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双子なのに妹はヒロイン!?姉は家政婦(@ ̄□ ̄@;)!!家族の中は格差社会m(。≧Д≦。)mどこにでもカースト制度は存在する(*`Д´)ノ!  作者: 音無砂月
第2章

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「ねぇ、ねぇ、柚利愛」

学校に来て直ぐ、緋紅は猫なで声を出しながら私に近づいてきた。

女が女にそんな声を出さないで欲しい。

鳥肌がたってしまった。

「そろそろ朔さんのメアドを教えてくれてもいいんじゃない?」

いや、良くないでしょ。

人のメアドを勝手に他人に漏らすなんて。

個人情報漏洩だ。

受け取った以上、個人情報はしっかりと管理されなければいけない。

「良いも何も私は店長のメアド知らない」

「じゃあ、ケイバン」

「それも知らない」

嘘だ。

本当はどっちも知ってる。

店長からはよくメールとか電話を貰うので。

「バイトでしょ。どうやって連絡とってるの?」

「お店に直接」

「マジで!?あんなイケメンが間近にいて何で聞いてないの?

あり得ないんですけど」

そう言われても緋紅の価値観で言って欲しくない。

「じゃあ、聞いてきてよ」

「ヤダよ。必要ないし。自分で聞いてみたら? 」

「もう聞いたよぉ。でも教えてくれなかったんだもん」

「じゃあ、尚更ダメじゃん」

それに私は許可もなく人にメアドや番号を漏らしたりはしない。

これはマナーの問題だと思う。

「えぇ!柚利愛、使えない」

悪かったね。使えなくて。

「ちょっと!今勉強してるの。静かにしてくれる?」

キッと委員長に睨まれてしまった。

騒いでいたのは私達だけではないのだが。

「神山さん、あなた随分と余裕よね。

次の中間、私に勝てるのかしら?」

そんな挑発的なことを言われても困る。

「どうそお好きに。

私はあなたと競っているわけではないので」

「なっ!?見てなさいよ」

そう言って委員長は自分の勉強に没頭した。

勉強、勉強で何が楽しいのだろう。

まぁ、私もバイトばかりだからあまり人のことを言えないか。

今日のご飯は何にしよう。

面倒だからお惣菜とかにしたいけど由利がお惣菜嫌いなんだよね。

『お腹すかせて学校から帰って何で出来あいの物を食べないといけないの』って前に言われた。

じゃあ、自分で作れば良いのに。

良いよね。

自分が世界の中心に生きているみたいな人は。

しかもその自覚もないなんて。

これだから嫌いなんだ。

ヒロインは。

きっと由利はこのつまらない物語のヒロインで私は脇役

直ぐにみんなに忘れられるだけの存在

何て、つまらない存在だろうか。

「ねぇ、柚利愛。ダブルデートしない?」

そう言えばまだ隣で緋紅が話してたんだっけ。

「私にも由利にも恋人がいないじゃん」

「私には朔さんが居るもん。

何とか誘ってよ」

「仮に来ても私の相手が居ないからダブルデートにはならない」

「大丈夫よ。柚利愛のは私が用意してあげる」

うわっ。

絶対にろくな奴が居ない。

「柚利愛、モテるし。経験もあるでしょ」

何の経験だよ。

「私は誰とも付き合ったことがないけど」

「そんな謙遜要らないから」

「いや、事実」

「あっ!そっか!処女ですってアピールか」

「どんなアピールだよ!仮にそうだとしても同性にしても意味がないでしょうが」

「柚利愛、ごめんね。柚利愛の気持ちは嬉しいけど」

「私は全力で気持ちが悪いわ」

「だけど、私はノーマルだから」

「緋紅、まだ続ける気?」

「ごめーん。だってさぁ、暇なんだもん」

「じゃあ、勉強でもしてなさい。

高校には留年があるんだからね」

「そうなったら留学する」

留学する頭があれば留年はしないと思う。

「ねぇ、マジで柚利愛は彼氏いなかったの?」

「だからそう言ってるんじゃない」

「有り得なくない」

何があり得ないのか私には良く分からない。

アルビノとして差別され、ただ人と違うだけで嫌われていたのだ。

彼氏なんかできるはすがない。

ちくりとあの男のことを思い出して私のないずの傷口が痛んだ。

あれは、私が馬鹿だっただけでのこと。

「高嶺の花だったりして」

お手洗いに行ってきていたのか、濡れた手を拭きながらみどりが来た。

「あぁ、なる。美人過ぎるのも問題ね」

「何事も程々が一番よ。

佳人薄命って言うし」

「不吉なこと言わないでくれる」

「あははは。ごめん、ごめん」

だいたい、佳人って。

そんなわけがないだろ。

いつも不気味だと言われていたし。

まぁ、中学の時は授業を除いて滅多に口を開かなかったし、自分から誰かに積極的に話しかけることもなかった。

 きっと、今の私を見たら中学の人達は絶句するだろう。

 冗談を言っている神山柚利愛なんて誰も、家族も知らないのだから。

 「話がだいぶ逸れちゃった」

 寧ろ逸らしてくれた方が良い。

 今更戻してほしくない。

 「それよりもダブルデート」

 「緋紅、まだ諦めてなかったの」

 「だって、みどり。朔さん格好良くない」

 「まぁね」

 「何で写真とか出回ってないんだろう。

 普通、誰か撮ってSNSとかで回すでしょう」

 「店長はそういうのしっかりしてるから、隠し撮りとか直ぐに気づいてその場で削除させてる」

 「うっそぉ!そこまで徹底させてるの。

 写真ぐらい良いじゃん」

 「個人情報」

 「そんなの知らないよ。ネット社会で個人情報保護なんてあってないようなものじゃん」

 そんな身も蓋もない。

 はぁ。と、みどりは溜息をついていた。

 気持ちは分かるよ。

 「格好いい人だからね。あんたみたいなのに纏わりつかれて嫌気がさしてるんじゃない」

 「みどり、ひっどぉい。私は純粋に朔さんのことが好きで」

 「見た目がでしょう」

 「中身はこれからだもん」

 「どのみち、あんたみたいなお子様には無理よ。

 元ホストの恋人なんて」

 「分かってないな、みどりは。元ホストだから落とせるんじゃん。

 ああいうのは初な女の子に免疫がないからころっといちころよ」

 無理だろ。

 それなら既に近い年齢の女性が落としてるよ。

 実際、そういう方向から攻めている女の子も居る。

 「でも私はもう嫌よ。学校の帰りに喫茶店で行列なんて」

 「えぇっ!付き合ってよぉ。友達でしょう」

 「柚利愛がいるじゃん」

 私に振らないで。

 「じゃあ、柚利愛」

 「いや、私バイト中だから一緒に並べないし、帰れないよ」

 「意味ないじゃん。ちょっとは減らしたら?」

 「確かに毎週入ってるよね」

 プラスカラオケと内職

 「あっ!もしかして柚利愛も店長狙い!それで毎日バイト?」

 「そんなわけないでしょ」

 「ダメだよ、柚利愛。朔さんは私が最初に目を付けたんだから」

 凄い理屈。

 「頑張ったね」

 張り合うのも馬鹿らしいので私は適当に流した。

 結局、ダブルデートの話は有耶無耶のままだ。

 やるつもりもないのでその方が有難い。

 緋紅は結構気分屋で飽き性なのでほんの少し前までは三年の先輩に熱を上げて積極的にアプローチしていたので今回も直ぐに別の人間に移るだろう。

 それまで面倒だけど適当に対応して何とかやり過ごそう。

 ああ、何だか頭が痛いな。

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