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オタクな俺がポンコツ美少女JKを助けたら、お互いの家を行き来するような仲になりました  作者: 木嶋隆太


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第31話



(いよいよ……この日を迎えるんだな)


 咲と一緒に出掛ける約束をした土曜日になった。


 治は以前咲と選んだ服に身を包んだ。それから髪を最低限整えていたが、元々好き放題にのばしていた髪を整えるのは難しかった。


 ある程度で妥協せざるを得ず、次までに必ず髪を切っておこうと決意することになった。

 空は曇り空。出かけるには少し微妙な空であったが、それでも治の心はそれなりに弾んでいた。

 自然と緩みそうになる口元に手をやり、表情を引き締めなおす。


「……あんまりはしゃいでいると、変に思われるよな」


 あくまで咲は、治の悩みを解決しようと行動しているにすぎない。

 そんな咲に気持ち悪がられないよう、治も意識しないで臨む必要があった。


 治は自分に何度も落ち着くように言い聞かせ、心の安定を保ってから、マンションへと向かった。

 マンションの入り口で待ち合わせをしている。


 そちらに向かうと、私服姿の咲がいた。

 奇妙な動物がプリントされた白を基調としたティーシャツ。短めの薄い桃色のスカートを身に着けた彼女は、健康的な素足をさらしていた。


 治はしばらく彼女の胸元で形を変える奇妙な動物の正体を見破ろうと視線を向けていたが、結局その正体はわからなかった。


「おはようございます、島崎さん」


 にこりと微笑んだ彼女は、トートバッグを持ち直すようにしてから治に近づいた。ちらとバッグを見ると、小さなぬいぐるみ型のキーホルダーがついていた。

 それはクマに似ていたが、ケルベロスのように頭が三つあるという奇妙な生物だった。


「おはよう、飛野、待たせたか?」

「いえ、先ほど外に出たところですから……服、似合っているようで良かったです」


 ほっとしたような声とともに咲がそう言った。


「さすが、飛野が選んでくれただけあるな」

「そんなことはありませんよ。島崎さんのスタイルがいいからですね」

「スタイルがいいって言ってもな。無駄に身長があるだけじゃないか?」

「そんなことはありませんよ。それに髪型も普段と少し違うんですね?」

 

 にこにこ、と微笑んだ咲とともに歩き出し、治は口を開いた。


「まあ、な。といっても、最近切っていなかったせいでこれが精一杯だったよ」

「そうですね。そろそろ切ったほうがいいかもしれませんね」

「……ああ。その、飛野も服似合ってるな」

「そ、そそそうですか?」


 髪をかくようにして、咲は俯いた。その頬は朱色に染まっていた。


「そのティーシャツにプリントされている動物はなんなんだ?」

「私も詳しくは知りませんが可愛いですよね」

「……可愛い、か? なんか、血みたいのついていないか?」

「そこが可愛いと思いませんか?」


 ふふん、と咲が見せつけるように胸を張ると、そこそこに発達した胸が強調される。

 治がさっと視線を外すと、そこで咲は自分の行動に気づいたようで胸を隠すようにしてさっと視線をそらした。


「し、島崎さん……え、エッチですよ」

「い、いや飛野が見せつけてきたんだろ!?」

「み、見せつけたのはプリントです……っ! む、胸じゃありませんよ!」


 顔を真っ赤にして咲が声をあげると、近くを歩いていた通行人たちから注目される。

 咲が顔を赤くし、治もまたすたすたと歩きだす。


「ひ、飛野……まずはバスに乗るんだよな?」

「は、はい」


 会話もそこそこに、二人はそのままバス停へと向かって歩き出した。



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