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第二話 城を出る

 メクは思わず大声で叫んだ。

 その城の兵士たちが、慌ててくるのを感じた。

 姿は変わっても声は一緒なので、メクの危機だと感じて、兵士たちが来ているようだ。

 この姿で城に入れたのは、どうやら大勝利で兵士が浮かれており、警備が手薄になっていたからで、叫び声を聞いた兵士たちの慌てようは尋常じゃなかった。


(ま、まずい。今わしがこんな姿になったとしれたら、色んな意味で不味いのじゃ)


 女王がぬいぐるみなったなど、国民が知れば大パニックになる。そもそも、こんな変な姿になった自分を他人に絶対に見られたくないという思いもあった。


 メクは隠れる場所を探し、城の中に銅像があったので、それの陰に隠れた。


 兵士たちが集まってきてた。メクを探すがいないため、不思議そうな表情をしている。

 最終的に聞き間違えという事で、決着がついたようだ。

 メクはほっと胸を撫でおろす。


(ま、まずは、兵士のおらぬ場所にいって、それから昨日の夜の事を思い出すのじゃ)


 メクはこっそりと城を抜け出し、誰もいない場所へと向かった。



「昨日は酒によって確か外に出た……そこで……確か魔女にあって、こんな姿に……」


 メクは途切れ途切れの記憶を、必死で思い出していた。


「何たらの魔女って言ってた気がするが……何の魔女じゃったか? むむむ、思い出せぬ!」


 もふもふになった自らの頭を抱えて、叫んだ。


「わしをこんな姿にしたということは、悪の魔女に違いはない……! ぐぬぬ、ふざけおって……」


 怒りが腹の底から湧いてくる。


「叩き潰してくれれるわ! この姿なら、物理攻撃はできぬが、幸いわしは魔法使いじゃ! 叩きのめすことも……むむ? 待てよ……」


 メクはそこまで言って疑問に思う。


「今のわし、魔法使えるのか……? むむむ? 使えなかったら、大変どころの騒ぎではないぞ」


 簡単な魔法をメクは使うが、発動しない。何かの間違いだと思い、何度も何度も使ってみるが、発動しなかった。


「う、うそじゃろ!? こんな変な姿になって、魔法まで使えんとなると、わし役立たずじゃろうが!」


 あまりにも絶望的な状況に、メクは今の状況が夢か何かだと思いたかったが、夢が晴れることはなかった。



「……魔女を探して、元の姿に戻させる。それしかない」


 しばらく落ち込んでいたが、すぐに立ち直り、メクは今やるべきことを見据える。

 間違いなく、魔女を探す以外に今やれることはない。


 仮に見つけ出したとしても、今の姿では戦闘能力が皆無で、元に戻してもらえるか分からないが、それでもやるしかなかった。


(本来は部下たちを使って探さねばならぬが……むむむ、この姿はどうしても見せたくないのう……そもそも、信じてもらえるかどうか。声は一緒じゃがな……)


 悩んだ末、部下たちに姿は見せないことに決めた。

 合理的に考えると、ここは部下に協力を仰いだ方がいいのだが、ここは無駄なプライドが勝ってしまった。


 魔女は外で寝ていた自分に呪いをかけてきたので、朝寝ていた場所へとメクは向かった。


 特に手がかりなし。

 城に行ってエルフに話を聞き、手がかりを探そうか悩んだが、それはやはり出来ない。


 女王だと明かさずに、この姿で近づいたら、捕らえられ、牢に閉じ込められる危険性がある。

 戦が終わったばかりなので、兵士たちも敏感になっているだろうから、少しでも怪しいものは排他しにかかるだろう。


(むう、とにかく噂話を聞きたい。たくさんの人種が集まる町に行って、情報を集めるとするか)


 メクの長い長い旅が始まった。

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