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ソライフ  作者: 無為無策の雪ノ葉
空の生命

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284 兵荒馬乱

「かてないよ」

 話しかける。


 メロウたちは驚いた顔でこちらを見ている。それだけだ。驚いてくれるのは良いが、返ってくる反応は薄い。


「こ、こうさんしたら?」

 これで力の差を理解して降参してくれないだろうか。こちらは無益な争いをしたくない。


「どうする?」

「覚悟を決めるしかない」

「殺る」

 メロウたちが覚悟を決めたような顔でこちらを見る。


 あまりよろしくない状況になりつつある。


 さらに、他のマナが近づいてくる気配を感じる。これでは悠長に説得することも出来ない。


「ぶ、ぶきないよ。ないよ」

 武器もないのにこのメロウたちはどうするつもりなのだろう。これで気付いて諦めてくれれば良いのだが……。


「武器がなくとも我らには強き体がある」

「皆!」

「うむ」

 メロウたちが頷きあう。


 駄目だったようだ。


 確かにメロウは巨大な蜘蛛の体を持っている。武器がなくなったとしても、その体を使って戦うことが出来る。


 そういえば、カノンさんは蜘蛛の足を切り落として戦意を奪っていた。同じことをするべきだった。


 となればやることは一つ。


「し、しかたない。いくよ」

 足を落とすなら世界樹の弓ではなく、世界樹の木剣を使う方が良いのだろうか。


「皆、あれが動く」

「次は捉える。見逃さぬ」

 メロウたちが蜘蛛の足を持ち上げ、身構える。


 もう戦いは避けられない。少し、痛い目を見て貰おう。


「待たれよ!」

 と、そこに大きな声がかかる。


 前足を持ち上げていたメロウたちの動きが止まる。そして、ゆっくりと声の方へと振り返る。


 そちらから新しいメロウがやって来る。


 雰囲気が違う。カノンさんとは違う、だが、こちらを威圧するような雰囲気。単純な力ではない強さを感じる。


「里長、何故、このような場所に」

「危険です」

「この魔獣は危険です」

「近寄ってはなりませぬ」

 メロウたちが慌てている。


 里長?


 里長……?


 里長!


 メロウの里の一番偉い人じゃないか。


 ……。


 だが、この人からは敵意を感じない。

「な、なにしに、きた、来たの?」

 里長がこちらを見る。


 そして小さく頷く。

「皆のもの、よく見るので」

 里長の言葉を受けて、メロウたちがゆっくりとこちらを見る。よく分からないが見て貰いやすいように上の蜘蛛糸から、下の蜘蛛糸へと飛び移る。


 メロウたちの目の前だ。


「濁ったマナの流れしか見えぬ」

「里長は何を」

「分からぬ」

「なぜ、この魔獣を」

 メロウたちは首を傾げている。


「だから、おぬしたちは未熟なので。混ざった中に煌めくものが見えるはずなので」

 里長の言葉を受けて再びメロウたちがこちらを見る。


 あまり見つめられるのも、何というか、とても……困る。

『ほうほう、おぬし、人気者なのじゃ』

 銀のイフリーダはこちらを見てニヤニヤと笑っている。


「な!」

「な!」

「な!」

「な!」

 メロウの四人が同じ顔で驚きの声を上げる。


「こやつのなかに同胞のマナを感じる」

「こ、こやつ。仲間を!」

 メロウの四人が騒ぎ出す。


 敵意が生まれる。


 これはあまり良くない感じかもしれない。


「待つので」

 そこに里長の待ったがかかる。


 敵意が増した四人と比べ、里長は静かだ。敵意を感じない。そう、それは最初から変わらない。


「彼の者の中にあるマナが力を貸そうとしているのが見えるので」

 里長は静かなままだ。


 それを聞いたメロウの四人が驚き、里長へと振り返る。慌ただしい。


「里の若いのが迷惑をかけたので」

「だ、だいじょうぶ」

 里長は話が分かるようだ。何だが、前にも同じような状況があったような……。


 その時にはカノンさんが一緒だったけれど、いや、今も一緒か。そうだ、状況は変わらない。

とても短め。

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