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ニジゲン⇔ゲンジツ  作者: のぎVer.2
二次元と現実
13/22

勝機

そろそろ第二章も終わると思います。(たぶん)

 はっきり言って勝てる可能性はゼロに等しい。エリス一人に打ちのめされたのだから、イルミがいれば尚更だろう。


 エリスとイルミは凛とした姿で待ち構えている。


 弥生は弓を早々に放つと、イルミは闘技場のゴツゴツした地面の一角を持ち上げ、簡単に防ぐ。そのまま岩の一部分を外し、三人に向かって飛ばしてくる。弥生はそれをかわし、拓磨と楓はそれぞれの武器で岩を破壊する。


 イルミは岩を飛ばし終わった後すぐに、一人でこちらに突っ込んでくる。拓磨がそれにいち早く反応し、毒鎌で斬りかかるが軌道を読まれ、武器を空中に弾かれる。楓も大剣を振りかざすが、人間技とは思えない速度で回し蹴りを喰らう。怯んだ隙に剣を奪われどこかに投げ飛ばされる。


「武器なんていらないでしょう? ここは闘技場ですから。」


 弥生は急いで距離を取り、弓矢に水を纏わせ飛ばす。

 水を纏わせコントロールを得た矢は、イルミに真っ直ぐ飛んで行く。その矢をかわしていくが、急な方向転換する弓に対応はできず、背中に刺さる。


「やった!」


 弥生はここぞとばかりに弓矢を連発する。全弾命中しイルミの動きが鈍る。

 しかし、刺さった部分から亀裂が入り、砕け散って土の塊と変わっていく。

 弥生は地面から出てくるイルミに対処しきれず、アッパーを喰らってしまう。弥生は後ろ向きに倒れていくところを、イルミからの鋭い蹴りで吹き飛ばされる。


「あはは! イルミ一人にやられてたら僕の出る幕無いかもしれないね。」

「うるせぇ。今からぶん殴りに行くからそこで待ってろ。」


 楓はイルミを無視して、エリスの所に走り出す。イルミはそれを止めようとするが、拓磨が間に入り、空気中に毒ガスを散布させる。


「なかなかやりますね…。」


 イルミは口を咄嗟に手で抑えながら身構える。弥生はそれを後ろから水の塊を出現させ、それでイルミを覆う。


 イルミは水中では能力を使えない。なんとか切り抜けようとするが、もがけばもがくほど体力はなくなり、息は苦しくなる。

 泡を完全に吐ききり、イルミは動かなくなってしまう。



 ※



 楓はエリスに向かって走っていた。

 後ろに拓磨と弥生を残して。


「エリス!」


 目の前にはエリス。その後ろにいるのが竜胆、まだなにもされていないのだろう、特に目立った外傷は無く、余裕で戦えそうだった。


「火虚空!」


 ボゥ…と火のつく音が聞こえるがエリスに付けたのではない。後ろの手枷に向かってつけたのだ。


「遠くの所も正確に火をつけられるんだね…感心したよ。」


 脆かったのか、鎖の引きちぎる音が聞こえたと思ったら、竜胆はそこに立ち上がっている。


「竜胆。今だけ共闘してもらうからな。」

「お前みたいな雑魚とタッグを組むとは思ってなかったが、しょうがない。今回だけだ。」


 竜胆はカプセルを放り出し、それを起動させる。その瞬間、無数のナイフがエリスと楓のいる方に飛んでくる。


「俺も巻き添えかよ…!」


 エリスはナイフをひとつずつ丁寧に処理していく。楓は飛ばされてくるナイフをふたつ取り、死角となる後ろから刺しに行く。

 しかし、エリスの能力の『鉄製武器の錬成』により、鎖をにほん召喚され、簡単に弾かれる。


「この能力に死角は無いよ。」


 鎖を無造作に振り回しながら、竜胆と楓から距離を取っている。

 楓はエリスに火を付けようとするが、簡単に消されてしまう。竜胆は、鎖の軌道をひとつずつ読みながらそれをかわしていき、エリスに近づいていく。楓もそれを見習い近づくことにした。

 エリスは鎖を操る速度を高め、容易にかわせないようにする。


「ぐはっ!」


 一回目が楓に当たり、エリスの領域内で動きを緩める。その瞬間から攻撃の的となった楓に、鎖が二本同時に襲う。


 楓はガードの態勢を取る。

 その瞬間。ジャリ……、と。空中で鎖が擦れる音が聞こえる。

 竜胆が鎖を手で掴み、電気を流す。鉄の鎖にはとても良く電気が流れていき、それを操っているエリスにも大ダメージを与える。


「お前がゲーム下手で助かったよ。お陰でこうやって攻撃のチャンスが生まれたんだから。」

「こっちは受けたくて受けたんじゃねーよ。」


 電気を帯び、体が一瞬硬直したエリス。だが、二度攻撃のチャンスを敵に与えるほど弱くはなく、すぐに態勢を持ち直し、鎖を引っ込める。

 エリスはなにも持たずに突っ込んでくる。竜胆はスライディングの様な体勢で下段に攻撃をいれる。しかしそれを上へかわすが、楓が空中からかかと落としを放つ。エリスはそれすらも空中で受け流し、逆に楓が空中でかかと落としを喰らう。それと同時に竜胆はナイフを投げつける。柄の部分を掴んだつもりだったエリスは、掴んでから電気を帯びていることに気がつく。

 頭がフラフラして、エリスは正気を失いかける。


 しかし、視界に入った光景がエリスを奮い立たせた。


「イルミ!!」


 水の牢屋の中で気を失っているイルミを見て、意識が覚醒する。下で待ち構えていた竜胆を一蹴し、イルミのいる拓磨と弥生の方へ走っていく。

エリス相手に善戦するのは竜胆のおかげな気がするのはきっと気の所為。

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