ケーキ、か……確かに女性客が多いな」

「そうですね。女性を中心に人気が出たそうで……あっ、そういえば、その、確認していなかったんですけど、甘いものって大丈夫ですか?」


 心配そうな様子で覗きこんできた咲に、治はこくりと頷いた。


「甘いものは結構好きだな。それなりに食べられるほうだと思う。……まあ、さすがに飛野には勝てないと思うが」

「べ、別に私だってそんなには食べません。でも、良かったです。事前に確認していなくてすみませんでした」

「まあ、食事に関しては何でも大丈夫だから気にしないでくれ」


 彼女が責任を感じないようにそう続けた。実際、嫌いなものはほとんどないというのも事実だった。

 咲は頬を緩めながら、体を戻した。


「……そういえば、今日は随分と微妙な天気になっちゃったな」

「……そう、ですね。事前の予報では、明日まで雨は降らないという話でしたが、今朝の天気予報では今日降る予報にかわってしまっていましたね」

「そうだな……」

「もしかして、私雨女なのでしょうか?」


 がくりと肩を落とす咲。


「どっちかが、そうなのか……あるいは、今日に大事な予定を入れている世の中の誰かが雨男、雨女なのかもしれないな」

「すみません、雨が降るかもしれないのに付き合ってもらっちゃって」

「いやいや、そもそもは俺が付き合ってほしいから始まったことだしな。それに、雨なんて傘があれば大丈夫だしな」


 治はそういって折りたたみ傘をカバンから取り出した。

 それから、はっとなって咲はカバンを見た。


「……」


 がさがさと漁っているが、そもそもそれほど大きなカバンではないので、探し物はすぐに見つかるだろう。

 しかし、咲の表情から見つかっていないのは明らかだった。


「……どうしたんだ?」

「か、傘……玄関に忘れてしまいました」

「……財布は、あるか?」


 治が問いかけると、すぐに咲は頬を膨らました。


「さ、財布はありますよ……っ。バカにしないでくださいね!」

「それなら、大丈夫だろ。いざってときはコンビニとかで買えばいいし、そもそも雨が降らない可能性だってあるんだしな」

「そうですね……」


 がくり、と咲は肩を落とす。

 やはり咲の完璧な姿よりはポンコツな姿のほうがよく見ていた。


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