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オタクな俺がポンコツ美少女JKを助けたら、お互いの家を行き来するような仲になりました  作者: 木嶋隆太


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第10話

 治は朝起きてすぐに、次の巻のための小説を書き進めていた。

 治はゆっくりと、しかし確実に書き進めていく。


 朝一番に行うのはそれがもっとも合っていたからだ。学校を終え、疲れた頭ではあまり頭が回らないのだ。


 目標の文字数を超えたあたりで背伸びをし、治はノートパソコンを閉じた。


 時刻は7時を過ぎ、テレビでニュースなどを見ながら朝食を口にする。

 まもなく家を出る時間になり、治は部屋から出た。

 アパートは二階建てであり、築三十年を超えている。一度リフォームをしたことで、外観よりも室内は綺麗なほうだったが、それでもやはり周囲の家々と比較するとボロアパート、と呼ばれるのも納得できるものだった。


 特にすぐ近くにあるマンションが原因だ。咲が暮らしているそのマンションもあるせいで、治がいるアパートはそれこそ悪目立ちしてしまっていた。

 

 学校へと向かう途中、治はスマホを取り出して小説を読んでいた。

 今流行りのもの、文章の勉強などなど、様々な理由からじっと小説を読んでいた。

 

 時間はあっという間に過ぎ、学校の教室へとついた。

 特に友人はいない。治が教室に入ると、ちらと治に視線が一瞬向けられた。


「おい、オタクきたぜ」

「……ああ、ほんといつ見ても暗い奴だよなー」

「ほんとなー」

「何が楽しくていつも来てんだろうな」


 彼らは治を見てくすくすと笑う。彼らはあくまで、話しの種として利用していることを理解していたため、治は特に気にしてはいなかった。

 人の欠点というのは、話しのネタにしやすい。治はそれをキャラクター造形の視点からよく理解していた。

 だから、世の中には貧乳キャラがいたりする……なんてことを治は考えていた。同時に、そういったマイナス属性は普段とのギャップがあってこそだ、とも考えていた。

 

 ただし、それらが過剰になればいじめへと発展する。治の現状の立ち位置は嫌われてはいないが、好かれてもいない、たまに話のネタにされる程度の立ち位置だった。


 治としても友達付き合いよりは今は小説を書くのに力を入れたかったので、この関係は悪くなかった。


 席についた治は家に帰ってから書く小説のネタをあれこれとまとめ、それを突き詰めていた。

 スマホのメモに残し、書きたい台詞、次に書くべき部分の全体的なあらすじなどを考えていた。

 

 次の原稿の締め切りまで、まだ時間はあった。とはいえ、それほど悠長にもしていられない。早く書ければそれだけ推敲の時間ができる。


 ある程度小説のネタをまとめたところで、治は周囲の会話に耳を傾ける。

 同時に行うのは、クラスメートたちの盗み聞きだ。


「そういえば、昨日彼氏とさー」

「え、マジでー!?」


 治はその声に反応する。付き合っているカップルの会話は、特に貴重だった。

 若い男女のカップルの会話や行動、それらは治には到底縁のないものだったからだ。


 治は恋愛を中心に書いている作家だ。だから、少しでも参考にできる話は貴重なのだ。


 ここ最近治がファミレスに入り浸っているのもそれが理由の一つだった。

 もちろん、家では書けないからという理由で、ファミレスで執筆していたというのもあるが、学生同士のカップルが時々訪れるのを観察するのが主な理由だった。

 そんなこんなで治が話しに集中していると、学校のチャイムが鳴り響いた。


 もうすぐ朝のホームルームが始まる。

 チャイムに合わせ、席へと向かい始めた生徒たち。他クラスの生徒は急いだ様子で去り、また駆け込むように教室へと入ってくるクラスメート。

 教師が教室へと入り、朝のホームルームが始まる。遅れて、教室の扉が開け放たれ生徒が入っていく。

 お調子者の彼が「ギリギリセーフ!」と声をあげれば、「遅刻だ」という教師の無慈悲な声が響く。


 それらを耳にしながら、治は手に持ったペンを動かしていく。

 ノートには頭の中に浮かんでいた言葉を乱雑に書きなぐっていった。まだ、形にならない小説をどうにか形にするように。

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