「好きなの?」
さて。
あゆはどんな回答をするでしょう。
惇哉のことは好きなのかな?
「惇哉はさ、私のことが好きなんだね。」
惇哉は深くうなずいた。
あゆは惇哉に問いかけた。「どうして?」と。
惇哉は答えられなかった。理由など見つからなかった。
なんとなくそう感じただけかもしれない、とそう思えてきて怖かった。そして何より、あゆの存在が怖かった。
あゆは惇哉が答えられないのを確認するといった。
「そうだよね~答えられないよね。だって惇哉は私なんか好きでも何でもないんだから。」
惇哉は「そうじゃない」と答えようとした。が、あゆに止められた。
あゆは、「最後まで聞け!」といい、惇哉を黙らせた。
「いい?私は惇哉なんか好きじゃない。私の発言をさ、思い返してみなよ。私はこの人生で1度も惇哉のことが好きなんて言ったことがないはずなんだけど。違う?」
あゆは言い切るとすっきりしたみたいに息を吐いた。
勘違い男に迷惑をかけられた、そう思っているかのように惇哉を見下ろす。
「もう一度言ってあげるよ。惇哉なんか好きでも何でもない。付け足すと、無関心ではないかな。私は、惇哉の存在それ自体が大っ嫌いなの。今だけじゃない。ずっと前からね。もとからあんたは変態男だったのよ。確かに私は杏たちが言ったように、あんたのことを見てた。でもそれは、好きだからじゃない。それくらいはわかるでしょう?」
喋るのが怖くなって惇哉はうなずいた。
あゆは続けた。
「それじゃあ、なんであんたのことみてたかわかる?」
分からない惇哉は答えなきゃの一心で必死になっていた。
あまりにも遅いので、あゆは惇哉にうんざりしていた。
もういい。答えなくても、とあゆは言った。無駄な時間を使いたくなかったから。
「それじゃあ答えを教えてあげるよ。惇哉。こっち来て。」
あゆが惇哉を手招きした。
惇哉は、嫌いなはずなのに・・・。と、不思議に思っていた。
あゆは、バックからチョコレート・・・?を取り出すと、惇哉のお腹に思いっきり
突っ込ませた。
しかし、それはチョコレートではなかった。
惇哉はなぜ勘違いしたのか。
そんなことはわからなかった。でも、ひとつ惇哉に分かったことがあった。
それは・・・・。
あゆは惇哉のことが嫌いで惇哉を殺すためにここへ呼んで
チョコに見せかけてナイフで殺したのだ。
それが、惇哉に分かる、精いっぱいだった。
ホントは早めに逃げておくべきだった。
嫌いだと言われたときに異変に気付けばよかったのだ。
最後、あゆは惇哉に言った。
「見てたのはね、あんたの殺し方を考えてた。そしたらこの考えにたどり着いたわけよ。」
そしてあゆは笑い、言い残して惇哉を一人にさせた。
そして、惇哉はそこで12年の短い人生を終えた。
あーらら。
殺しちゃった。そ、そこまで嫌いだったの?
まじか。だから言ったのに!ほんとに惇哉のこと好きなのかなあ?ってさ。
びっくりしたよ。えっあゆって好きな人いたの?ってさ。
まさか惇哉じゃないよね・・・。