チーム
これで丁度10話です!( 厂˙ω˙ )厂うぇーい
「エリスさん…さっき旅人殺しを見つけました。逃げられましたけど…」
見つけて最初に発した言葉がそれだ。エリスは少し困惑する。
「本当かい?」
「はい…それの事なんですけど…。」
自分達の思っていることを正直に話していく。具体的には殺人鬼と竜胆は同一人物ではないかと言う推測だ。
「なるほど…そいつは怪しいな。こちらが先に見つけたら申し訳ないが、一度こちらで色々と確認させてもらうよ。」
エリスは神妙な顔つきになり、考え事を始める。すぐにこちらに顔を向け、ニコッと笑うと、お礼を言ってどこかへ行ってしまう。
竜胆が殺人鬼ではない事を祈るだけだが、それ以外に出来ることもない。
3人は殺人鬼探しを一度辞めて、個々の能力を確認するために模擬戦をすることになった。
「そう言えば、楓と弥生と戦った事ないな。」
「じゃあこれから、このチームの最強が決まるって事だな!」
「私も強くなったんだからね? 二人とだって互角に戦える!」
楓たちは、地図を開くと近くに人通りの悪そうな広場を見つけ、そこで模擬戦をしようということになる。すぐに移動を始め、やる気満々でストレッチをする3人。戦闘の時だけは他の嫌なことを忘れられる。ゲームとはそういうものであり、まだ楓が、この能力だけは非現実のものだと思っている証拠だ。
「じゃあ最初は俺な! 相手はどっちがやる?」
「私がやる! さっきは助けられたけど、水なら火に勝てるのは明確だもんね。」
二人は対峙し、距離を置いて構える。拓磨が開始の合図を出すと、楓は接近しようとし、弥生は距離を置く。
弥生が弓を引き、思い切り離す。その弾道は楓の顔を貫く位置にある。楓はそれを右にかわすと、意識を集中させ弥生に火をつけようとする。
念じた瞬間に火はつき、その事に楓は少し驚いている。しかし肩部分を焦がしていく火は、弥生の水の能力によって簡単に打ち消された。
「水の鎧を纏ってれば、楓の攻撃は効きませーん!」
「…問題ない。俺にはこれがある。」
カプセルから取り出した大剣で弥生を威嚇する。
弥生はそれならばと思い、楓が入るくらいの大きさのシャボン玉のようなものを飛ばす。楓は容赦無くそれを斬り落とすが、斬った瞬間に爆発するように水の針が多方向に飛び散る。
「んなっ…! そんな技いつ身につけたんだよ…」
「なんか、体が馴染んで出そうと思えば出せるんだよね…?」
時間の経過と共に染み込んでいくのだろうか。楓もそれを感じていた。
弥生はシャボン玉のようなものを沢山だし、楓を寄せ付けない。かわしながら弥生に近づこうとするが、弥生は弓を使い、故意にシャボン玉を壊し、敢えて破裂させていく。
ひとつひとつの威力は低いが、数が多ければそれに比例してダメージは蓄積していく。楓の動きが鈍り、その瞬間に弥生は弓で狙う。
あと少しで刺さるという所で、楓はカプセルを矢の前に突き出し、矢を吸収する。
「こういう使い方もあるんだよ!」
弓を打ち終わった後の一瞬の隙をついて、楓は急接近をして足技をかける。弥生は体勢を崩し、そのまま地に伏せる。
「これは俺の勝ちだよな?」
「そうだな、楓の勝ちだ。」
「やったぜ! んじゃあ次は拓磨がやるよな?」
「当たり前だ。俺がお前を倒す。」
弥生との勝負が終わり、拓磨の勝負がすぐに行われようとしていた。
一旦物語の進行は止まりますね…笑