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オタクな俺がポンコツ美少女JKを助けたら、お互いの家を行き来するような仲になりました  作者: 木嶋隆太


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第20話




 少し歩けば、咲に注目する人たちで溢れていた。先ほどのように露骨に聞こえるような声はなかったが、それでもこそこそと咲を見る人は多い。

 自然、咲から治へと滑るように視線が集まる。


「飛野はいつもこんなに目立っているのか?」


 想像以上の視線に、治はぼやくように口にしてしまった。


「……そ、そうですね。なんていうか、だいたいどこに行ってもこんな感じですね」

「……大変なんだな」

「……え? そう……思いますか?」

「俺は少なくとも……こういうのは慣れないな。飛野は違うのか?」


 咲の人気の少しを体験した今、治が思うことはただただ疲れるということだった。


「……私も、そうですね。でも、私がそういうと周りの人は注目されて羨ましいっていうんですよ?」

「……そういう感性の人もいるんだな。それはそれで、凄いとは思うな」

「凄い、ですかね? 私は……一度立場を変わってあげたいと思います。どこ行っても注目されるのって休まらなくて大変なんですからね」


 ぷんすか怒っていた咲に、苦笑を返した。


「でも、『人気者で羨ましい』っていう人たちとは一度真剣に話してみたいな」

「どうしてですか?」

「小説を書いている身だと自分とかけ離れた人がどんなことを考えて生活しているのかとかは気になるんだ。小説っていろいろな人の生き方を見るものでもあるだろうしな」

「……確かにそうですね。そういう風に考えたことはありませんでしたね」

「飛野はどちらかというと俺に近い考えだったみたいで安心したな」

「安心ですか?」

「ああ……あんまり派手なのは苦手だからな」


 治がそういって笑うと、咲がくすりと笑った。


「感性が近いようでよかったです。それじゃあ、早速服を見に行きましょうか」

「……そういえば、メッセージでも言っていたけど飛野に任せて良かったのか?」

「はい、任せてください。私、服とか好きなんです」


 とん、と咲が胸を張る。そして治は彼女の部屋を思い出していた。


「……服、好きなのか?」

「……え? ど、どうしてそこに疑問を抱いたのですか?」

「いや、わりと服とか結構適当に放置されていたというか……それに男性と女性でまた別だと思うし……」


 咲の部屋を思い浮かべながら言うと、咲は顔を真っ赤にして声をあげる。


「わ、私の部屋を思い浮かべながら話すのはやめてください! ふ、普段は綺麗なんですよ?」

「……本当にそうなのか?」

「ど、どうしてそう思うんですか……!」

「いや……俺もあんまり人のことを言えるような部屋じゃないからな。……面倒くさがりな人っていうのはみんな同じだと思ってな」

「……なんだ島崎さんの部屋も汚いんですね」

「部屋も、ってことはやっぱりあれが普通なんだな?」


 治が問いかけると、咲ははっと目を見開いた。

 それから、頬を膨らませた。


「わ、罠に嵌めましたね!」


 咲が腕を組んでそっぽを向く。治は謝罪の意を示すように片手を向けながら、笑った。


「ごめんごめん。罠ってほどじゃないと思うが……まあ、お互い気をつけよう。Gとか出ない程度にな」

「ふふん、その点に関して私は心配ありませんよ?」


 咲はドヤ顔を浮かべる。


「なに?」

「私はあのマンションでは一度も見たことありませんからね。十階にもなると出ないのでしょう。……まあ、綺麗にするということには同意ですね。これから気をつけます」

「俺も幸いにもGは見たことないな」

「そうなんですね。できれば……二度と見たくはありませんね」

「見たことはあるのか?」

「……はい、一人暮らしする前に一度。母が握りつぶして仕留めていましたけど……私にアレは無理です。島崎さんはどうですか?」


 咲は顔を青ざめながらそう言った。


「俺も処理はできるが、できれば対面はしたくないな」

「ですよね……っ。あっ、このお店ですね」


 咲はスマホを取り出し、ちらちらと見合わせていた。


「……わざわざ調べてくれたのか?」

「えーと、まあそうですね。……私に任せてくだされば、完璧な服をご用意しましょう」


 咲はそういって胸を張った。


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