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双子なのに妹はヒロイン!?姉は家政婦(@ ̄□ ̄@;)!!家族の中は格差社会m(。≧Д≦。)mどこにでもカースト制度は存在する(*`Д´)ノ!  作者: 音無砂月
第2章

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2

 学校を終え、私は緋紅に言った通りアルバイト先へ向かった。

 私の家から学校まで電車を乗り継いで五駅先にあり、大体三〇分程度かかる。

 アルバイトは学校から徒歩二〇分の所にある喫茶店だ。

 名前はシャノワール。

 「柚利愛、悪い、直ぐに入ってくれ」

 「はぁーい」

 来て早々に私がアルバイトをしているシャノワールは混雑していたのでまだ仕事開始時間には早いが荷物を置いて喫茶店の制服に着替える。

 店長の司朔(つかさはじめ)は元ホストで現在は二四歳。

 元々飲食店経営が夢で高校卒業して直ぐにお金を貯める為にホストになったそうだ。

 見た目も良いので直ぐに必要な資金は集まり、今、こうしてシャノワールの店長になっている。

 「何だ、柚利愛。もう入るのか?」

 そう声をかけて来たのは店長の弟の司昇(つかさのぼる)。現在は大学生、二一歳。

 店長の弟だけあって顔は整っている。

 アルバイトとして厨房を担当している。

 「あの馬鹿に給料に上乗せさせてもらえよ」

 そう言ったのは眠そうに欠伸をしている元教師の柳馬遠間(やなぎばとおま)。三五歳。

 現在はシャノワールの料理担当として働いている。

 「柚利愛しゃーん、もう助けてくだしゃーい」

 と泣きついて来た茶髪、ポニーテールの女の子はアルバイトで私と同じ高校生。

 母子家庭で弟を溺愛している皆実明菜(みなみあきな)

 「直ぐに行きます」

 元ホストのイケメンが経営する喫茶店で時々厨房から顔を見せる弟もイケメンなのでシャノワールには女性客が多い。

 勿論中には私や明菜さんを狙った一部の男性客もいるが、店長を始めとしたシャノワール職員のガードは完璧なのでそのこに私と明菜さんが気づくことはなかった。

 それに圧倒的に女性客が多いのでどうしても男性は足踏みをしてしまうせいでもあった。

 「コーヒー一つとレモンチーズケーキ一つ入ります」

 「はいよ。これ、二番のテーブルね」

 「はぁーい」

 「明菜、お前これ以上皿割ったら給料ねぇからな」

 「うへ~。店長鬼畜」

 「兄貴はケチだからな」

 できた料理を持って来た昇が姿を見せて店内に黄色い歓声が上がる。

 まるでアイドルのコンサートのような光景だ。

 行ったことはないけれど。

 「こいつの皿を割る回数が凄まじいのだから仕方がない。

 経営に失敗したのなら仕方がないけれど、皿の割過ぎで店が経営困難になったら幾ら何でも格好悪すぎだろ」

 「そいつは確かにもう、腹を抱えて指さして笑うしかねぇな。兄貴を」

 「俺かよ!お前らだって笑われる立場だろうが」

 「口ではなく手を動かす」

 「「「・・・・・はーい」」」

 私の一言で現状を思い出した三人は直ぐに仕事に戻った。

 シャノワールは一八時まで営業している。

 喫茶店なので夜ご飯に出すようなものもなく、特にこの時間に終わっても問題はない。

 「じゃあ、俺は明菜を送っていくから」

 「いつもすみません、昇さん」

 「良いってことよ。重要な戦力に何かあったら俺は明日から仕事量倍増で死ぬから」

 「嘘でもいいから私の心配をしてください!」

 そんな冗談を言いながら昇と明菜は店を出た。

 「じゃあ、行こうか」

 「はい」

 私は店長が送ってくれる。

 これはいつもの光景だ。

 夜遅くなるのに女の子一人で帰るのは危ないとのことでそうなったらしい。

 因みに店はいつも遠間さんが残って最後の片づけや戸締りをしてくれている。

 どういう関係かは知らないがこの三人は同じ家に住んでいるようだ。

 シェアハウスのようなものだろうか。

 突っ込んで聞いたことがないのでそこら辺は知らない。

 「あの、でも遠いので駅まででいいですよ」

 「何言ってんの。ダメだよ。ちゃんと家まで送る」

 「でも」

 何だかいつも申し訳なさで一杯だ。

 「女の子なんだから。男としての義務だよ」

 「はぁ」

 イケメンの顏でニッコリ笑われながら言われたらこれ以上は何も言えなくなってしまう。


 店長は家に着くと私が家に入るのを確認するまでそこに居てくれた。

 紳士的な人だ。

 「いつもありがとうございます。それでは」

 「ああ。おやすみ」

 「おやすみなさい」

 私は一礼して家に入った。

 家に入るといつもの光景がそこにはある。

 でも、ほんの少し心が温かいのはなぜだろう。

 「柚利愛、お腹すいた」

 由利の声に私は現実に思考を戻す。

 「冷蔵庫に入っている物を温めて」

 「冷蔵庫?」

 由利が開けるとそこには昨日作り置きしておいたものが入っていた。

 「これいつの?」

 「昨日の夜作ったの」

 「食べれるの?」

 「だから昨日の夜、作ったって言ってるでしょうが。

 文句があるのなら自分でしなさい。

 たまには家事ぐらいしたら?」

 「してるよ」

 私は耳を疑った。

 「・・・・・何を?」

 「洗濯したもん」

 「洗濯物を入れてスイッチを押しただけじゃん。

 洗ったんならせめて干してよ。

 取り込みもしないでこれが家事だとでも?」

 だとしたら世の主婦達はどれ程楽なことか。

 いつものやり取りに温かくなっていた私の心は急降下で冷えきり、直ぐに全ての家事をこなして冷めてしまった心を温めるようにお風呂に入り、身を沈めた。

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