チュートリアル
少しずつ基盤を固めて行きます。頑張りますので、よろしくお願いします(〃・д・) -д-))ペコリン
「いや〜いい汗かいたな。」
約1時間、ゴブリンと戦闘を行い、レベルだけでなく着実に身のこなし方も覚えている。3人とも、ひとりで一体倒せる程成長していた。
3人は、画面越しでやる戦闘より、肌身で感じる戦闘の虜になっている。ゴブリンの群れから少し外れた木の下で休んでいた3人は、もう一度借りに行こう。と、立ち上がろうとした瞬間、誰かから腹の虫の音が聞こえてくる。
「ゲームの世界でも…お腹って空くんだね…。」
顔を赤くしながら弥生が言う。お腹の音も弥生のものだったのだろう。
「商店街に行って、ご飯を食べよう。」
「そうだな。それがいい。」
「ごめんね…。ご飯食べ終わったらまた行こうね。」
3人は街の方へ行き、それぞれ好きに食べたいものを買っていく。ゴブリンを狩り続けて得たお金は思ってたよりも多く、食事をするには充分な量だ。街はずれの公園のベンチで、買ったご飯を食べている時に突然拓磨が…
「お前ら所持金は、いくらある?」
「拓磨と同じくらいじゃないか?」
いきなりの事で、質問の返答になっていない。みんなで同じようにお金を貯めたのだから、同じくらい持っているのが普通だと思っている。
「弥生はどれ位あるんだ?」
「私は…あと2000円あるよ。」
楓は弥生と同じくらい持ってるという意味で頷く。
ここでひとつ疑問に思ったのが、この世界のお金の単位も『円』という事。わかりやすいと言われればそれまでだが、ここでこの単位を使われるとやはり、違和感を感じてしまう。
「やはり…俺だけ異様に多いな…」
「宝箱かなんか開けたんじゃねーの?多い分にはラッキーなんだからいいじゃんか。」
拓磨はハッキリしない様子だが、ゲームの世界で深く考えるのはナンセンスだと思っている。この事ばかり考えていても仕方がないので、3人で街をふらつくことにした。
どこか懐かしい雰囲気に心を和ませていると、街の住人が助けを求めている姿が見える。
突発イベント…! 3人は心の中でそう思い、少しにやけてしまう。
「大丈夫ですか?」
助けを求めている女性に声をかける。
「…私の娘が居なくなってしまったんだ。だけど足腰が悪くて探すことができないんだよ…。」
「なるほど…そういうことなら探してきますよ。」
楓は快く承諾すると、3人は街の散策を始める。
見慣れない街で子供を探すのは至難である事を感じ始めていた…
その後も探し続けて、聞いた特徴とピッタリ一致する子を見つける…しかし、後ろにはその子を斬ろうとする男の姿がいる。
「くそっ!」
間に合いそうにない距離…しかし、間に合わせなければならない。あと少し…その所で楓は剣を抜き、男を牽制する。
「おっと…危ねぇ。」
その男は余裕に構えている。こちらのことは眼中にない様子だった。
「どうしてこの女の子を斬ろうとしたんだ!」
「そりゃあ、斬りたかったからに決まってんだろ? 知ってたか? 住民でも殺せば経験値と金が手に入るって。」
経験値…金…そのふたつの単語で、こいつがプレイヤーである事を理解する。しかし、正常な人間が簡単に人を殺そうとすることは理解ができない。
まさか、こんな形で戦闘をするとは思ってもいなかった。楓は2人と別行動を取ったことを後悔する。
「そーいや、プレイヤーはまだ殺したことがねぇな。よかったな、お前が記念すべき1人目だ!」
躊躇なく街中で大剣を振り下ろす。楓は横へ避けるが、楓の元いた地面に亀裂が入り、煙をあげる。突然の事で住民はパニックになり、悲鳴をあげながら、あちらこちらへと逃げ回る。
「テメェ…」
楓も負けじと反撃を開始する。
向こうがパワーなら、こちらはスピードで戦う。楓はそう考えた。
相手の腹部がガラ空きなのを確認し、すぐに横に回り込む。男は大剣を引き抜くが、その頃にはもう遅い。剣を深く刺し、一瞬で終わらせる。
男は吐血しフラフラしているが、戦えないわけではない。もう一度楓を狙って大剣を振り下ろすが、楓に簡単にかわされてしまう。
「これはゲーム、ここで死んでも問題ないだろ。俺が経験値の事確認しといてやる。」
そう言って、最後に心臓を貫いた。
画面を見ると経験値とお金は増えている。レベルアップの心地良い音がしたのと裏腹に、ゲームの世界でも人を殺した罪悪感が楓を襲う。
「楓!大丈夫?」
振り返ると弥生と拓磨がいる。どうやら騒ぎを聞いてきたらしい。
楓は笑顔を作り、大丈夫だと返す。
「良かった…女の子ならさっきの人のところに連れていったから大丈夫だよ。」
「そうか、ありがとう。」
「それでね、クエスト報酬で貰ったんだけど…。」
弥生は、クエスト報酬で貰ったカプセルを見せてくる。
「これね! この世界にある、ほとんどの物が入るんだって! 旅の初心者でしょ? って言われて、貰ったんだよ!」
拓磨と弥生は背中をアピールしてくる。楓は少し考えたあとに、カプセルの中に剣をしまったんだと理解する。
「それがあればかなり便利だな。俺にも分けてくれ。」
「はーい。どうぞ!」
ゲームの世界ならなんでもありだなと感心する。
3人がカプセルの事や、クエストの事で談笑していると、目の前にひとりのプレイヤーが、明らかな敵意を向けて立っていた。
アイテムを作ればゲームっぽいかなぁ、と。安直な考えです。持ち歩くの不便だし、荷物にしたくないし←
次は新キャラ登場させます!モブには名前つかないけどご容赦を…。笑