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お給仕魔法少女になりまして。  作者: 鈴音くるす
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五話 僕たちの希望

 

「今日は楽しかったよ!また学校でね!」


 カフェは大盛況で三時間待ちという長蛇の列だったが二人で話をしていたらあっという間に時間になり大変美味しいスイーツを食べることができて大満足の一日となった。


「あのっ…愛華ちゃん…」


 バイバイ、と手を振ってお別れしようとしたら癒亜が待ったをかけるように愛華の肩に手を置いた。そして深く深呼吸をして真っ直ぐ見つめてきた。

 綺麗な瞳だった。夕焼けに反射して癒亜の瞳はキラキラと輝いていた。



「私は…何があってもっ…愛華ちゃんの味方…だからね…!」


 肩に置かれた手に力が入った。ぎゅっと掴まれた肩はふるふると震えた。愛華が震えているのではない。癒亜の手が震えているのだ。


「あの…癒亜?どうしたの?」


「なんか愛華ちゃん……考えてるみたい…だから…その…」


 真っ直ぐ見つめてきた目線を今度はキョロキョロと彷徨わせた。そして顔を赤らめ俯いた。普段あまり感情的にならない癒亜からしたらこれはきっと偉大なことなのだろう。



「ごめんね。何か心配させちゃった?…えっと、全然大したことじゃないから大丈夫だよ!」


 笑って返すが癒亜はどこか困ったような悲しそうなそん表情を浮かべていた。心配してくれていることが痛いほど伝わってくる。でも、こんな突拍子もないこと癒亜に話したところでどうにもならないし、逆にストレスか何かで頭がおかしくなったのかと心配されそうだ。



「じゃあ、また学校で!バイバイ!」


「う、うん…またね」



 曖昧に笑う癒亜にこれ以上、心配させたくなくてそう言うとくるりと向きを変え歩き出した。癒亜はしばらくその場を動こうとしなかったが、今日はたまたまタイミングが悪かったんだ。色々な出来事が重なりすぎて気が散ってしまった。癒亜には申し訳ないがまだこの事は言えそうになかった。



 ⁕ ⁕ ⁕ ⁕



「覚醒!ガーネット・ジュエル!」



 そして、今日も気づけばまた此処に居た。真っ白な空間に。

 メモルが空間を指差すと空間を切り裂くように出てきた今日の怪物。見た目はトンボのような大きな青い羽を怪しく羽ばたかせていた。



 ブルルルッ!



 威嚇するかのように、鳴き声を発しトンボの見た目のくせに口には大きな牙が見える。その牙を震わせ鳴き声を発していた。



「メモル!ステッキを!」


「いくぞ!」



 メモルがポシェットから細い棒を取り出し、愛華へと投げた。愛華の手に収まった棒は昨日と同じ大きなステッキへと変わった。

 愛華の瞳には前回までの迷いがなかった。瞳は怪物をしっかり見据え、ステッキを構える。



「てやぁぁぁあッ!」



 ステッキを大きく振りかざし、見事に怪物の頭へ命中させた。怪物はそれに怯み、高く飛び上がる。逃がすわけにはいかないと愛華はステッキを手から離し、怪物の行く手へと投げた。


 ステッキは怪物より大きな網へと姿を変えた。そして怪物を捕らえる。怪物は必死に抵抗するが網は全然外れない。愛華の思いに応え、より一層怪物に絡みつく。



「今しかない!お給仕魔法!【愛情たっぷりハートフル・タイム】」



 怪物は呪文を唱えると同時に気泡に変わり、浄化されていった。ハートも光となって消えこれで今日の浄化は終わったのだ。



「ガーネット・フェアリー。凄いじゃないか!ステッキを網に変形させるとは考えたものだ。お見事!」


「私、決めたんだ。考えていても仕方ないって。今、私に出来ることをしようって!」



 愛華の言葉を聞いたメモルは瞳を見開き、愛華の手を握った。メモルのこんなに明るい表情は初めて見たかも知れない。知っている限りのメモルは悲しそうだったり、心に重荷を抱えているような不安そうな顔だったり。だから嬉しかった。誰かの笑顔はやはり嬉しいものだ。



「ガーネット・フェアリー。君は僕たちの希望だ」



 メモルは溢れるような笑顔に少し、涙を浮かべそう呟いた。

魔法少女として、らしく、強くなる愛華の成長から目を離さないで下さいね!

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