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第一話 呪いをかけられる

本編削除のためメクの外伝を掲載します。

(本編を知らない方でも、楽しめる内容です。本編を読んでいない方でも、気にせず読んでみて下さい)

 ファラシオン王国。


 様々な種族が国を成しているこの大陸の中で、北の方に位置する比較的規模の小さなエルフたちの国である。

 エルフとはとんがった耳が特徴の種族だ。見た目は美しいものが多い。

 エルフは魔法力に優れているが、繁殖能力が低いためあまり人口が増やせず、国も中々大きくすることが出来なかった。


 そんなファラシオン王国は、よく外敵に攻められ、その度に危機にさらされていたが、とある女王の活躍で、何度も危機から逃れていた。


 その女王の名を、メク・サマフォースと言った。


 〇


「それでは出陣する! 皆の者、わしに付いてこい!」


 エルフ達の大軍の先頭に立ち、メクは杖を掲げながら檄を飛ばした。

 金色の長い髪に、雪のように白い肌、まるで神が作った造形物のように整った顔。瞳は生命力にあふれ、力強い。


 彼女メク・サマフォースこそファラシオン王国の現女王であり、国民たちから絶対の信頼を得ていた。


 エルフの軍はほとんど女性で構成されている。エルフは魔法力が、男性よりも女性の方が高いため、女優位の文化となっており、女が戦をし、男はその間、農業をしたり、裁縫をしたり、人間など他種族とは逆の役割分担をしていた。


 現在ファラシオン王国は、隣国に攻められていた。ルバリアという鬼族が支配している国である。鬼族は角の生えている極めて粗暴で好戦的な連中だ。

 戦闘力も決して低くはないが、魔法力はあまり高くないため、一人一人の戦闘力はエルフの方が上である。

 しかしながら、数が三倍以上いる。圧倒的な数の差があるので、撃退するのは非常に難しい相手だった。


 兵たちも簡単な戦でないと分かっているのか、顔色が悪い。

 メクはそれを察し、


「怖気づくな! わしがおる限り負けることはない!」


 と再び檄を飛ばした。


 兵士たちはメクの声を聞いて、顔色を変えた。メクが兵士たちに絶対の信頼を得ているという事が、その様子から窺い知れる。


 メクは自ら先頭に立ち、兵士たちを率いて行軍した。


(ふん、面倒な鬼どもじゃ。ま、束になってかかってきても、わしの率いる軍には勝てぬがな)


 メクは内心でも勝つ気満々であった。その溢れ出る自信が、言葉に説得力を持たせ、兵士たちに活力を与えていた。


 軍は行軍を続け、敵が攻めてきている城へとたどり着いた。


 そこはすでに戦場になっており、少数の兵で敵を食い止めていた。


 メクたちの接近を見た敵は、一度攻城戦をやめ、迎撃の構えを取った。

 城にいた兵とメクたちの軍に挟み撃ちにされる形にはなるが、城の兵はあまり多くなかったため、それほど挟撃の効果は発揮できないようだ。


 メクは自ら先頭に立ち、敵軍と真っ向勝負をすることに決めた。


「ファイアートルネード!」


 メクは炎属性の上級魔法、ファイアートルネードを使用した。

 炎の竜巻を起こす魔法である。


 一気に四回発動し、敵軍を炎の渦が蹂躙する。


 この世界にはレベルと限界レベルというものがある。一般的にレベルが高ければ高いほど強くなる。全ての生物には生まれつき限界レベルが設定されており、どれだけ頑張ってに限界レベル以上にレベルを上げるのは不可能だった。


