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ニジゲン⇔ゲンジツ  作者: のぎVer.2
二次元と現実
16/22

決着

戦闘パートとドラマパートに分かれております。最近字数が少なかったため、少し長めです。(週末だしね)

 エリスは魔導巨兵(ゴーレム)を破壊すると、イルミ本体を襲いかかりにいく。岩の鎧ごと貫こうと白刃を取り出し、突き刺そうとした時、頭に鈍い衝撃が飛んでくる。エリスは思わずその場に倒れそうになり、なんとか踏ん張る。

 目の前には覚醒した楓。今まで刺され続けてた傷は完全に癒えており、生命の炎で包まれている。背中から生えている羽と相まって、その姿は不死鳥のようだ。


 エリスは躊躇いなく白刃を振りかざす。その速度に楓は反応し、さっきと同じように後ろにかわす。もう一度、同じように上から攻撃してくるエリスを待ち構えていた楓は、背面反りの状態から回し蹴りを食らわせ、エリスを吹き飛ばす。


「まだだ!!」


 対魔獣戦の時は手のひらに拳ぐらいの大きさしか作れなかった火の玉を、エリスの周りに無数に作り出す。

 その全てをエリスに集約させ、弾幕を注がせる。最初は耐えていたが徐々に体勢を崩し、地面に倒れ込んでしまう。

 楓は宙に飛び上がり加速をつけると、今までとは比にならない程の火の玉を作り出し、エリスにぶつける。その威力は絶大で、地面にクレーターを残すほどだ。


「やったか…?」


 そんな期待とは裏腹に、エリスは立ち上がりこちらに攻め込む。真っ直ぐに突っ込んでくるエリスの白刃をわざと受け腕を捉えると、甲冑を砕く威力で地面に叩きつける。すると、甲冑からエリスが出てきて、意識を失ったまま眠っている。


「イルミ、お前はやるのか?」


 とても力強く言い、土の鎧に覆われたイルミを声だけで圧倒する。


「いえ、勝てる見込みが無いので…」


 正直に敗北を宣言すると、入口の扉が開く。


「もう自由に外に出られます。私達を殺してもらっても構いません。こんな事をしたのです、どうせ私達は殺されますから。」

「イルミ、もしかしてお前…エリスがやった事…」


 楓が話を続けようとすると、イルミは少し食い気味で話を進める。


「知ってました。ですが、この行動は私が選んでの行動です。私も処分を受ける覚悟はあります。」

「そうか…」


 楓は拓磨、弥生、竜胆の所に順番に回り、燃え盛る炎の一部を渡すと、三人は意識を取り戻す。


「楓! あのふたりを倒したの!?」

「まぁな。」

「流石だな、俺は何も出来なかった。」


 三人が意識を取り戻したのを確認すると、楓はエリスの所へ向かい同じように炎の一部を渡し、エリスを回復させる。


「どうして…そんな事をするのですか?」

「俺の方が強いから助けたところでどうせまた勝つ、今回は気にするな。」


 楓は三人に外に出るよう合図すると、闘技場を後にした。



 ※



「あいつらが負けたらしいですよ…」

「あいつら…って誰のことだ?」


 社長室で秘書と代表の不穏な会話が聞こえてくる。ドアをノックして開けようと思ったが、天草(あまくさ) 未来(みらい)は、入ることを躊躇する。


「ほら、プレイヤー殺しの…エリス……とか言うやつですよ。」


 あぁ、と理解した様子で答えると、興味が無いと言ったようにパソコンに向き合う。


「データは既に取っております。電脳世界での累計死者数は10万人。その内の6000人はエリス、エリスを除く『裏』警備隊が合計1万5000人。計2万1000人が警備隊に殺られた事になります。」


 次々と正確なデータを述べていく秘書、それと同じデータを見ていた代表は、補足も読み上げていく。


「このイルミとかいう奴は裏警備隊じゃないな。一体何故戦ったログが現れるんだ。」

「エリスはイルミを信用しており、イルミも同じくエリスの事を信用していました。腕も充分だったので、あるプレイヤーを殺人鬼とでっち上げた所、戦闘に参加したそうです。」

「向こうの『世界』の住人はなにを考えているのか分からんな…」


 ため息をつくと、またしてもパソコンに向かいデータの処理を行っていく。


「こいつらの処分はどうしますか?」


 パソコンから目を離さずに口だけで答える。


「好きにさせとけ、いちいち構ってられるか」


 カタカタとキーボードを叩く心地の良い音だけが響き、その数秒後にダン!! と、キーボードを思い切り叩く音が聞こえる。


「どうしました!?」

「うるさい、黙っておけ」


 ディスプレイに映る戦闘ログ、そこには白井 竜胆の名前が…頭を掻きむしりながら、さっきよりも大きいため息をつく。

 息子の名前が出てくる事に動揺し、多少の苛立ちを見せながらも冷静さを取り戻していく。


「おい、プロジェクトはどうなっている。」

「まだ試作段階かと…」

「仕方ない…出来るだけ早く動かせよ。間に合わなかったらシャレにならん」

「分かっております」

「それにしても馬鹿な奴らだ。ゲームプレイヤーが普通、変死するわけないだろう? 全く、馬鹿は扱いやすい。」


 二人で笑っていると、秘書は言葉を付け足す。


「電脳世界がゲームの世界なわけあるわけないですよね…ククク…」


 代表は突然真顔になると、秘書に指示を飛ばす。


「さて、無駄話はそれまでにしてプロジェクトの開発を進めてこい。」

「分かりました」


 秘書が出てくると分かり、焦る未来。とりあえずノックをしようと木のドアをコンコンと鳴らす。


「誰だ!」

「あ…天草です!」

「入れ」


 失礼しますと言いながらドアを開け、持っていた荷物を秘書に渡す。


「中身は見てないだろうな?」


 鋭い目つきで睨まれた未来は、立ちすくんでしまうがかろうじて、見てませんと答えることができた。


「まぁ、そうだろうな。鍵は俺が持ってる。」

「そうですね…アハハ…」


 そう言って逃げ出すように部屋を後にした未来は内心震え上がっていた。発売してから1日も経っていないというのに事件になった『電脳世界』の話をしていたのを聞いてしまった。それも『プロジェクト』だの、『現実世界』だの、怪しげな話ばかりしたいた。


「あの下っ端、聞いてたと思いますか?」


 真剣な顔つきで代表に聞く。その答えは思っていたよりもあっさりとしたものだった。


「気にするな。あいつもプロジェクトに組み込まれる。」


 秘書はニヤリと笑い、礼をすると部屋から出ていく。


「面白いことになりそうだな」


 そう言って代表はパソコンに楓、拓磨、弥生、竜胆の顔写真が貼り出し、最重要危険人物と書きこむ…

そろそろ2部も終わり3部に入るのですが、主人公のパートがふたつに分かれます。


ここからアイディア勝負! と行きたいので頑張らせてもらいます!(自分的にはドラマパートの方が書いてて楽しいです。)

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