絶体絶命
最近言葉に詰まります。
楓は、鉄の甲冑を纏ったエリスに向かって発火させる。しかし、火がついた瞬間に高速移動をされ、空中で消えてしまう。
「はやいっ!」
エリスは腕から白刃を出し、薙ぎ払うように攻撃してくる。楓は上体を逸らしギリギリの所でかわすが、覆いかぶさるように上から白刃を腹部に刺しかかる。
「ぐはっ…!」
物凄い量の血が腹部から流れていき、それは地面に水溜まりを作ったかのように範囲を広げていく。楓は抵抗することもできなくエリスに攻撃をゆるしてしまう。
白刃の攻撃は止まない。地面に倒れている楓を無慈悲に切り刻んでいく。エリスが楓を切り刻むその姿は、制御の効かなくなったロボットのようにずっとずっと切り刻んでいく。
返り血で赤く染まった甲冑は攻撃を一度辞め、イルミと竜胆の戦闘へと乱入していく。
※
動く巨大な土人形を目の前に竜胆は、身じろぎしていた。圧倒的攻撃力をかわすことに精一杯だが、隙を見つけて攻撃してもダメージは微塵も通らない。
イルミは見ているだけでなにもしてこない。余裕の合図なのか、それとも魔導巨兵を動かすのに力を集中させているのか、竜胆には分からない。
「本体を倒せば終わりか?」
上から降ってくる大きな手のひらをかわし、イルミにナイフを投げつける。風を切る音が聞こえ、目前まで飛んでいったというところで岩の鎧がイルミに纏わり、ナイフはそこに刺さって止まってしまう。
「アイツは防御形態かよ…。」
軽く絶望しながら竜胆は攻撃をかわし続ける。魔導巨兵に電気は通らず、ナイフの刀身じゃまともに切りつけて傷つけることすらできない。
竜胆は当たりを見渡すと、拓磨が持っていた鎌が遠くの方に飛ばされているのが見える。
「あれなら攻撃は通りそうだな。」
独り言をブツブツ呟きながら、鎌を拾いに行く。持った瞬間慣れない重みが腕に伝わるが、使えないという程でもなかった。
魔導巨兵の攻撃が、竜胆に襲いかかる。それを華麗にかわし腕の部分へと乗り上げ、その上を走っていく。魔導巨兵と同じ目線までくると鎌を振りかぶって額にあるコアらしき所を思い切り刺す。
「グァァァ…」
呻き声を上げながら魔導巨兵は両手で押しつぶそうとしてくる。一時退避し、もう一度攻撃のチャンスを窺っている時向こうから甲冑の姿をしたエリスがこちらに向かってくる…
「楓はもう終わりかよ…」
愚痴をこぼしながらもエリスに応戦しようとするが、なにがあったか分からぬスピードで腹部を刺されていた。薄れゆく意識の中で見えたのは、エリスが味方の魔導巨兵をも破壊する殺戮人形と化している姿だった。
第2部のボスはエリスさんかな?って勢いですよね…。(意味深)