 メクはレベル、限界レベルが70以上あり、エルフの平均が20程度と考えると、破格の数値で、ファラシオン王国の最強エルフと言って間違えなかった。


 魔法に対して、ある程度対策をしていた敵軍だったが、メク並みの魔法を見たのは初めてであり、それに対して対処法はなったようで、大混乱状態になった。


 それに乗じて、ほかのエルフ達も魔法を浴びせ続ける。

 敵軍は次々と数を減らされていき、もはや勝ち目はないと悟って、逃げ出していった。


「やった! 逃げていきます! 我が軍の勝利です!」

「まだじゃ! 敵軍を減らすだけ減らして、もう二度と我が国に攻めてこないよう恐怖心を刻み込むのじゃ!」


 メクは険しい表情で、命令を飛ばした。

 兵士たちは命令に従い、逃げまどう敵兵を追撃し、魔法でどんどん討ち取っていった。


 最終的に敵軍は数を三分一以下になり、散々な目に遭いながら帰国していった。



「今回は大勝利じゃったな! ふん、やはり鬼など敵ではなかったわい!」


 戦が終わった後、守り切った城で宴が始まった。


「それもこれもメク様が最初に使った、ファイアートルネードのおかげでございます!」

「ええ、あれで敵軍を大混乱させることが出来ました。結局、あれ以降、敵は全く戦えてなかったですからね!」


 部下たちに褒められて、メクは気分よく酒を飲み、食事を取っていた。


 それから、満腹になるまで飲み食いをし、メクはかなり酔いながら、なぜか城の外に散歩に行きたいという気分になった。


 部下たちは全員寝ており、メクはふらふらと千鳥足で城を出て、散歩を始めた。


「うぃー、おうおう、鬼ども死体がいっぱいあるわい」


 鬼の屍だらけの様子を見て、満足気に頷いた。


「わしの国を荒らすものはぁ~、絶対に許さ~ん! 攻めてきたことを後悔するんじゃな~!」


 兵の亡骸に向かってそう叫んだ。


「まあ、埋葬くらいはしてやろうぞ。放置したらたたられそうじゃし。てか、邪魔じゃしな」


 敵兵の亡骸は、部下に命令して、埋葬させると決めた。


 メクは眠くなってきたので、そろそろ城に帰ろうと思い、城に向かって歩き出す。


 すると、


「うわー、凄いことになってるねー」


 後ろから声が聞こえてきた。

 振り返ると誰かいるようだが、暗くてよく顔は見えなかった。


「何じゃ~お主は?」

「私は生命の魔女だよ。これ君がやったの?」

「魔女? まあ、こやつらを殺したのは、わし女王であるわしとエルフの軍たちじゃ。攻めて来たのだから、当然の報いじゃな」

「君がエルフの女王様なんだ。私、個人的にエルフって結構好きなんだよね」

「そうか? まあ、当然じゃろうな。エルフは世界一美しい種族じゃ」

「君に会えてなんか嬉しいから、良い魔法を使ってあげる」

「魔法~?」


 生命の魔女と名乗った女が、聞きなれない呪文を使った。


 そして、数秒後、メクの意識は失われた。



 ――――数時間経過。



「……ぬ?」


 翌朝、メクは気が付いたら大地に横たわっていた。

 近くには敵兵の亡骸が転がっている。酒に酔ったせいで、昨日の夜の記憶はほとんどないが、何らかの理由で外に出て、そのあと寝たのだろうとは推測出来た。


「これだけの亡骸の近くで寝るとは罰当たりな……」


 メクは呟きながら起き上がった。だが何やら様子がおかしい。


 視線が明らかに低い。子供の頃のようだ。


「どういうことじゃ?」


 と思って自分の手を見ると、何だかもふもふした物が見えた。


「……は?」


 足と腹を見てみる。真っ白い毛のもふもふした物が目に入った。


 メクは全力で混乱した。何が起きているのか分からなかった。


 とにかく自分の姿を確認する必要がある。メクは急いで城の中に戻り、鏡で自分の姿を確認した。


 そこには、真っ白な熊のぬいぐるみの姿が写し出されていた。


「な、なんじゃこりゃーーーー!!」


 メクの叫び声が、城中に響いた。





【重要なお知らせ】

限界レベル1からの成り上がりは、これからは「カクヨム」の方で連載させていただきます。

↓カクヨムの作品ページのURLです。

https://kakuyomu.jp/works/16816700427260164023


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